見出し画像

<論文>尿中肺炎球菌抗原検査の偽陰性の要因

Concomitant emphysema might increase the false-negative rate of urinary antigen tests in patients with pneumococcal pneumonia: results from a retrospective study
Eur J Clin Microbiol Infect Dis. Published 04 November 2020.
doi: 10.1007/s10096-020-04095-0

アブストラクト
尿中抗原検査(UAT)は肺炎球菌肺炎の迅速診断法だが、30%という高い偽陰性率が信頼性に影響を及ぼす可能性がある。UATの有用性を最大限に引き出すためには、UATの結果に影響を与える患者要因を調べる必要がある。しかし、UATの有用性と肺疾患の既往との関連を明らかにした報告はない。本研究では、血液培養または喀痰培養で肺炎球菌性肺炎が確認された388例の患者をレトロスペクティブに検討した。

最終的に、UATとCTの結果が得られた388例中94例を登録し、UATの有用性と肺気腫や肺線維症などの患者因子との関連を評価した。UATの全体的な陽性率は69.1%だった。肺気腫のある患者のUATの陽性率は、肺気腫のない患者に比べて有意に低かった(33.3% vs 77.6%、p<0.001)。単変量ロジスティック回帰分析では、肺気腫の存在は低い陽性率と関連していた(オッズ比6.944、95%信頼区間2.268-21.231)。多変量ロジスティック解析では、肺気腫の存在と血清尿素窒素(BUN)の低値は、有意かつ独立して低い陽性率と関連していた。

画像1

肺気腫とBUNの組み合わせは、肺炎球菌性肺炎患者におけるUAT陽性率を層別化する可能性がある。肺炎球菌性肺炎と肺気腫を有する患者は、UAT陽性率が低い。さらに、肺気腫と血清BUN値の組み合わせは、肺炎球菌のUATの陰性結果の信頼性を評価するのに有用である可能性がある。

ディスカッション
肺気腫が肺血管床の減少のために循環への肺炎球菌の侵入を減少させる可能性がある。血清BUN高値が脱水症に関連している可能性があり、濃縮尿サンプルが得られたからかもしれない。


<感想>
広島大学からの報告でした。偽陰性・偽陽性が注目されているいま,検査の特性を理解して使いこなすことが求められていると思います。次は,プロスペクティブに評価した結果を知りたいところです。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?