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宇宙でたったひとりの君に (ジミン編3)


誰もパク・ジミンにはなれない。
宇宙中探しても、ジミンくんみたいな人はどこにもいない。

圧倒的な身体能力のしなやかな身体と、中性的な歌声。
どんなコンディションの日でも完璧に自分の役割をこなし、抜群の存在感と輝きで、観る人を魅了する。
それは絶対に誰にも真似のできないことで、だからこそ彼の存在はとてもとても特別だ。



1  たった一人の君


だけど私たちはうっかり勘違いをする。
ジミンくんがとても身近で親しみやすい存在だと思う。
節目節目に必ずSNSに現れて温かいメッセージをくれるとてもマメで優しい彼を、勝手に自分と身近な存在だと勘違いをする。本当はどうしたって届かないとても特別な人なのに、なぜか自分と近い存在だと思うから、だからジミンくんは時々、揚げ足をとられてしまう。
同じ話をナムジュンが話したならば、すばらしいと賞賛されるであろうことでも、なぜかジミンくんが話すとあらゆる隙を見つけられ小石を投げられてしまうことがある。
なんの打算もない、ありのままの気持ちを、飾らない言葉でまっすぐに話せるジミンくんはとてもとても素敵だ。


辛いなら辛いと言えばいいし、悲しい時は泣けばいい。

「どうして僕がこんなことを経験しなくてはいけないのだろう?」とジミンくんは言った。世界が変わってからずっと、明るい話ばかりをしてくれていたし、とても楽しい姿をたくさん見せて、たくさんの笑顔をくれた彼が、ずっと心に秘めていた戸惑いや悔しさは、きっと世界中の誰もが心の何処かにしまいこんでいた感情だっただろう。
この広すぎる世界には自分よりも辛い人がいるから、甘えたことは言ってはいけないのだと、自分の気持ちに蓋をする人がこの世界にはたくさんいる。悪意で放つ言葉ではないのにも関わらず、こう言ったらこう思われるかもしれないと、ありとあらゆる配慮をしなければいけない世界で、一体どれだけの人たちが自分の本当の心を閉じ込めてきただろう。
あなたより辛い人がこの世界にはたくさんいるのにどうして泣くの?と石を投げられる世界で、ありのままの気持ちを裸のまま晒すことはとても厄介だ。
だからとても素直でまっすぐで、あまりにも無防備なジミンくんの本当の気持ちや涙は、ある人にとってはとても疎ましく、彼を大切に思う私たちにとってはとてもきれいで、何としてでも盾になって守りたいと思わせる、とめどない魅力を放っている。



2  キューティーセクシーラブリー


ではなぜ、こんなにもジミンくんは魅力的なのだろう?
どうして私たちの心を掴んで離さないのだろう?

学生の頃にやっていた現代舞踏をルーツにもつ指先まで計算されたしなやかなダンスは“舞う”という言葉がとてもよく似合う。しなやかに柔らかく時には鋭く、柔らかな羽が舞うように踊る姿はとてもとても美しい。
誰にも似ていない特徴的な声はどうだろう?
昔は声質のせいなのかその日その日のコンディションで揺れることがあったり、今日は声が出しにくいのかな?と感じてしまうことがあったけれど、今年に入り、ほかのメンバーからも「ジミンは今歌の練習をがんばっている」という話をよく耳にした通り、最近のジミンくんの歌声はとても安定していて口から音源を吐き出しているんじゃないかと思うほど、いつもどんな時でも上手い。


ジミンくんは努力の人だ。
『Blood Sweat & Tears』の頃、鏡を見ていて突然、自分もカッコよくなりたいとダイエットを始め、長い期間ろくに食事を取らなかったこともあったという。
『Black Swan』の活動期の前も、太ったから痩せるのだと宣言していたけれど、宣言通りカムバックしたジミンくんは、曲のパフォーマンスによく合った体型で、とても軽やかにジャンプをしていた。とてもとてもストイックだ。
だけど、努力をしたから今の彼がこんなにもまぶしく輝いているのだと勘違いしてはいけない。実際、それは確かなことでもあるから、私たちも彼のそういった姿を見て勇気をもらったり、自分もがんばれば成長できるのだと希望を持つことはすごく良いことだろう。だけど、「あのおもちみたいにかわいかったじみんちゃんに出来るなら私にも出来る…!」と勘違いしてはいけない。学生時代の写真の中にいるジミンくんは、当時から圧倒的に輝いている。ちっとも庶民派キャラではない。学生の頃メガネをかけていた彼がメガネをとって学園祭か何かのステージで踊ったら学校中の女の子たちが一目ジミンくんを見ようと押し寄せてきた…という逸話があるけれど、そういう存在なのだ。

