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心ゆさぶる台湾旅〜人の温もりに触れたひととき〜


中学生の頃からの友人2人と、久しぶりのランチ。
パスタを頬張りながら、3人でした旅行の思い出話に。

ある夏、私が企画した離島ツアー。
民宿の天井には忍びの者でも落ちてきたのかと思うような巨大な穴。温泉に入ると貸し切り状態〜!と喜んだのも束の間、宿泊客は私たちのみで正真正銘の貸し切りだったという衝撃。
私主催の回はミステリーツアーと呼ばれた。

20代だった私たちは夏と冬に色々なところへ出かけた。
韓国、香港、台湾、北海道、あちこちの温泉地…。

その中でも台湾での思い出は特別だ。

親日的とは聞いていたけれど…なんて優しさ!!


台湾といえば、小籠包。
セイロの蓋を開けると湯気と一緒にお出まし。れんげにのせて箸先で皮を破るとジュンワ〜と溢れ出す肉汁。シャキッとした新鮮な千切り生姜をのせて熱々をいただく。

そんな小籠包を求めて、地図を広げて彷徨う私たちに1人の女性が声をかけてくれた。
簡単な英語でやり取りした後、女性は突然タクシーを止めて私たちに乗るように促す。
あまりにも急な展開に判断力を失い、私たちは乗ってしまった。

運転手と女性が何を話しているのか全然わからない。どこへ連れて行かれるんだろう…。
日本語でボソボソと不安を口にする私に、
「ダイジョウブ。」
と女性が助手席から一言。
車内が静まり返る。

驚いたことに、到着した場所は私たちの目的地だった。女性はわざわざタクシーに乗って、お店まで連れて来てくれたのだ。

タクシー代を払おうとする私たちに向かって、
「お金はいらない。私はただ日本のことが好きで、あなたたちの役に立ちたかっただけ。」
ということを告げ、何度もお礼を言う私たちに背を向け、人混みの中へと消えていった。


もうひとつ。
台湾シャンプーなるものをしてみたくて美容院を探したが、その日は多くの美容院が休日だった。

台湾シャンプーとは、マッサージをしながら髪を洗ってもらい、最後にたっぷりの泡で髪をドキンちゃんのツノのようにしてもらうところが写真映えするというもの。

ガイドブックではお店が見つけられず、たまたま開いていた美容院に飛び込んでみた。
店員さんに台湾シャンプーができるかを身振り手振りで尋ねるが、言葉が全く通じない。
困っていると、店の奥から1人の女性が現れた。

「ワタシ、日本語話セマス!」
そう力強く話す女性は、明らかに現在進行形でパーマを施術中のお客さん。頭は薬剤をたっぷり塗られてグルグル巻きになっているというお取り込み中の状況で、バッグを抱えてわざわざ出て来てくれたのだ。

その女性のおかげで台湾シャンプーができるお店を見つけられ、無事に3人でドキンちゃんになれた。

台湾に思いを馳せる

台湾はどこへ行っても人が優しかった。
日本よりも日差しが強く、常夏のような気候の中で食べる冷んやりスイーツは格別だった。
台湾では良い思い出しかない。

もう10年ほど海外旅行はしていない。今はスマホのおかげで道に迷うことも言葉で困ることも減ってきただろう。
しかし、地図を広げたり、読めないメニュー表を見てドキドキしたり、外国の通貨に換金するとお財布がパンパンになって大金持ちになった気分を味わったり。あのアナログな感じも楽しかったなぁと思うのは、私も少し年を重ねてきた証拠なのだろうか。

暖かくて、温かい台湾。
飛行機に乗れば、沖縄のちょっとむこう。
再び訪れたい、活気と優しさに溢れたあの場所へ。

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