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キムソクジンの愛と冒険 3




ジンくんの声はとてもとても温かい。



BTS・JINの一番の魅力ってなんだろう?

自他ともに認める顔の美しさだろうか?端正な顔立ちからは想像できない賑やかなキャラクターとのギャップだろうか?強いハートと、底抜けに明るいポジティブな考え方だろうか?

ひとつだけジンくんの魅力を選べと言われたら、私はその歌声を選ぶ。



1 あたたかな心を持つ人



ビルボード1位に輝き、あのグラミー賞にまでノミネートされた世界のBTSの魅力が、今世間で何とされているのか分からない。私にとってはいつでもどこにいても、最高にかわいくてかっこよくて、この世界にあふれるすてきなものたちの中で、いちばん私の心を動かすから、世間の評価などもはやよく分からない。
だけど、まるで個性の違う声を持つボーカルラインの4人の歌声の織りなすメロディはきっと知らない人が聴いたとしても充分に“美しい”と評価されるものだと思う。そして、ジンくんの声はとてもとても温かい。

温かくて、優しい。
いつも大きな声で大騒ぎをして笑わせてくれる人と、同じ人だということに驚くほどに、まっすぐに優しい。


2020年11月にリリースされた『BE』というアルバムの中の『Blue &Grey』のジンくんの声は聴いたことのないトーンで、曲を作ったテヒョンくんもとても褒めていた。本人は顔を真っ赤にして低いから大変だったんだ!と大騒ぎをしていたけど、すごくすごく優しくて冷えた心を温めてくれるカイロみたいに温かい。
憂鬱だったり悲しいバラードの時ほど、その声の特徴は光る。
ジョングクのどんな曲でも歌いこなす耳馴染みの良い声、テヒョンくんの深くてどこまでも魅力的な声、ジミンくんのエッジの効いた七色の声、個性もテクニックも豊富な3人の歌声の中でまっすぐに伸びる透明なジンくんの声にはジンくん自身の人柄がとても滲んでいる。


ソロ曲のクライマックスで歌詞のないパートを身体をよじりながらコンサートホールに響かせるとき、気持ち良さそうに歌うジンくんのその声を浴びるたび、訳も分からず泣きそうになるのはなぜだろう?…とずっと思っていた。
だけど気づいてみればその理由は簡単だ。

その声を浴びるたび、
いつも明るい姿だけ見せたいと言う、スーパーポジティブで強いマインドを持つはずのジンくんの声に滲み出た、本当はとても繊細で優しい温かさに、その瞬間、触れることが出来るからだ。
わーっと騒いでいつも笑って行き当たりばったりで、楽しそうに生きるその人の本当の心に音楽の中でだけ、触れることができるから。



2 何気ないしあわせ



ジンくんが優しい人だということに気づくことをジンくんは嫌がるだろうか?
『In the SOOP』で、チヂミをひっくり返したくて失敗したテヒョンくんにいつもの勢いで「もうやるな!」と言った後、タイミングを見計らって、ちゃんと最後にはやりたいようにさせてあげてたことも、リンボーをくぐるゲームをしてもうやめようと言われているのに黙って考えこんでいるテヒョンくんにやるのかやらないのか?と詰め寄りながらも最後にやれよとゆんぎが言いやすいように何度もパスを出していたことも、長かったツアーの最後に珍しく涙を流したナムくんにグクがハグをしに行ったとき、ふざけて水をかけに行ったジンくんは、グクに“今はふざける時じゃないだろう”と言わんばかりのマジな顔で怒ったポーズをされて苦笑いをしていたけれど、本当は湿っぽくならないように、わざとちょっかいを出しに来たんじゃないかと思える行動も、ジンくんて、なんてたまらない人なんだろうと思う。


