餅巾着さんの体験記:大学3年生、コロナ禍における家出

 現在で一番大きいことというと、現在保護されている妹と連絡が取れないことです。児童保護施設は外部と連絡を取らせないことも多いことは経験上知っていましたが、姉である私と電話することすらできないのは想定外であり、とても悲しいです。

筆者のプロフィール

ニックネーム
餅巾着

自己紹介
趣味は洋楽や将棋や日向ぼっこだとか本を読むことです。編み物なんてものもできます。最近はシズクノメというバンドにじわじわハマってます。

家出時の年齢
21歳(学部3年)

1. 家出時の家庭状況

 母からの虐待が原因で家出しました。ただ、家出の直接の原因は母の妹に対する虐待を私が警察に通報したことです。母からの報復を恐れて通報をしたその日に家出しました。
 元々虐待は私と妹両方に対してありました。覚えているだけで15年以上は続いています。暴言を2時間以上吐くなんていうのは当たり前でした。殴る蹴るを15分以上することもあり、ひどい時は月2-3回家を出されて何時間も入れてもらえないことがありました。
 その結果、私自身は中学2年の時に保護され児童保護施設に行ったことがあります。殴られる原因は、主に「成績が悪かった」か「嘘をついたか」のどちらかです。大学に入学後は母の気に入った人と付き合うことを強制するだとか、私が自分で選んだ彼氏と別れさせようとし、私の服装、髪型、内面に至るまで強く口出しをしてきていました。
 妹は数ヶ月ほど前、嘘をついたからと髪をショートに、それも酷い髪型に切られました。私が通報した際は、妹がシチューを食べたと嘘をついたからとシチューをかけられ髪を捕まれ引き摺られていました。妹は今、一時保護施設にいます。
 父もいますが、母の暴力を止めたことはほとんどなく、むしろ自分も進んで叩くタイプでした。それもご飯の時肘がぶつかっただとかの些細なこと理由です。お金や女性関係にもだらしない上に娘に対してそれを開き直るような人でした。
 家出当初は祖母を頼りましたがコロナが怖いからと受け入れられませんでした。仕方なく友達の家やホテルを点々とし、現在は専用の施設にいます。

2. 決心した後にした準備で主要なもの

 急遽だったため準備できず。家出後にアルバイトや充電器を買う、クレカを作るなどはしました。

3. 家出の最初に必要なお金をどうやって工面したか

 もともと資金30万円あったのでそれを持ち出しました。

4. 実行時の持ち物は何か

・大学行く用のごく普通の大きさのリュックとトートバッグ
・着替え3日分(2日分だと洗濯が大変なため)
・防寒具
・通帳
・現金
・常備していたお泊まりセット
・薬
・保険証
・スマホ
・パソコン
・充電コード

5. 家出をして、最初の1~2週間で何をしたか

 家出を決行したのは2020年の11月です。まずは市役所などで施設の情報収集をしました。またアパートのことについて、アルバイトのことについて調べました。あとは少しでも事情を話せそうな知り合い20人以上に簡単に話しました。法律に詳しい知り合いやアパート契約に詳しいとわかった人もいたので、その方々の力を借りてこれからのメドを考えつつアルバイトの面接などを何個も検討しています。
 そのうちにシェルターに空きが出たそうなので入所しました。月4万円、保証金2万円がかかってしまったことは想定外でしたが。現在は来年度の学費分をどうにかできないかと奨学金制度を調べているところです。

6. 家出をして、1~2週間が経ち、それ以降に起こった大きなこと

 現在で一番大きいことというと、現在保護されている妹と連絡が取れないことです。児童保護施設は外部と連絡を取らせないことも多いことは経験上知っていましたが、姉である私と電話することすらできないのは想定外であり、とても悲しいです。

7. 家出のメリットは何か

 ベタですが自分の力を確信できるようになることではないでしょうか。私の場合、親からの圧力が物理的にも精神的にも凄まじく何をやっても親に立ち向かうことはできないという無力感から家を出られていませんでした。ですがこうして離れてみると親も人間であり、逃げることが可能だったのかと気付かされます。親の支配下ではない世界があるのだという経験は大きいです。

8. 家出のデメリットは何か

 デメリットは親がトラウマになったことです。親を敵に回す以上いつか親に見つかった時にどのような暴力を振われるのだろうか、そもそも私を見つけるのにどこまで労力を割いてくるのかが恐怖です。

9. その他、家出に際して知っておくべきこと

シェルター:
 国のシェルターはほぼお金がかからない代わりに外出どころか通信機器すら取り上げられる。民間シェルターは5000円〜1万5000円というところもあるもののお金がかかる上に入所条件、特に家賃が払える収入源があるかが厳しすぎるほど見られることも多いためになかなかすぐには入所が決まらないこともある。

経済面:
 大学生は生活保護や住宅確保給付金の対象にならないため、退学して生活保護を受給することを勧められるケースもある。奨学金制度や休学についても検討しておくこと。扶養請求裁判を親に対して起こすと事情によっては学費や生活費の不足分を払ってもらえる可能性もある。

10. これから家出をする人へのメッセージ

 これは精神的な話になってしまいますが、家出の際には喋れそうな知り合いには片っ端から連絡していいと思います。親も知っている事情についてのみ話す分には情報が流れたとしてもリスクはないので。それに話してみると思いもよらない情報をもらえることも多いですし、何より家出の過程でメンタルがやられるので知り合いに心配されるたびに自分にはこんなに味方がいるという実感は地味にかなり大きな支えになります。

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