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小説 心音を聴きたい

 自分の心音を聴いてみたいという好奇心から、医療大学へ入学した。死ぬほど勉強して、無事卒業の日を迎えることができた。沢山の知識を活かして、今度の目標は自分の心音を聴くことだ。  人生の目標があるという事は、素晴らしい気持ちである――そんな風に通っていた医学部門の高村教授に言われたのだから、きっと叶う。そう思っていたのに、 「心臓の音を聴かせてくださいね~」  小さな病院で医者をしている自分は、医者としては役目を果たしているのだろう。ただし、自分の心臓というよりも、他人の心

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