7人が制作に関わった『BE』のコンセプトフォトでそれぞれの部屋のコンセプトを作るとき、ジンくんの部屋は宝石のような、キラキラとしたもので埋め尽くされていた。
本当は宝石で埋めたかったそうだけど、それは叶わず今の形になったというその部屋はまるで、正しく美しいジンくんの心の中のようで、その美しいものがあふれる部屋の中で僕が一番美しいという冗談をただ言いたいだけの為に作ったようにも思えて、なんとも掴めないけれど、ただただそこに座ってるキムソクジンはすばらしくカッコよかった。
ジンくんは、例えばその部屋の中に“人は宝石よりも美しい”のだとか、そういった壮大なメッセージを込めただろうか?私はそうではないと思う。
本当にきれいすぎてイマイチ冗談ともとれないけど、目で楽しめる美しさプラス、ただこの中で僕が一番美しいとジンくんが言った瞬間、きっとくすりと笑うだろう私たちを想像してそんなコンセプトにしたんじゃないだろうか。

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この世界に溢れる、美しい物語や、心を強くしてくれる誰かの言葉や、素晴らしい話も良いけれど、大袈裟なものじゃなくて、思わずふっと笑ってしまうような日常の瞬間こそが人の心を癒してくれる日がある。

「僕は誰かに影響を与えるとか大袈裟なことは望んでいません。ただ僕たちを見ている方々が幸せで笑えるならそれでいいんです。」

インタビューでそんなことを話していたジンくんが、宝石の部屋の中で、そういった何気ない瞬間に心をほどいてくれる幸せをイメージしていたのか、はたまた何も考えてないのか、ジンくんの企みは分からないけど、私はそういう何気ない幸せをくれるジンくんをたまらなく愛おしく感じる。



3 心のほころび


『In the SOOP』で過ごしたある夜にゆんぎと2人で静かに話していたときの会話がとても心に残っている。


「僕はミュージシャンにならなかったら何していたんだろう」というゆんぎの問いに
「君ならなんでもしてるだろう」とポジティブに答えたジンくんは、後悔を減らしたいとぼやいたゆんぎに“すでにがんばって悔いのないよう一生懸命生きてきたから今の結果があるんだ”と励ました上で、こんな言葉を続けた。

「過去のことを後悔しても仕方がない。これから頑張ればいいんだよ。」

そして“幸せになるためには後悔を減らした方がよくて、後悔しないというジンくんのようになりたいけれど、ポジティブになるにも努力が必要だ”…と話すゆんぎに、
「そうなればいいじゃん。何が問題なの?」
「ポジティブも努力したらダメだよ。
ポジティブになろうと努力するより、あまり考えすぎないことかな。無理やりポジティブになろうと頑張らないでね。」と話したジンくんはとても潔くて爽快な人だった。


この2人の会話は、悩めるゆんぎとそれを励ますスーパーポジティブな長男…という思い出のワンシーンだっただろうか。
きっと多くの人がジンくんのポジティブな考え方にフォーカスし、すばらしい人だと讃え通り過ぎただろう。
だけど「僕はミュージシャンにならなかったら何していたんだろう」と言ったゆんぎに「君なら何でもしてるだろう」と答えたあと、
「僕こそほんと何してたんだろう」と答えたジンくんにこそ、いつか遠い昔の穏やかで控えめな彼の姿を見た気がして、とてもドキドキした。
「ヒョンは俳優になったでしょうね」とゆんぎが答えても「なれなかったかもね」などと返す。
「ヒョンは俳優としてもうまくいったと思いますよ」と言われても、あくまでも今の自分がいるのは6人のおかげで、みんなががんばっているから、それを見習ってがんばるようになっただけなのだと言っていた。謙遜したり、自分を卑下しているのでは決してなく、ジンくんは打算なく本当に心からそう思っているのだろう。
この時、目の前にいたのがホソクくんやナムジュンだったらヒョンだってすごくがんばってるじゃん!と言っただろう。
しかしこの時目の前にいた悩み多き次男はおそらく“がんばることだけが正義”みたいな感覚を避けたがったのか「僕だっていつも頑張ってるわけじゃないですよ」と、一人だったら適当に生きてがんばらなかっただろうと話すジンくんを否定も肯定もせず、曖昧だけどとても優しく寄り添ってくれる言葉を投げていた。