そしてジミンくは色々な顔を持っている。
自分のことを“キューティセクシーラブリー”と言っているけれど、そのコンセプトを見事に体現している。『Dynamite』関連のインタビューの中だけでもその表情は日によってくるくる変わる。
ある日のインタビューで一番好きなダンスパートを尋ねられた際に、後ろからテヒョンくんが「僕のパートだよね」と冗談を言うと、すかさずそれに同意し、ふわふわと流されているみたいに見せながらも、抜かりなく自分の本当にお気に入りのパートをしっかりと説明していたけれど、意見をしっかりと提示しつつも癒しのイメージを与えるそのコミュニケーション力に全私がスタンディングオベーションした。そしてまたある日のインタビューではほとんどの時間だまりこみ、大笑いするでもなく少しだけ笑っているような、あるいは全然笑ってないみたいな顔でそこにただ座っていたりする。初めてその日のパクジミンを見た人は、天真爛漫でかわいい“キューティセクシーラブリー”だとは気づかないだろう。
また別の日には、脚を豪快に広げて座り、底抜けに明るく、いたずらにシュガヒョンをいじったりもする。
誰かがジミンくんを〇〇な人だと言えば、また別の誰かは何を言っているんだろう?と思うだろう。みんなの中に確実にどのパクジミンもいるのだけれど、そのどれかを言葉にした途端、何かがするりと逃げていくように違ってしまうとても不思議で多彩な魅力を持っているのだ。

ジミンくんの魅力はこうした、もともと持っているであろうスター性や身体能力や磨き上げられたパフォーマンス力だけでは片付けられない。

ジミンくんの魅力は彼の人柄の中にこそある。
ジミンくんは何気ない日常を大切にして、人の気持ちに寄り添う人だ。いつもそばにあってそっと差し伸べられる優しいぬくもりのように、いつも穏やかにそこにいてくれる。




3  しあわせの基準



ジミンくんの幸せの価値観は社会的地位やブランドものだとか、そうした数字で計れるものではなく、人にあるのではないかと思う。
『In the SOOP』でのジミンくんを観ているとそのことはとてもとてもよく分かる。
他のメンバーたちは、普段できないことをしようと、絵を描いたりブロックを組み立てたり、魚を捌いたり、それぞれのやりたいことに時間を費やしていたけれど、ジミンくんがしたがるのはいつだって“誰かと楽しめること”だったように思う。初日になぜか韓服を着ていたのも、番組を観ているファンやメンバーを楽しませる為だっただろうし、何をするにしても卓球だとかバドミントンだとか、必ず誰かがいないと成立しない楽しさを求めていた。初日、ずっとジミンくんに話しかけられていたホソクくんが飛行機を組み立てることに集中したくて「僕に構わないでね」と言っていたけれど、グクのところに遊びに行ってもボクシングに夢中でつまらなかったのか、すぐにホソクくんたちのいる部屋に戻り、ホビヒョンホビヒョン!としつこく話しかけていた。
また別の日も、ホソクくんに遊んで欲しそうに話しかけていたけれど、あれこれとみんなの為に動きまわっていたホソクくんがそろそろ一人でブロックに集中したがっている空気を察してか、ふらりと別のところへ移動していた。そして、仕方ないから一人でゲームをするのかと思いきや、おそるおそるキャンピングカーのドアを開け、音源の作業を始めようとしていたゆんぎに「寝るんですか?」と一緒に遊びたそうに控えめに尋ねていた。(みんなでいる時はいつもシュガヒョンへの当たりが強いのに2人の時はなぜかいつも控えめでかわいい。本人曰く“びびっている”らしい)
そして誰も遊び相手が見つからないときには、外で一人壁打ちをするほどやることがなさそうだった。


