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デザイナーという仕事

はじめまして。アイシーティーリンクのこざきと申します。

アイシーティーリンクはIT系の企業なのですが、私の職種がグラフィックやUIのデザイナーですので、私の思うところのデザイナーという職業のお話をしようかな…と思います。
とはいえデザインも幅広いので、自身が身を置いている印刷物や広告、アプリケーションなどの業界のお話になります。
どちらかというとこれからデザインをしたい方や、社内でデザインを頼まれる事が多くなってきたという別職種の方向けです。
おそらく同じような事をおっしゃってる同業の方もいれば、全く考え方の違う方もおられると思いますが、個人的にはこう考えますというお話です。

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デザイナー≠アーティスト
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デザイナーとアーティストは違います。
お分かりの方は「そんなのわかってるよ!」と思われるかも知れません。
しかし、デザイナー志望や、デザイナーになったばかりの方、クライアント様にもよく勘違いされていると思うことがあります。

・アーティストとは(たぶん)
自分のなかからあふれ出るパッションを絵にしたりとか、自分がかっこいいと思うものを作る。
それに対して自身で対価を決め、この作品にはその価値があると思ったお客様が買ってくださる。まさに自分が主役です。
というのはアーティストになると思います。たぶん。
アーティストになったことがないのでイメージですが、画家とかイラストレーターとかミュージシャンとかそういう感じですよね。

・では、デザイナーとは?
デザイナーの作るものの主役は製品やイベントそのものであったりが多いです(キャラクターデザイナーとかだと話は違ってくるのですが)。
デザイナーはまずクライアントの依頼ありきですので、できあがったものをクライアントに納得していただかないといけません。
エンドユーザーをもちろん考えますが、エンドユーザーより前にクライアントです。
クライアントが自社の製品やサービスを「対象としている層にアピールするのに適している」と評価しないと不採用です。
どんなに素晴らしいデザインだとしても想定しているユーザー層やアピールしたいポイントにそぐわないとしたら、それは片手落ちになってしまいます。
ですので、そういったことを基本として抑えた中でトレンドを混ぜ込んだり、ちょっとしたところで個性を出していく…という感じになるかなと思いますので、自己表現だったり個性を前面に出しまくりたい!とかはちょっと違うんじゃないかな…と思います。

作った成果物はデザイナーの「作品」になりますが…
「今までどんなの作ったの?」と聞かれたとき、デザイン職は職務経歴書よりも過去の成果物をポートフォリオとして持参します。
ですがその作品の中でもどういった製品・サービスを周知・販売のためにどのようなデザインをしているか、たとえば転職活動であれば自社の主なデザインを任せられる表現力や技術があるかを見るのが主な目的だと思います。

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デザインには、そのデザインにするために理由があります。
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「なんとなく好きだから」「かっこいいと思うから」ではなく、この製品をアピールするために必要な要素を考えてデザインし、その中で自分でよいと思うものを作り、提案します。
クライアントの担当者の好みとは違うけれど、デザインの理由として納得して頂ければ採用になりますし、納得できなければリテイクです。
もちろんクライアントの好みで理由としても十分納得できる方がよいのですが。

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そういったことを防ぐために何が必要か
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なるべく詳しくお話を伺う
資料を読み込む

これはデザインに限らずお客様からの依頼でものを作る仕事では共通だと思いますが、結局これに尽きると思います。

そのもののアピールポイント、エンドユーザーの年齢、性別、業種…男性向け、女性向け、ビジネスシーンで使うものかそうでないものか。
たとえば独身男性が使うものかお子さんをお持ちの男性が使うものか──そういったことを踏まえて考えていくと方向性などが決まります。

たまに「デザイナーさんのセンスで決めちゃってください!おまかせします!」と言われたりするのですが、最終的にデザインするのはデザイナーでも、上記のようなターゲットの情報などがわからないとどこに向けてデザインするのかが曖昧になってしまいます。
もちろんある情報の中で精一杯努力しデザインしますが、最初の聞き込みをしっかりしていないと、結局できたものが意図するところとずれてしまったりしてクライアントに不安な気持ちを抱かれたり、デザイナー側も修正無双でイライラしたりと双方いいことはありません(笑)。

中には「見てみないとどういうデザインがいいのか想像できない」といわれる方もいらっしゃいます。
会話の中やメールでの言葉だけだと想像できない…など、打ち合わせ中のラフなども手描きモノクロだし…など。
デザイン事務所では、営業さんもクライアントもデザインに「慣れて」いる方も多いのですが、IT系に来てからは「デザイン」を意識する機会のなかったクライアントも少なくなく、依頼も手探りで、イメージをどう伝えたらいいかわからない…ということのようです。
その場合はたたき台として2~3案くらいメイン画面のデザイン案をお見せして、そこから話を広げていく…そして話してみたら最初と全く違ってきた…というパターンもあります(この場合は大体そうなるだろうと思いつつ作ります)。

このパターンの場合はこのたたき台作成の時間や料金なんかも納期や見積もりに加味しないといけないのですが…。
情報の中には予算だったり納期も含まれますので、こんなに時間かかったら赤字じゃないか…というのを避けるためにもやはり聞き込みは必要だな…と思います。
ですので最初の段階である程度詳しく話を聞くのが大事だなと常々思います。

デザインという仕事自体はどこか職人っぽいところがあると思うのですが、結局お話を伺う事を考えると、人とのコミュニケーションに行きつきます。
会社に属しているとこういったことは営業さんがしてきてくれたり、営業さんに同行してお話を伺ったりになりますが、フリーだったりするとすべて自分で行わなければいけません。
会社であっても営業さんに根ほり葉ほり聞いて嫌がられつつも(笑)伝え忘れてたのを思い出してもらったり、足りない情報を聞いてもらったりします。
会話の中で「この人はこういったものが好みっぽいな」「こういったものを求めているな」というのも判ったりします。

良いデザインをする知識や技術と同時に、クライアントからお話を伺うためにコミュニケーション能力も鍛えないといけませんね…(自戒を込め)。
とても長くなってしまいました。すみません。

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