正反対のタイプのように見えるのに一緒に出かけてもずっと喋り続けているというほど、2人の仲が良いのは、実はポジティブの塊のように見えるジンくんだけど、自分自身は誰かに全肯定されるよりも、ゆんぎが人にそうするようにそっと感情に寄り添われることに、心地良さを感じる人で、ジンくんもまた、そういった押しつけない優しさを持っているからじゃないだろうか。


この2人がどれぐらい仲が良いかというと、、ナムジュンがスティーブ・ジョブズの本を読んでいるとHONEY FM6.13で話していたとき、僕も読みたいと言っていたゆんぎの部屋に数ヶ月後、彼の名言の描かれたスツールが置かれていた。
オンラインコンサートの少し前、毎日同じ服を着ているのかと思うほど毎日のように黒いスラックスと白Tを着ていたゆんぎはもしかすると、スティーブ・ジョブズ氏のファッションに影響されてる?と思ったのだけど、なんとジンくんも一緒になってゆんぎほどではないまでも頻繁に黒いパンツと白Tだったように思う。
本を回し読みしたのだろうか?ジンくんが本を読んで影響を受けているイメージはないけど、影響を受けまくったメンバーに乗っかるかわいらしさを想像するのはとても簡単だ。
これはあくまでも一ファンの勝手な妄想だから、真実は永久に闇の中だ。だけどいつか、あの時はこれにハマってたんだよと面白おかしく答え合わせの話を聞かせてくれる日が来るといい。



4 頼りの人


ジンくんは自由にのびのび過ごしているように見えるけど、時々とてもちゃんとしている。
LYSツアーのシンガポールで、ステージに満足出来ず涙を流していたジョングクをホソクくんが諭していたとき、どう言っても分からないジョングクにホソクくんが半ば呆れていたとき、ふらりと現れて間に入りとても分かりやすい言葉で端的に説明し、説明し終えた瞬間いつもの変なダンスを踊ってふざけたりしてその場を和ませていた。
『BE』のアルバムコンセプトの話し合いの中、自分の意見を出しつつも、強く自分の意見を通すことはなく、誰も思いつかないユニークなアイデアや言葉巧みに自分の気持ちを話すメンバーの中で、もしかしたら一歩下がって見ているのかな?とも思えるジンくんの、最後の砦のように現れてその場を丸くおさめた彼の持つ言葉や穏やかな話し方はとても聡明な人のそれだと思った。
DOCU SERIESでは、グループの中での自分について、軽快に笑って過ごすのが好きだけど、それでも心の中では頼れる人でありたいと言っていた。ジンくんはジンくんの望み通り、心の中では頼れる存在になれていると思う。


ジンくんの中の良いことと悪いことの区別はとても正確だ。
いつか度が過ぎたイタズラをしてきた番組の出演者に淡々と、だけど毅然とした目で話をしていたときも、weverseマガジンのインタビューで、やってはいけないことをしなければ、今こうして現在に満足して生きるということを維持できるのだと話していたことも、とてもまっとうな感覚で、それはきっと、幼い頃に豆をつかってお箸の使い方を教わった…と話していたことからも伺える、ご両親やご家族から受け継いだ感覚なのだろう。


しかし、幼い頃に教わった良いことと悪いことを見分ける感性をなくさずに生きていける人はどれぐらいいるだろう。
ジンくんの中には当たり前のようにそれが色褪せることなくきちんと根付いている。
朝起きて目に入ったフルーツを思いつきで食べて、毎朝サンドバッグを意味なく叩いて大きな声で意味なく「家に帰りたーーーーーい!」と叫んだり、自由気ままに見えるジンくんだけど、その根底にあるまっすぐな正しさや価値観はとても頼りになるだろう。