ジミンくんは人を通して楽しさを見つけるのだろう。
そのストイックな努力や、もっとステージを上手くやりたいという欲はすべて、喜びをメンバーと分かち合えたときに感じる幸せに繋がっているのだと言う。
ジミンくんはそういった努力や欲について「僕はとても、メンバーと分かちあいたいし、一緒に笑いたいし、楽しく、幸せになりたくてやってるいるんだな」と気づいたのだと話していた。
「単に家族みたいだからとか他にない同僚だからとか、または長い間一緒にやってきたからといって感じることではないと思います。僕がどれぐらい下手でも、失敗しても、大丈夫だと言ってくれる、何も言わずに僕の部分まで埋めてくれる人がいるということがすごく頼もしいと思いました。」
もしもメンバーたちと他のところで出会っていたら絶対仲良くなれなかったと話すジミンくんが、今となってはこんな風に仲間たちのことを大切に想っている。個性がバラバラでそれぞれの意見もしっかりと持っているBTSの7人は、いつも賑やかに話すから、時々誰かの言葉は拾われないまま流れていってしまうけど、ジミンくんだけは聞き逃さず、必ずといっていいほどその人だけに向かって笑ってあげたり、誰も聞いてないよと鋭いツッコミを入れたりする。誰にでも優しく見えるジミンくんは、実際、誰にでも優しい訳ではないだろうけど、大切な仲間達の気持ちにはいつだってすぐに寄り添えるほど、みんなをよく見ているのだろう。



4  ボスベイビー


『Dynamite』の活動中のインタビューでもメンバーの中で一番甘えん坊だと言われていたジミンくんだけど、マンネラインの中ではなぜかお兄ちゃんぶっている。
“ぶっている”という表現は違うかもしれないけれど、誕生日が一番早いからなのかなんなのか、とてもお兄ちゃんぽく振る舞うのがかわいい。

昔、マンネラインでかくれんぼをしていたときも自由なテヒョンくんやグクの間で一番空気を読んで行動しているように見えたし、ボンボヤハワイ編のマンネラインの3人での観光中も何かと“ヒョン感”を出していた。何よりもテヒョンくんやグクが何をしても全くもって動じないというか、全くもって気にしていないというところが、個人的にはとてもお兄ちゃんぽいと思う。


最近、グクと2人でキンパを作るVliveをしていた時がすごかった。
テヒョンくんから電話がかかってきて、グクが応対していたけれど、自由なテヒョンくんにグクはなんて答えたら良いのか分からない様子だったのにも関わらず、ジミンくんはそんなテヒョンくんの言動に笑うわけでもなく、ガン無視だった。意地悪とかそういうのでは決してなくて、そういった出来事はこの3人にとって日常的で、ジミンくんにはまったく気にならないことのように見えた。
『In the SOOP』でテヒョンくんがチヂミをひっくり返したがっていた時、何人かに全力で止められていたけれど、横から「こういう時はやりたいようにやらせてあげましょう」と言っていた。キンパづくり中に謎の電話がかかってきたときもやりたいようにやらせてあげていたのだろうか…。
ちなみにジミンくんの提案もむなしく、一度「テヒョンのチヂミチャレンジ」は頓挫したのだけど、結局最後の最後にはあの時ジミンくんが言ったように、やりたいようにやらせてあげる流れになっていた。弟たちのことをとてもよく分かっているいちばん年下のヒョンだ。


テヒョンくんやグクの良き理解者であるジミンくんだけど、そこにいたるまで、たくさんの出来事があったのだろう。
4〜5年前、練習室でグクと喧嘩をし、怒って部屋を飛び出したジミンくんは、泣きながら電話をかけてきたグクと、雨の中、紆余曲折の末に再会し、スラムダンクの漫画みたいにハイタッチして泣きながら仲直りしたという話はとてもとてもかわいい。

そして忘れてはいけないのがクオズの『マンドゥ事件』だ。
これも同じような時期だったのか、テヒョンくんが花郎の撮影をしていた頃、練習を始める前に届いたマンドゥ(餃子のような食べ物)を今食べるのか、練習後に食べるのかで言い合いになり2週間口を利かなくなったという事件だ。
ドラマの撮影でお腹が空いているから今食べようというテヒョンくんとみんなが食べてないのにお前だけ食べるのは良くないし、すぐに終わるから先に練習をしてから食べようと言うジミンくんと意見がぶつかり、ヒョンたちに外で喧嘩しろと言われるほどの言い合いになったという。
結局7人みんなで輪になって話し合いをするも解決せず、ジミンくんはゆんぎと2人飲みに行き、そのままの流れで近くの公園にて、テヒョンくんと2人で話し仲直りに至ったそうだ。微笑ましいのは、酔っ払ってテヒョンくんに語る喧嘩中のジミンくんの姿をテヒョンくんはちゃっかりと動画に収めているらしい。

