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惑星ソラリスのニュートリノ

惑星ソラリスのニュートリノ

最近、タルコフスキーの作品を色々観ているのだが、惑星ソラリス(1972)も観た。

しっかりしたSFはやっぱりおもしろい。

惑星ソラリスの上空にある宇宙ステーションで、ハリーの死んでしまった妻が実体化する。

この女、集団で幻覚をみているわけじゃなくて、ニュートリノでできた生命体だ。

こういうの好きだから、観ていたらいろいろ思いついた。

ニュートリノってすごく不安定だから集合して人間のかたちになることは難しい。

ニュートリノについて。

太陽ニュートリノ、超新星爆発で発生したニュートリノ。

人工的には加速器で作り出すことができる。大きいものだと山手線一周くらいの規模がある。加速器って電子顕微鏡の大きなやつという認識だ。電子を対象に発射して、それが跳ね返った凹凸を像にするのが電子顕微鏡だからだ。

ニュートリノができるには大きなエネルギーが必要だ。ビッグバンで宇宙が誕生した時に様々な粒子ができた。太陽なんていつも核爆発を起こしてるようなものだし。

ソラリスはいろんな天体から飛んできたニュートリノを磁力で捕まえて、惑星の中で安定させてしまうのではないか。

日本にもカミオカンデというニュートリノの観測所がある。気がつかないうちに遠い天体から飛んできたニュートリノが人体を通過してるかもしれない。こういうことを考えるとロマンがある。

人一人が実体化できる量のニュートリノってどれだけなのだろう。

よくわかんないけど、ソラリスで発生するんじゃなくて、宇宙の果てから飛んできたものを通過させずにとどめておくから、途方もない年月をかけて集めたんだと思う。

彼女は全宇宙の歴史がつまった有機生命体なのかもしれない。

ソラリスの影響の及ばないところで女は消えてしまうらしい。

つまり、ニュートリノがもともとの不安定な性質に戻るから、散らばってしまうということだ。

もしもニュートリノ人間と一夜を共にしたらどうなってしまうんだろう、と考える。

ソラリス上空の宇宙ステーション内だったら大丈夫なんじゃないか。

だけど宇宙ステーションが動き出して、ソラリスの磁場の影響が弱まったりしたら、集合してる粒子の密度も小さくなるから、女が体をすり抜けてしまったりして。

それでまたステーションの軌道が元に戻ったら男女が裸のままくっついて離れなくなるかもしれない。

密度が小さくなるということは粒子どうしの間隔は大きくなるから体はその分、均一に巨大化したりしないかとか(一時的に半透明の巨人になってしまう)、体をすり抜けたまま壁抜けをしてしまいその時点で磁場が安定したらステーションの壁に塗り込まれてしまうことはないかとか、船外に放り出されないかとか、疑問である。

「巨神計画」というSFの中に、カルシウムにニュートリノをぶつけて気体のアルゴンにするというのがあった。たしか古代兵器の部品が、石灰岩の地質のいたるところに埋まっているから、気化させて発掘するということだった。

もしもニュートリノ人間を安定させている磁場が異常を起こして、彼女がバラバラになったら、ニュートリノに曝露した周りにいる人間の人体にも大きな影響を与える気がする。

骨はカルシウムでできてるから、それがアルゴンになって蒸発すると、人間は骨を失いタコみたいな生物になってしまう。

文字通り骨抜きである。

ボンレスハム(骨抜き加工されたハム)人間になってしまう!

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