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Jersey Editの作り方(実践編)

改めてまして前回の記事を読んで頂いた皆様、ありがとうございました!
思ったより反響があったので驚きました。

さて、前回はどちらかと言うと制作の手法や工夫が中心でした。
今回はそれらの手法を使って私がどうエディットを作っているかの解説をします。
まずは以下の曲を聴いてみて下さい(宣伝)

このエディットのプロジェクトを用いて説明していきます。
といっても全編通しては大変なので、1stドロップ部分(0:53~1:48)だけに絞って解説させて頂きます。ご了承ください。

※使用DAWはAbleton Live11です。

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1. キックの処理
2. ボーカルのエディットと処理
3. インスト(オフボーカル)のエディットと処理
4. Jersey Clubサンプルの処理と配置
5. パーカッション、fillの処理と配置
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1. キックの処理

前回の記事でも書いた通り、キャラクターとなるキックと低音部分を担うキックを別々に作って重ねるという手法を取っています。

キャラとなるキックはサンプルパックから適当に選びました。
EQで低音部分をばっさりカット、他パートと干渉しがちな帯域も下げておくようにします。結果的に以下のようになりました。

スクリーンショット 2021-07-03 16.13.57

低音側のキックは基本808のサンプルを使っています。
100hzくらいを目安に上を全カットし、「デゥン」と鳴る部分だけを残します。
アタックは遅めにし、キャラとなるキックとなるべく干渉しないように気をつけます。
リリースタイムも曲全体のノリを左右する重要な要素なのでしっかり調整します。
個人的には長めが好みなのですが、ここは他のパートとの兼ね合いもあるため、繰り返し聴きながら色々試すのが良いと思います。
Simplerだと右下のノブでADSRが調整できます。便利!

スクリーンショット 2021-07-03 19.31.38

この2つをDrum Rackで重ねた後、コンプとソーセージファットナーで太くしたら完成です。
スペアナで見るとこんな感じ。ローがしっかり出るように仕上げています。

スクリーンショット 2021-07-03 16.55.40

2. ボーカルのエディットと処理

前半のボーカルチョップはサビのパートを刻んで使いました。
まず最初の8小節はこんなパターン。

スクリーンショット 2021-07-03 17.01.49

四分音符で分割したので32個のパーツに分かれています。
その中から歌い出しの「Super Sonic」を中心にパターンを構築しています。
抑揚をつける為にベロシティを調整しています。

次の8小節のパターンは以下の通り。

スクリーンショット 2021-07-03 17.15.34

(同じDrum Rackを使っています)
「Future Music」のパーツ=スライス18、22、23を表拍で鳴らしつつ、前半部分で使ったパターンの一部と組み合わせました。
こういったパターン作りはMIDIパッドで叩きながらの偶然に任せている部分があり、理論立った解説があまりできません。

次に音の処理です。
EQで無駄な帯域をしっかり削り、コンプで持ち上げます。
あとはディレイやリバーブで空間を適度に埋めていきます。
今回は細かい刻みを使ったこともあり、短いディレイを控えめにかけました。

スクリーンショット 2021-07-03 17.20.17

3. インスト(オフボーカル)のエディットと処理

ドロップ前半はボーカルチョップが入っているので、インスト側はシンプルに小節頭の1拍だけ鳴らすパターンをメインとしました。8小節目、16小節目に細かい刻みを入れて単調にならないようにしています。
音の処理ですが、EQ、コンプの考え方はボーカルの時と同じです。
OTTでMidを強調し、ディレイは長め・深めにかけて空気感を出しています。

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ドロップ後半のパターンは以下の通りです。
ボーカルはサビの歌をそのまま使っていますので、最後の8小節は細かく刻んで派手さを出しています。
(細かい配置にはどうしてもDrum Rackを使いたくなってしまう)

スクリーンショット 2021-07-03 17.43.22

しっかり音が鳴っている、各小節の1泊目のパーツを使っていることが分かります。
エフェクトは前半と同じものを使っていますが、ディレイの長さを半分にして印象を変えています。
あとコンプにはキックと同じタイミングでサイドチェインをかけています。

4. Jersey Clubサンプルの処理と配置

Jersey Clubお馴染みのサンプルを置いていく作業です。
ボーカルとインストのパターンを組み終わった後にやっています。
一個ずつ全て解説するのは大変なので、幾つかピックアップしました。

●Bed Squeak(いわゆるキコキコ)
冒頭の8小節中に使いました。パターンは単純ですが、インストの音が消える3、4拍目に置くことで印象付けています。

●銃の「カチャ」
個人的に一番好きな音で、他のエディットにも多用しています。今回は9~16小節に入れました。SimplerのLFOを使いPanを振ることで動きをつけています。

●キックっぽい「ゴン」みたいな音
17~24小節でリズムに変化を入れるために使いました。

●声ネタ系
「hay!」とか「go!」とか色々使っています。
声ネタサンプルを大量に読み込んだDrum Rackを作っており、MIDIパッドで鳴らしながら相性の良いサンプルを選んでいます。
インストやボーカル部分となるべく被らないよう、「隙間」に置くことを意識しています。
また、尺が長いサンプルは刻んであげるとノリが出ます。
例として、5~8小節で細かく聴こえる声は「Haaaa!」というサンプルを以下のように1/32で刻んで作っています。

スクリーンショット 2021-07-03 18.32.00

5. パーカッション、fillの処理と配置

サンプルパックからClapとSnapを1種類ずつチョイスしました。
音の処理はEQ、コンプとリバーブを用いています。
今回は主張抑え目なバランス調整にしており、配置もシンプルなパターンを使っています。

スクリーンショット 2021-07-03 21.10.32

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fillは1/2〜1小節の長さでパターンを作成し、8小節毎に配置しています。
今回はドラム系のループやスクラッチ音を中心に用いました。
Jersey Clubは音数が少なく単調になりがちなので、fillの引き出しは多いに越したことはありません。

最後に

これからJersey Editを作りたい人の参考になれば幸いです。
色々考えるよりもまず、他人の真似で良いので作ってみるのが一番かと思います。
(ブートレグなのでくれぐれも自己責任でお願いします...)

何か質問があればTwitterとかで聞いてください。
次回はリミックス編を予定しています。気長にお待ち頂ければ!

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