ジミンくんの良いところは、グクとの雨の日の喧嘩も、マンドゥ事件の詳細も、あまりよく覚えていないというところだ。話しているうちにだんだん鮮明に思い出すものの、マンドゥ事件については発生から仲直りまでに最初は4時間か6時間ぐらいだと言っていた。まさかの長期戦だったのに、過ぎたことは忘れるのか全く根に持たない感じがすごく気持ちがいい。
そしてマンドゥ事件の最後に2人で公園で話した時間は明け方の4時で、そこから『네시』というすてきな名曲が生まれたにも関わらず、そのことをテヒョンくんがコンテンツ内で話したときにはそうだったの!?と言って驚いていた。
歌詞を見てピンと来ていないところがなかなかすごい。ジミンくんは幼い頃アニメのキャラクターのように、将来は世界一の剣豪になるのだと言っていただけあって、細かいことは全然気にしない、ビッグな男だ。


ちなみに、キンパづくりの時、時々突拍子もない行動で周囲を驚かせるテヒョンくんやグクの不思議な会話には全く気に留めずジミンくんが何をしていたかというと、何分も生配信をしていたにも関わらず、全部なかったことにして最初から放送をやり直そうという、一番よく分からない提案を出してきていた。

みんなが食べていないのに一人だけ練習を押してマンドゥを食べるのはおかしいと言い、誰かがやりたいと言っているならやらせてあげようと提案するジミンくんはとてもとても真っ当でちゃんとしている人…という印象だけど、みんなの突拍子もない行動を気にしていないという点では、自由にさせてあげているのではなく、ジミンくん自身の感覚の中でも全く不思議でもなんでもないことだからなのかもしれない。


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5  BE A GOOD HUMAN


ところで最近のジミンくんはとてもおもしろい。
2020年のSeason's Greetingsでは、ゆんぎとジミンくんはお互いを2019年一番笑わせてくれた人に選んでいた。
ゆんぎはジミンくんについて「昔は“面白くないジミン”として有名だったのに、最近は日常生活でも芸能生活でもすごく笑えて明るくなった気がしてうれしい」と話していた。お互いにきびしくすぐに小競り合いを始める2人の関係は、心を許し合った人たちだけが出せる鋭さと温かみが混在していて、見ていてとても微笑ましい。
ジミンくんはお酒が強そうだけど、時々耳にするその酔い方はとても興味深い。
マンドゥ事件の公園で「このままじゃダメだ」とテヒョンくんを諭した姿も気になるけれど、LYSのツアー中にホソクくんと飲んだ夜、「気を遣いすぎるな」と言われ「誰かがぼくの全てを理解してくれるのは限界があるんだな」と思って泣きながら、最終的には自分の自作曲を流して聞かせたのだという。(例によってその夜の出来事は覚えてないそうだ)
『In the SOOP』での蚊帳強奪事件もすごかった。メンバーと飲んで、みんなが寝たあともジョングクと2人でお酒を飲み続け、庭を走り回って追いかけっこをしたりして遊び、ジョングクの部屋の蚊帳を壊し、部屋の外に持ち出して逃げようとした瞬間、姿は見えなかったけれどドタバタと何かが派手にひっくり返る音がした。
ひっくり返ったのはジミンくんだったようだ。翌日遅くまで寝ていてやっと起きてきたジミンくんは脚を引きずるほどの怪我をしていた。
怪我はしてほしくないけれど、ストイックで、いつもパフォーマンスに人生の全てを懸けているかのように、時に張り詰め自分をコントロールしている人が、芝生をかけまわって、蚊帳というどでかいものを強奪しようとして失敗し、派手に転んで、思う存分に羽を伸ばしている様子は、とてもキラキラして見えた。


いつも楽しみの先に人がいるのは、ジミンくんが「休日を楽しんでいいのか分からない」と思っていたからなのかもしれない。
2019年、デビュー以来はじめて与えられた休暇中、ジミンくんは一人ワールドツアーをしていた。私たちファンの知らない友達と、色んな国を旅して、めちゃくちゃ羽を伸ばして楽しんでいるのかと思っていたけれど、その後1ヶ月ぶりにメンバーと合流し『BON VOYAGE』の撮影に行った時「僕はメンバーといるのが一番気が楽です」と言っていた。友達と楽しそうにしていたくせに「ここが僕の居場所だと思います」と言ったジミンくんを八方美人だと思う人がいるかもしれないけれど、自分の全てを舞台に懸け、与えられた休日に何をしたらいいのか分からないジミンくんが、一人ワールドツアーの末にメンバーたちにそんな風に気持ちをこぼしたのは、今思うととても腑に落ちるし、何も飾らない正直なジミンくんの気持ちだったのだろう。


