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公園のような場所 / 妹島 和世

[大阪芸術大学アートサイエンス学舎 / 妹島 和世せじま かずよ | TOP画像]

 大阪芸術大学に「丘」が建つまでの3年半の記録を写真家 ホンマタカシ氏が監督・撮影した映画「時間と建築と妹島和世」が、昨年ドキュメンタリー映画として劇場公開されました。妹島和世氏は、建築界のノーベル賞と呼ばれるプリツカ―賞を受賞した二人目の女性建築家です。初めての女性受賞者は、建築家 ザハ・ハディット氏でした。二人は新国立競技場国際デザインコンペで、入選作品3作品のうち最優秀賞と入選賞に選ばれました。二人の女性が選ばれたことは、ごたごたに終始した東京2020オリンピックが終わった今では、導火線の発火点だったように思われます。まさか審査委員長の建築家 安藤忠雄氏も予期せぬ結果と言えます。

 建物が完成するまでの過程において、建築家がどのように関わっているかの3年半の記録は貴重な映画となります。二人の女性建築が関わった作品を含めて46の作品が現実のものとならなかった。いわゆる「アンビルド建築」は、新国立競技場基本構想国際デザイン競技報告書により確認できます。人により好みの違いがありますが、有機的なフォルム、内と外を同時に考えるフレキシブルな自然なつながり、人との交流が生まれる「公園のような場所」二人の紡ぐ大切な思考は、印象が違うけれども共通したものであろう。もしもが許されるのであれば、あなたはどのような施設がお好みですか。明治神宮外苑に建ったオリンピック・スタジアムは、可動式屋根のある文化施設(コンサートホール…)としての存在が、わたしには未来志向的には現実的であったような気がします。

大阪芸術大学アートサイエンス学舎 : 校舎内部 / 建築家 妹島 和世

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応募作品 No.34 新国立競技場基本構想国際デザイン競技報告書より

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