ジンくんは最近、ピアノの練習をしている。
友人にピアノの録音を送ろうとしたときには上手くいかなくて1時間も録音を続け、そこまでするなんてカッコいいなと褒めてもらったそうだ。
“みんなと出会わなければ適当に生きてがんばらなかっただろう”だなんてジンくんは言うけれど、みんなの知らないところで誰よりも早く練習室に行き、振り付けを覚えようと努力していることをメンバーたちはちゃんと知っているそうだ。
これはジンくんに限らず他のメンバーにも言えることだけど、きっと目まぐるしい日々の中でたゆまぬ努力を続けることの出来る人は少ない。だから、胸を張ってもいいことなのに、ジンくんはなぜかそうしない。
『Dynamite』以降に、より多くの人たちに関心を持ってもらったことで、道ですれ違う人にも声をかけられるようになったジンくんは、自分がこんなにまでお祝いの言葉と愛をもらってもいいのか、自分はそんな人じゃないのに…と思ったそうだ。
ずっと前から7人を好きでいる私たちには、根底にある気持ちの出発点は違えども、その感覚は少し分かる。あまりにも大きなものをその肩に乗せられて、潰されたりしないだろうか、たくさんのプレッシャーを感じているんじゃないだろうかといつもとても心配だから、何にも縛られることなく、手放しで胸を張って喜んでほしいし、それだけの努力をしてきたのだと認めている反面、ほんの少しでも重なり合う虚しさを感じていたことに、本当は喜んではいけないけど、少しうれしくもあった。

ジンくんがアルバムのミーティング中に言っていた、同じ経験をしたわけではなく、感情の理由も違うのに、お互いの悲しさや嬉しさやさまざまな気持ちに共感できる瞬間がある…という話のように、何も不安に思わなくても相手を本当に思いやる気持ちを持つ人になら、心を開いて聞かせてくれた打ち明け話に重なり合う想いを見つけることができるだろう。



5 テレパシー


「僕はカメラの前ではいつも明るい姿を見せたくて努力しています。僕を見てくださるのは気分を良くしたいからだと思うので、僕のせいで、あぁ心が痛いと思われたら僕の心がもっと痛くなると思います。」
だから、画面の中の僕の明るいところだけ見てほしいのだとジンくんは言う。


だけど、今の自分の感情に忠実に生きていて、後悔することもなくて、考えすぎることもないと話す正しくてポジティブでとても強い人の中にいる、
“歌手はコンサートをしなきゃいけない”とシュガがずっと口癖のように言っていたから、初めてのコンサートのときに“僕たちもついにコンサートをするんだ…!”と思っていた、いつかの素直な男の子を探してしまう。

めちゃくちゃなことを言っていたのに、急にまっ赤な顔でまばたきをしている、人の良さの滲む姿をとてもとても愛おしく思う。
好き勝手に行動しているようで、思いやりを忘れない人柄を愛おしく思う。



“誰かに影響を与えるなんて大げさなことは望んでいない。ただ僕たちを見ている方々が幸せで笑えるならそれでいい”のだと話すジンくんが、毎日気ままに過ごせる日々が続くといい。
ジョングクとホソクくんと3人で魚を捌いて味見をしていたときみたいに、食べられないほどしょっぱいと分かっているのに、なぜか味見して、ほとんど泣いてるみたいな顔で笑い転げていたあの瞬間みたいに、
美しく、きらきらと眩しい、なんでもない日常の小さな幸せが、
ジンくんの心の部屋の中で、宝石のようにいっぱいにかがやく瞬間を
ずっとずっと見つめていたいから。


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※おわりに
最後まで読んでくださりありがとうございます。
このnoteは人物の考察ではありません。だれかの中の“好き”という気持ちがいっぱいになりますように。

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