見出し画像

【Music】Forever Young / Bob Dylan

Forever Young / writing Bob Dylan
はじまりの日 / by Arthur Binard


May God bless and keep you always,
きみが 手をのばせば しあわせに とどきますように
May your wishes all come true,
きみのゆめが いつか ほんとうに なりますように
May you always do for others
まわりの人々と
And let others do for you.
たすけあって いけますように

May you build a ladder to the stars
星空へ のぼる
And climb on every rung,
はしごを 見つけますように
May you stay forever young,
毎日が きみの はじまりの日
Forever young, forever young,
きょうも あしたも
May you stay forever young.
あたらしい きみの はじまりの日

やくそくを まもって
うそを きらいますように
このひろい 世界が
きみの目に 光りますように

背を まっすぐのばして
いつでも 勇気がもてますように
毎日が きみの はじまりの日
きょうも あしたも
あたらしい きみの はじまりの日

きみの手が ずっと
はたらきつづけますように
きみの足が とおくまで
走っていけますように
流されることなく
流れを つくりますように

きみの 心のうたが
みんなに ひびきますように
毎日が きみの はじまりの日
きょうも あしたも
あたらしい きみの はじまりの日

はじまりの日 / アーサー・ビナード 2010/3
はじまりの日 / 訳 アーサー・ビナード 、絵 ポール・ロジャース 2010/3
絵本『はじまりの日』「この本の絵について」ポール・ロジャース


 シンガーソングライターのボブ・ディラン氏の14枚目のスタジオアルバム『プラネット・ウェイブス (Planet Waves) 』(1974.1 release) に「フォーエバー・ヤング (Forever Young)」がスローバージョンとロックバージョンの2つの異なる演奏で初めて収録されいましたが、オリジナル盤を聴く機会はほとんどありません。1966年生まれの息子への思いを込めたナンバーとして書かれたもので、子どもが強く幸せでいてほしいという父親の願いが込められています。
 74年1月ザ・バンドとの再スタートの北米ツアーでは演奏されましたが、ライブアルバム『偉大なる復活 (Before The Flood) 』(1974.6 release) 全21曲には収録されていませんでした。ザ・バンドとの演奏ではありませんがライブバージョンが聴けたのは、78年初来日ツアーのライブアルバム『Bob Dylan At Budokan (武道館) 』(1978.8.2 release) に収録された演奏でした。78年3月の日本公演、大阪におけるライブ演奏は淡々とした演奏のなかで粛々と進行し、軽めのウエーブで終演したようなステージの残像として記憶しています。
 76年11月25日、ザ・バンドの解散コンサート「ラストワルツ」をマーティン・スコセッシ監督により映画化された『ラストワルツ』は、78年7月に日本で公開されましたが、ザ・バンドと共演するボブ・ディランの「フォーエバー・ヤング」「連れてってよ (Baby, Let Me Follow You Down) 」そして「アイ・シャル・ビー・リリースト (I Shall Be Released) 」、すばらしいパフォーマンスが映っていました。
 「フォーエバー・ヤング」は60年代に青春を生きた若者が、次の世代の息子へ深い思いを込めて誕生した曲ですが、生まれてきた子どもへの子守歌であり、子どもたちにたいしての希望と期待を授けるナンバーですが、おとなたちに送るファイトソングでもあり、老いてゆく者への哀愁とはかなさ (fragile) が漂う楽曲としても歌い継がれていく「歌謡」ではないのかな・・・。


 多くのアーティスト(ジョーン・バエズ、ロッド・スチュワート、ダイアナ・ロス、ルイザ・ジョンソン...)が「フォーエバー・ヤング」をカバーしていますが、ボブ・ディランの大ファンだったスティーブ・ジョブズ氏の追悼コンサート(2011年10月19日・クパチーノ、アップル本社)でのノラ・ジョーンズのカバーバージョンをアップル社スタッフに捧げているので、ぜひ聴いてください。

ボブ・ディラン
「口がきけない」という経験をジョブズがしたのは、ボブ・ディランと同席したときだけらしい。
 ディランがパロアルト近くでコンサートを開いた2004年10月、ジョブズは最初のがん手術を受けて療養しているところだった。この時コンサート前にホテルに来ないかとジョブズを誘ってくれた。・・・その時の様子についてジョブズはこう語る」

 彼の部屋の外にあるパティオで2時間ほど話をした。緊張したよ。彼は僕にとってヒーローだからね。もうひとつ、彼が昔ほど鋭くないのではないか。昔の自分をまねしてるだけの人間になってしまったのではないかと心配していた。よくあることだからね。
 そんなことはなかった。うれしかったよ。本当に頭がいい。こうだったらいいなとおもっていたとおりだった。あけっぴろげで正直で。人生についてとか歌を作ることについて、いろいろと話をしてくれた。「曲はどこからともなく沸いてきた。作曲している意識なんてなかったよ。それもいまは昔だ。ああいうふうに曲を作ることはもうできない」。彼はちょっと黙ると、ほほえみながらこう言ったんだ。ちょっと甲高いあの声でね。「でも歌うことはいまでもできるよ」。

