ストーリーが世界を滅ぼす
2023/3/26。大雨。寒い。
今週の記録をさらさらと綴っていきます。
ChatGPTがビジネスツールと統合へ
今週は、CopilotのOffice365や、ChatGPTのPluginの情報が出てきました。
いよいよChatGPT単体ではなく、日々使用しているツールとの統合が可能になっていきます。
Bingのチャット検索数も日本が多かったようですし注目度が高いようです。OfficeやWindowsとの統合が進むのは導入のハードルが下がるのでありがたいですね。
ストーリーが世界を滅ぼす
気になったキーワードや感想を書いてゆきます。
ストーリーには世界を変える力がある
本が焼かれるのはそこにストーリーがあるからだ。
ストーリーは私たちに知恵を与えるだけではない。私たちを勇気づけ、慰め、力を与える。主人公となって体験させ、目の前の状況から遠く旅をさせる。
アウシュヴィッツ収容所で家族たちの糧となったのはたった8冊の本だったし、戦場ので兵士に活力を与えたのも本だった。刑務所の読書会で、本に出会い、涙を流した囚人たちがいた。
ストーリーから世界を守れ
だからこそである。ストーリーには力があるからこそ、ストーリーの持つ力の闇の側面も認識しておくべきだ。「ストーリーから世界をどう守るか」が重要だ。
よくできたストーリーは感情に働きかける
特に、不安や恐怖、怒り、高揚といった感情に作用するストーリーは私たちを感染させ、誘惑し、啓蒙し、無意識化にインストールされる。そしてあたかもそれが自分が意思決定したかのようにその人物の思考に影響を与えて、行動を促す。
営業マンのトーク、カリスマや宗教家のセミナー、政治家の演説、ナチスのプロパガンダ。ストーリーは私たちの判断力を鈍らせ、ガードの隙間から私たちの中に入り込み、私たちの持つ思考のネットワークに無断で接続され、統合され、一部になる。
つまり、私たちがストーリーを選んで、所有しているのではない。ストーリーが私たちを所有し、コントロールすると言える。
語らず、示せ
語ることは私たちに意味を与えるだけだが、示すことは私たちに自力で意味を見出すように強いる。
以下の6語はストーリーを語ってはいない。示しているだけである。
この6語を読んだ後、数秒遅れて、私たちは、物語を発見する。数秒の間に、私たちの思考のネットワークの中で6語が近接し、結びつき、そこに新たなノードが生まれる。このノードは外から与えられたノードではない。既存のネットワークの中に組み込まれたノードである。
ストーリーを完成させるのは読み手
大きい三角、小さい三角、丸と四角い枠。これらから構成される約90秒の動画をみた者は、6語の単語と同じようにストーリーを補完する。
この場合もストーリーは外からやってくるのではない。ChatGPTの答えのように、過程は見えないが、学習されたネットワークから生まれ、あたかも創造されたように映る。だからこそもストーリーは粘っこく思考に残り続けるし、いずれ他の回路との見分けがつかなくなる。
真実よりフィクションの方がストーリーとして優れている
よくできたストーリーの筋書きはいつも同じである。そこには対立があり、問題があり、苦難を超えて、ハッピーエンドに至る。
だが、ハッピーエンドの後の物語は描かれない。「いつまでも幸せに暮らしましたとさ。」で終わりである。ハッピーな物語を語りたくないのではなく、単純に退屈で聞きたくないのだ。それよりも道中の問題や、対立する組織との戦い、苦難を超えた成長、それこそがストーリーのキモである。
そしてそれは真実には当てはまらない。よくできたストーリーに練り上げるにはとても足りない。結果、真実よりもフィクションの方が力を持つ。
ストーリーテラーの支配を逃れ、ポスト真実の時代を生きる
エビデンスや科学的プロセスが軽視され、フィクションが真実を上回るポスト真実の時代に突入しているが、筆者は今こそ改めてジャーナリズムや学術機関が対抗する必要があると説く。
よくできたストーリーは結束を産むが、それは同時に敵を生む。歴史やSNS、ストーリーテラーによって与えられた、示されたストーリーを、これはストーリーであると知覚することが第一歩のように思う。
個人的には以下のようなストーリーが示されることや、読み手の中で結実して生まれる点の考察が、非常に面白かった
以上です。
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