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ハウツーライト七音調梯年代記<セブンス・ハーモニー・クロニクル>

 こんな小説を書きました。

 この記事はどうやってこれを書いたのかをつらつら述べようというものです。ハウツーとか言ってますが、多分何の参考にもならないと思います。どちらかというと、ネタ出しから脱稿まで滅茶苦茶スムーズに進んだので頭の中の動きをこうやって明文化する事により、自分自身が後々振り返る為のメモみたいなもんです。

書いた切っ掛け

 こちらのジョン久作=サンのエイプリルフール小説と、

 こちらのタイラダでん=サンのエイプリルフール小説を読んで僕は震えました。余りの面白さと──続きが存在しない事、騙された怒りに!(※誇張さた表現です)。ならば俺も書いてやる! 俺も騙してやる!(※誇張された表現です)。その決心をしたのは4/2日の深夜の事でした。しかし時計を見るとハワイ時間ではまだ4/1日ではないですか。やってやるぜ。
 書くならば似たような方式に合わせるのがいいでしょう。という訳で上記の二作品を読み返し、共通点を探します。そして個人的なレギュレーションを設けました。

 こんな感じです。
 そして読者ターゲットはピュアな僕の心を裏切った(※誇張さた表現です)ジョン久作=サンとタイラダでん=サンだ!

プロットを立てる

 僕は普段プロットを立てる時は、「絶対に書きたいシーン」を幾つか考えてそれらを線で結ぶというやり方を取っているのですが、今回はレギュレーションから逆算して作りました。逆噴射小説大賞の時のノウハウがここで生きましたね。
「Aが何かに襲われている」「襲ってきたやつをBが倒す」「更なる脅威が襲ってくるがこれもBが撃破」「これがAとBの出会い」
 プロットはこれで完成です。ドシンプルですが、プロット自体はいつもこんなもので、僕の場合はここから書きながらどんどん肉付けしていきます。

名前を決める

 キャラの名前です。『白き狩人たち』はシンプルにエイプリルフール。『死に餓える』は少し捻った四月馬鹿。ならば僕は両者のハイブリッド仕様にしようそうしよう。
 ここでヒロインの名前が『ウヅキ』に決定します。そうなるとヒロインのもとに訪れる奴は日本人、或いはそれに準ずる存在に自動的に決まりました。ウヅキが四月であることを自然と説明しなければいけませんからね。別に現代日本が舞台ならば説明の必要もないのですが、今回のターゲットは無類のファンタジー好きの方々。異世界ファンタジーを書く他ありますまい。
 さて異世界ファンタジーで日本人っぽい存在を出すのならそれはもう、サムライでしょう。ニンジャでもいいのですが、ぱっと思いついたのはサムライが先だったので。サムライ……サムライ……柳生だな。そういうことになった。
 そして名前は『F』。言うまでもなくフールのFです。最初は『愚者』ってストレートにつけて、タロットのアルカナと何か関連性を保たせようとも思ったのですが、サムライとタロットカードを結びつけるのは僕には無理でした。サムライ『F』ってなんかカッコよくねという判断もありました。