ほんの一年ほど前、芸能人としてのパク・ジミンになりたいと言っていた。
きっとみんな完璧なパフォーマーのJIMINの中にある、とびきりかわいくて思いやりにあふれていて、時々とてもさっぱりしているジミンくんのことが大好きなのに、そんなことを言われて、ファンの中には少しだけ申し訳なく思った人もいただろう。だけどたった一年程度で、なんとジミンくんは今、真逆のことを言っている。
BTSのJIMINとしての自分も普段の自分もぜんぶ、ありのままの自分でいたいのだそうだ。
ジミンくんはまっすぐと伸びるブレない覚悟を腹に据えて、ふわふわと揺れながら、時に刺激的に、面白おかしくみんなを笑わせて、ありのままの姿で今そこにいる。


いつか“スマイルがあってかわいいから”と言って私たちに見せる為に着てきた新しい服には「BE A GOOD HUMAN」と書かれていた。ジミンくんはその意味を、何も考えていないのではないかと思う。誰かにもらったものじゃなくて、人が決めた衣装じゃなくて、ただかわいいから、自分の意思で選んだのだろう。
スウェットの袖に描かれたスマイルマークとロゴの言葉は、今の彼にとてもとてもよく似合っている。




6  誰でもない何かになったはずの君へ


シンガポールでの公演後、パフォーマンスが思ったようにできず泣いていたジョングクをいちばん最初に見つけ出したのはジミンくんだった。ホソクくんやジンくんに諭されているジョングクの隣にずっといたジミンくんはその場がピリピリしないようになのか、時々冗談を言ったり、空気を読んで静かに話を聞いていたりして、泣いてるジョングクとアドバイスをするヒョンの間にしっかりと挟まれていた。

驚いたのはみんなの話を聞いてそこにいただけじゃなく、ジミンくん自身もがんばりすぎるジョングクにアドバイスをしていたことだ。
いつかジミンくんが上手く声が使えなくて落ち込んでいたとき、グクがアドバイスをしながら慰めていたけれど、がんばりすぎる2人には、お互いの気持ちが痛いほど分かるのかもしれない。
だけどジミンくんはあまり深く考えてそんな風に立ち回ったわけではないのではないかと思う。
MAGIC SHOPのLIVEで新しい髪型に挑戦したテヒョンくんが、「水ワカメみたい」だとか言われて、その後いくらみんなにフォローされて褒められていても拗ねてしまっていたけど、LIVEが始まってすぐ
“人に何て言われても耳を貸さないで”という歌詞を、ジミンくんはふざけながらテヒョンに向かって歌っていた。
あんなに拗ねていたのに、ジミンくんのその冗談にテヒョンくんはぱっと花が咲いたように明るく爆笑していた。
ジミンくんはそれを計算していたのだろうか?ただ面白いからやっただけという感じがするけど、目の前の大切な人の中にできた心の隙間にすっと入り込んで、魔法のような言葉をかけてあげられるジミンくんは本当に不思議ですごい人だ。



最近、I-LANDという番組でこれからデビューする練習生たちにかけた言葉が印象的だった。

「デビューしたから何かになれた訳じゃない、皆さんが今日を忘れなければ、やりたいこと全部できて友達と共に舞台に上がる日が必ず来る。だから絶望しないで、希望を持って…」


デビューしたからといって何かになれた訳じゃない。

この言葉の重みはなんだろう。
好きなアーティストはたくさんいるけれど、誰かみたいになろうとして練習したりステージに挑んだことはないと話していた彼は今、ジミンくんの中で納得のいく何かになれているのだろうか。

デビューした当時は焦っていてピリピリしていたけど、今は余裕ができた気がすると優しい微笑みをもって話してくれたジミンくんは、早く今の状況が落ち着いて、ファンのみんなと会うことが僕の夢だと言ったジミンくんは、今の自分を好きでいてくれているだろうか。


もしもさみしい夜が来たら、誰も自分を分かってくれないのだと泣きたい夜が来たのなら、何度だって君に伝えたい。

君のような人は、この宇宙の中のどこを探しても、どこにもいない。
誰にも似てなくて、とてもとても特別な人だから、
ジミンくんのことは、みんなとてもよく理解しているようで、本当はきっと誰にも全然分からないんだろうけど、だからこそ、どうしようもなく人を惹きつける。


目まぐるしく変わる時代の中で、ゆらゆらと輝いてすてきに変わっていく君が、また新しい一年をとびきり楽しく過ごせることを願う。

大好きな舞台の上で楽しく遊ぶ仲間たちの姿に、
ただうれしくて涙する日がすぐ先の未来で待っていることを願って


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※おわりに
最後まで読んでくださりありがとうございます。
このnoteは人物の考察ではありません。だれかの中の“好き”という気持ちがいっぱいになりますように。


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