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#7 世界に一台しかない音 | 元祖発車音 開発秘話 新宿駅の音

今でこそ多くの駅で聞かれる発車メロディや発車サウンド。
その元祖である、「JR新宿駅・渋谷駅の音(1989-)」について、当時の開発プロジェクトリーダーである「井出 研究所」所長・井出 祐昭が、開発秘話や制作エピソードを語ります。

TOKYO MORNING 1989 (井出 研究所)

ー印象に残っている楽器は?

さて、以前のインタビューでは、音の選び方についての発見をお話しました。

音色がキーとなる中、特徴的な楽器はあったのでしょうか?


印象的だったのは、クリスタルマリンバです。世界に一台しかない佐々木硝子というところが開発したマリンバです。アルポホルン等もクリスタルで創っています。

クリスタルマリンバ
https://www.youtube.com/watch?v=aNBu1DdPq4w より引用

ガラスの音って通りやすくて意外と柔らかいんです。そこが良くて成田エキスプレスの発車メロディに採用しました。
ちなみに、サックス等のマウスピースでもクリスタルのものがありますが、これも柔らかくてとても良いです。

ただ、クリスタルって、すごい超音波が出ているんです。聴いていてもやばかったので、弾いてる人はもっと大変だったと思います。(笑)
負担になるような音を出来るだけ使わないようにして、中域にあるすごくいい帯域を用いました。透明感がある帯域なんですよね。

実は、クリスタルマリンバは運ぶのも大変。この時も色々試しましたが、運搬が難しかった覚えがあります。
難しいものを運ぶときは、ハープの運搬業者の人に頼むのがコツです。

Tr.3とTr.4の成田エクスプレス、是非お聴きください。
 ※このクリスタルマリンバの裏でとある動物が鳴いています…次回はその秘密をお話します。


「元祖発車音 開発秘話 新宿駅の音」では、皆様からの質問を募集しております。
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井出 祐昭 HIROAKI IDE
サウンド・スペース・コンポーザーSound Space Composer

ヤマハ株式会社チーフプロデューサーを経て、2001年有限会社エル・プロデュースを設立。最先端技術を駆使し、音楽制作、音響デザイン、音場創成を総合的にプロデュースすることにより様々なエネルギー空間を創り出す「サウンド・スペース・コンポーズ」の新分野を確立。
主な作品として、30周年を迎えるJR新宿・渋谷駅発車ベル、愛知万博、上海万博、浜名湖花博、表参道ヒルズ、グランフロント大阪、東京銀座資生堂ビル、TOYOTA i-REALコンテンツ、TOYOTA Concept-愛i、SHARP AQUOS、立川シネマシティ、世界デザイン博など。
またアメリカ最大のがんセンターMD Anderson Cancer Centerで音楽療法の臨床研究を行う他、科学と音楽の融合に取り組んでいる。最近では、日本ロレアルと共同で髪や肌の健康状態を音で伝える技術を開発。米フロリダ州にて行われた化粧品業界のオリンピックである第29回IFSCC世界大会、PR分野の世界大会であるESOMAR 2017にてグランプリを受賞。メディア出演・講演多数。

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