「スティーブ・ジョブズⅡ」第31章ミュージックマン 人生のサウンドトラック
(ウォルター・アイザックソン著 井口耕二訳 講談社)

 


 ボブ・ディランが米ツアー活動に復帰した1974年から50年。50周年を記念する『偉大なる復活:1974年の記録 (The 1974 Live Recordings) 』が9月20日(金)リリースされることが決定しました。ザ・バンドをバックに迎えた1974年の公演から、現存する録音をすべて収録。 CD27枚組の豪華ボックス・セットには全431曲収録。未発表ライヴ音源417曲、そのうち16トラックのテープから新たにミックスしたのが133曲で残りは現存するサウンドボード等からの音源です(1974年発売『偉大なる復活』には収録されていたが、ザ・バンド単独による演奏は含まず、ボブ・ディランのみのパフォーマンス)。数多くの未発表写真を掲載したオリジナル・ブックレットにはジャーナリスト・評論家のエリザベス・ネルソンによるライナーノーツも収録し、日本版ブックレットには3万字を超える翻訳解説と書き下ろし、歌詞・対訳をまとめられている。

 『偉大なる復活:1974年の記録』より、「Forever Young(いつまでも若く)」の未発表パフォーマンス(1974年2月9日のシアトル公演〈午後の部〉)が7月9日(火)公開となりました。

Provided to YouTube by Columbia/Legacy
Forever Young (Live at Seattle Center Coliseum, Seattle, WA - February 9, 1974 (Afternoon)) · Bob Dylan · The Band
Forever Young ℗ 2024 Columbia Records, a division of Sony Music Entertainment Released on: 2024-07-09
Associated Performer: Bob Dylan & The Band
Producer: Steve Berkowitz
Recording Engineer: Rob Fraboni
Recording Engineer: Phil Ramone
Mastering Engineer: Steve Addabbo
Mixing Engineer: Chris Shaw
Engineer: Ed Barton
Engineer: Bill Broms
Engineer: Jack Crymes
Engineer: Biff Dawes
Engineer: Deane Jensen
Guitar: Robbie Robertson
Clavichord, Organ, Piano: Garth Hudson
Keyboards, Organ, Piano: Richard Manuel
Bass Guitar: Rick Danko
Drums: Levon Helm
Auto-generated by YouTube.

Forever Young(Live Seattle Center Coliseum… Bob Dylan - The Band / YouTube


 スティーブ・ジョブズ氏はボブ・ディラン演奏の iPodコマーシャルにも全身全霊を投入しました。
 この広告は、iPodマーケティングの‘‘ハロー効果‘‘がよく現れています。ボブ・ディランにも若いファンが増えました。このビデオクリップにより、ボブ・ディランの最新アルバム『モダン・タイムス』は発売第1週でビルボードチャートのトップになりました。
 2006年8月29日、アップル社は iTunesストア(only) でディランのアルバム全曲をまとめたデジタルボックスセットを199ドルで販売しました。63枚のアルバムディスクとほかでは聴けない42曲のボーナストラック1枚を含めた全773曲。
 ジョブズ氏はこの企画の発表に際し、「ボブ・ディランは、僕らの時代のトップクラスの詩人でもあり、ミュージシャンでもある。ぼくにとってはまさしくヒーローなんだ」と語っています。

ジョブズのiPodの中身

iPodは社会現象となった。大統領候補からB級セレブ、はじめてのデートする相手、英国女王など、白いイヤホーンをしている人誰にでも、
「あなたのiPodにはなにが入っていますか?」

   (中略)

というわけで、私もジョブズに「iPodを見せてほしい」と頼んでみた。

   (中略)

いろいろな曲を聴いたあと、昔からよく聞かれる質問を投げかけてみたーービートルズとストーンズ、どちらを選ぶ?
「火事でマスターテープを1本持ち出すのが限界だとしたら、僕はビートルズを選ぶ」
「悩ましいのは、ビートルズかディランか、だよ。ストーンズなら誰かが再現できると思うけど、ディランとビートルズは無理だからね」
我々が子どものころ、そういう人たちがたくさんいたのは幸せだったと昔を思い出していると、彼の息子、18歳になったリードが部屋に入ってきた。
「こいつはわかってくれないんだ」
そうジョブズは嘆くが、もしかするとわかっているのかもしれない。彼のTシャツにはジョーン・バエズと「フォーエバー・ヤング」という文字がプリントされていた。

「スティーブ・ジョブズⅡ」第31章ミュージックマン 人生のサウンドトラック
(ウォルター・アイザックソン著 井口耕二訳 講談社)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?