ハディ・ファイヤッド選手の加入から始まる「岡山の街をアジアに」という戦略

さきほど、9月に練習参加していたマレーシアU-23代表のハディ・ファイヤッド選手の加入が発表されました。

http://www.fagiano-okayama.com/news/p1473054490.html

ハディ・ファイヤッドってどんな選手?

ハディ選手は2000年生まれの18歳で、現在ファジアーノでプレーしている福元友哉選手、阿部海大選手、デューク・カルロス選手達と同学年になります。

現在18歳ながら今年のアジア大会のU23マレーシア代表にも選出され、背番号10番を託されるなど、マレーシアでは期待されている選手です。

そのU-23マレーシア代表はアジア大会の決勝トーナメント1回戦で日本U-21代表と対戦。試合終盤のPKにより敗れたものの、互角と言える試合を繰り広げました。

また、10月のU-19アジア選手権ではグループリーグで後に影山ジャパンを2-0で破ったサウジアラビアから得点を上げるなど、アンダー世代のマレーシア代表の不動のエースとして君臨しています。

ハディ選手とヤクルトの関係

そんなハディ選手のJリーグ挑戦にはスポンサーとしてヤクルトが付いています。

http://www.sanyonews.jp/sp/article/791333
マレーシア代表のスポンサーを務める日系企業が、Jリーグでのプレーを模索する本人の意向を聞いて受け入れ先を探し、ファジアーノに打診した。

ヤクルトとスポーツとの関わりといえば、日本では野球のヤクルトスワローズを真っ先に思い浮かべる方が多いと思いますが、日本でも海外でもサッカークラブのスポンサーやサッカーイベントのスポンサーとしてお金を出しているケースも非常に多いです。

ヤクルトはブラジル進出(日系人が多いため)を皮切りに早くから海外進出を行ってきた企業です。

http://www.yappango.com/interview/asia-malaysia-hr-management-food-maker-yakult-01.html

最終的にはそれぞれの国で、ヤクルトが日本のものではなく、自国のものと認識してもらうことを目指しています。50年近く前からある台湾やブラジルなどは、すでにヤクルトが自国のものだと思っている人たちも多いと思います。

現地の文化に受け入れてもらい、食生活の一部として取り入れてもらう。そういった考えのもと、各国に根差した営業活動を行っているとのことです。そのなかで、マレーシアの7割を占めるマレー系の人たちへのプロモーションの一貫としてマレーシアのサッカークラブや代表チームのスポンサーとなったという経緯があります。こういった経緯のなかで、ヤクルトのマレーシアの現地法人がハディ選手のJリーグ挑戦へのサポートをするようになったと思われます。

岡山県の和気郡にはヤクルトの工場があり、ハディ選手がファジアーノより前に練習参加した熊本にもかつて工場があったことから、そういった縁を辿って今回の契約に結びつけたものであると思います。

「縁」って本当に大事ですね。

岡山県の対アジア戦略

さて、ここで岡山県に目を向けてみましょう。実は岡山県は以前からイスラム教徒の観光客を誘致する活動を行ってきました。

http://www.lapita.jp/2016/11/post-2385.html

岡山県では、イスラム教徒の旅行者向けの環境整備が行われている。モスクや祈祷室の設置や、日本で初めてのハラル(イスラムの戒律に則った)のパン屋「アラム・ジャパン・ベーカリー」がオープンした。
岡山県では現在、700ー800人のイスラム教徒が居住しており、イスラム教徒のための環境整備が求められている。

また、一方で岡山県の企業が現地法人の設立などによりマレーシアへ進出する流れも加速しています。身近な例だとファジアーノのユニフォーム胸スポンサーである株式会社グロップは、グループ会社としてマレーシアに現地法人2社を持っています。また、JFL時代まで胸スポンサーだった源吉兆庵もマレーシアに店舗があり、ナカシマプロペラも現地企業を買収するなど岡山の企業がマレーシアでビジネスを行う流れが徐々に高まっています。

こういった流れのなかで、マレーシアサッカー界の有望株であるハディ選手が加入したことは、マレーシアの人たちが「OKAYAMA」という街に触れる絶好のチャンスであると言えるでしょう。言い換えれば、ファジアーノ岡山というクラブが媒体となって岡山という街のポテンシャルを引き上げるものになり得ると僕は考えます。

既にマレーシアでビジネスをしている企業を例に挙げれば、マレーシアでの企業活動のPRとして「ハディ選手がプレーしているファジアーノのスポンサーである」ことが現地でのビジネスの助けになることも考えられるでしょう。また、これからアジア圏でのビジネスを検討している企業や日本進出を狙うマレーシアの企業に対してもビジネスチャンスとしてファジアーノとの新しい関わりが出来ることも予想されます。

これからのファジアーノのあり方

今回の契約はファジアーノ岡山の、ひいては岡山県にとって大きな契機となり得るものだとここまで述べてきました。先に引用した岡山県とマレーシア旅行会社による誘致活動は2021年まで行われる予定とのことです。

この誘致活動期間中はもちろんのこと、それ以降においても両国間の文化的・ビジネス的な国際交流が発展していくことが一番望ましいことだと思います。ファジアーノにとってはハディ・ファイヤッドという選手がきっかけとなり、そこから様々な縁を作り強固なモノにしていってほしいといちサポーターとして願っています。

その為にはまずサポーター一人一人が自分に寄与できることから始めるのがベストだと思います。

だからこそ、これだけは提案させてください。



みんなでヤクルト飲もうぜ!!

http://www.okayama-yakult.co.jp/service/

※余談ですが、この記事は一ヶ月以上前から「加入したら即投下しよう」と思って準備していたものです。
(執筆:2018/11/14)
(細部修正:2018/12/21)

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