世界観設定

 これはサムライの名前から連想して造られました。『F』っていったら音楽のコードだろう、と。フォルテのFとダブルミーニングになるしカッコよくないですか?
 音楽、音。それが基盤となる異世界。地水火風の所謂四大エレメントそれぞれに対応する音が存在し、それらの組み合わせを奏でる事で魔法的な物が発動する。アルトネリコの詩魔法に近い感じ。和音。調律。メロディ。ハーモニー。そんな世界で出てくる敵。不協和音。ノイズ。無音。逆位相音。地水火風の音は解析がされているが、光は一部だけしか操れず、闇の音は禁忌とされている。隠された第七の音が存在する。
 これくらいまで決定した時、タイトルが浮かびました。七音。まあ言うまでもなくドレミファソラシですが、上で決めた世界設定にも絡ませてあって良い感じでは? でまあ、最初の仮題が確か「七音調律年代記」だったのですがぼくのかんがえたさいきょうの造語を入れたくなるのが癖なので漢字変換とにらめっこしながら現行タイトルへと相成りました。
 舞台となる世界の秩序を保っているのは『福音教会』。これは作中には実際には出さなかった設定ですね、ベタ過ぎるわ! となったので。でもその名残として敵の機韻蟲〈オペラ・メカニック〉は『罪音〈ZION〉』という組織に属しています。『ZION』はジオン公国の事ではなくシオンですね。聖書に出てくるシオンの丘の。ZIONとわざわざアルファベット書きにしたのは、最後の方でFは愚者〈FOOL〉のFとウヅキちゃんが罵るシーンの違和感を少しでも消すためだったりします。ちなみに機韻蟲〈オペラ・メカニック〉はバレエ・メカニックのもじりです。
 教会を出さない代わりに出したのが『七音聖譚連盟〈セプテット・オラトリオ〉』。『七音調梯機構〈セプテントリオン〉』とどっちにしようか迷ったのですが何かありがたい感じのオラトリオにしました。というかセプテントリオンだと別のイメージの方が強いですからね、アルファ・システム信者的に考えて……。

執筆

 後は書くだけです。作中のルビとかは大体書きながら決めました。炎甚音〈エンジン・ノーツ〉はちょとどうなのと自分でも思いますが、こういう言葉遊びを入れないと死ぬ病気なんです。見逃してください。個人的に気に入ったルビは六華波羅〈ローカパーラ〉。我ながら渾身の出来では? と書きながら自画自賛しました。
 柳生音陰流とか、何故か異世界で出てくるインド神話の神様の名前とかはまあ「東方の国」で雑に一纏めです。光音術〈ストレイ・ライト〉はシャニマスから拝借しました。遊んでもないし詳しくもないのですがTLを眺めていると目につくので……。
 戦闘シーンというのはいつまで経っても書き慣れません。なんで皆あんなに脳内再生余裕な動きある文章を書けるのでしょうか。こればかりは映画やアニメなどの「動」のインプットを増やすしか無いのでしょう。
 スタートシーンはファンタジーでは村焼きの次くらいにありきたりな国が滅亡するシーンから。追われる王族の生き残りの姫。追ってくる異形。助けに入るサムライ。概ねプロット通りに書き上がりました。自分としては珍しいくらいに。やはりレギュレーションという縛りがあるとシャンとするタイプのようです。
 サムライのキャラをどうするか悩んだのですが、ベタにつっけんどんな感じで。国が滅んで今は動転しているけど本当は気の強いお姫様とクールなサムライのバディ。いいですねえ。好きですよ。
 ちなみに誰にも指摘されなかったので小ネタを披露しておきますが、敵が鳴らしている不協和音はドグラ・マグラの冒頭の音です。「嫌な音」で真っ先に連想したのがそれでしたので。あと長剣〈ハーモニカ〉はハーモニカがくっついた刀です。ハーモニカタナ……。またダジャレかよ。【王国】の国宝とされるカドモスの金はなんなのか僕にもよく分かりません……。カドモスってのはギリシャ神話のハルモニアって女神の夫です。聖書ベースなのかインド神話なのかギリシャ神話なのかはっきりしろって感じですね。

完成

 そして投稿。日本のエイプリルフールはとっくに過ぎてからの投稿でしたので反応はいつもより少なかったのですが、というか怒られないかなと割と心配していたけどそんな事杞憂だったのですが、騙したいお二人にはしっかりと届いたのでぼくはまんぞくです(性格が悪い)。
 思い立ってから書き上げるまで大体10時間くらいでした。個人的にはこれでも超速の部類に入り、いつもこんな風にネタが湧いてきてくれたらなあと願う次第です。個人的に面白い体験だったのでこうして文章で残す事に致しました。
 オチとか特にないしなんの参考にもならなかったと思いますがこれで終わりです。

PS5積み立て資金になります