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日本の財政破綻リスクのまとめとハイパーインフレになった時に起こる事

5 財政破綻リスクのまとめと対策の実現方法

① 日本の財政破綻リスクのまとめとハイパーインフレになった時に起こる事

 この章は最終章として、今までのまとめと財政破綻・ハイパーインフレになった時に起こる事、最後にそれを回避するための対策を実現するための方法を述べます。

〇 日本が財政破綻する理由

1) 世界でも未経験の少子高齢化が進んでいる
・日本は世界で一番少子化、高齢化が進んでいます。
・2020年時点では、現役世代(20~64歳)1.89人で1人の高齢者の介護・医療費等を支えています。2065年には1.23人で1人。
・2060年には、86歳の人が日本の人口構成の中で一番多くなると予想されています。
2)GDP(国民総生産)が下がっている
・日本のGDPは世界で3位ですが、アメリカ・中国との差が拡がっています。
・一人当たりGDPでは、1995年には世界3位でしたが2019年には25位です。その間に一人当たりGDPの額を減らしたのは、日本以外にはリビア・ベネゼエラなど内戦状態にあるような国だけです。
3)増え続ける国の借金
・債務残高のGDP比率は、欧米主要国では110%以下なのに対して、日本は飛び抜けて大きく234%となっています。
・コロナ禍前でも平均して毎年35兆円の新規国債が発行されています。
・新規に国債を発行した分と銀行が国債を手放した分を日銀が引き受けています。(日銀の国債保有は2010年から2019年で78兆円→494兆円と増加)

 2020年末時点での国債と借入金、政府短期証券の残高を合計したいわゆる「国の借金」は、1200兆円を超え、毎年35兆円ずつ増えています。一方少子高齢化が進み、経済成長も止まっている日本は、政治や社会の仕組みを大胆に変えなければ、近い将来に財政破綻・ハイパーインフレに陥るとしか考えられません。


〇 財政破綻を回避するための対策

 財政破綻を回避するための対策として、上に挙げた3つのリスクへの対策を中心に提案をしました。

1) 少子高齢化対策
国の予算を高齢者偏重から若者・少子化対策へ大胆にシフトする
・高齢者の年金・医療・介護の過度な優遇をなくす。ただし、マイナンバーを活用して資産・収入の少ない方が生活に困らないように補填をする。
・少なくとも子育ての金銭的な負担をゼロにする。教育費はゼロ、生活費として子供一人当たり毎月3万円程度支給。
・まだ日本の魅力がある内に、日本の文化を尊重し、高い技能を持つ外国人を積極的に受け入れ、市民権・永住権・国籍を与える。
2) 経済成長への対策
既得権益を排し大胆な規制改革を行うことによって、30年間停滞した経済を成長に向かわせる
・先進国で最低レベルの最低賃金を1100円まで早急に引き上げ、生活ができないレベルの時給900円程度しか払えないような企業を整理・集約し、労働生産性を上げる
・解雇規制を緩め人材の流動性を高める。その前提としてセーフティネットをしっかり整える
・地上波の一つを英語のみの放送にする。そして高校卒業までには、ある程度英語と論理的思考が使えるような環境を整備する。
・有効活用されていない宅地、農地、森林の固定資産税を上げて、不動産を有効に活用する。農地や森林の集約化を行い、農業や林業を儲かる産業にする。
3) 借金への対策
税収の大幅UP、歳出の大幅カットを行う
・コロナ禍の影響をみながら、消費税や利子・配当・株式の譲渡益への増税を行う。
・マイナンバーを活用し、所得税や相続税の税逃れをなくす。
・歳出も見直し大胆に無駄を減らす

 1999年に当時の小渕首相が「私は世界一の借金王」と発言しましたが、その後も借金は膨らみ続け、「このままでは日本は国債の返済ができなくなり財政破綻するリスクがある」という意見がいろいろな有識者から出されました。

 しかし、2013年にアベノミクスが発表され、デフレ脱却のために「異次元の金融緩和」を行ったことで正確な意味での「財政破綻」はなくなりました。日本の財政がどれだけ赤字でも、年金や医療の社会保障費が足りなくても、足りない分の借用証書(国債)を発行すれば、日銀がお金を刷って引き受けてくれるようになったからです。(国債の日銀保有分は2012年末から2019年末の間に、128兆円から494兆円に増加)

 その代わり、今度はジャブジャブ刷った日本円の価値が問われることになります。円の価値がないと認識されると急激な円安になり、ハイパーインフレになります。
 世界の投機家たちは、円の投げ売り(空売り)の機会をうかがっているでしょう。それが成功したのが1992年のイギリス・ポンド危機、1997年の韓国通貨危機です。

 1997年の韓国通貨危機では、韓国ウォン/ドルの為替レートが1ドル=890ウォン(1997/7/1)→1695ウォン(1997/12/1)と1.90倍(investing.comより)、ほぼ同時期の韓国総合株価指数が781ウォン(1997/6/29)→434ウォン(1997/11/30)と0.55倍(Yahoo Financeより)になりました。
 単純計算では、この5か月間で石油や食料などの輸入物価が1.9倍になって生活が苦しくなり、一方韓国の企業はドル建てでは0.55/1.90=0.29と約30%の価値となって海外の企業に買われたわけです。

 日本は経済規模が大きいので投機筋の空売りはなかなか成功しませんが、すぐにでも仕掛けてくるかもしれませんし、インフレ率が2%を超えて進んだ時、日本の経常収支が赤字になった時、あるいは東京五輪で深刻なコロナ拡散を引き起こした時に弱みに付け込んでくるかもしれません。


 投機家達の円の投げ売り(空売り)が成功してしまったらどうなるでしょうか?
 次のようなことが想定されます。

急激な超円安になる(例えばアメリカドルが倍の1$=200円)
 →輸入品(ガソリンや食料など)の価格が倍になり、数十%のインフレになる
 →預貯金の価値が半分程度になるかも
円建ての国債の価値も減るので、外国人投資家が売却する
 →インフレと国債の売り圧力から、国債の価値が暴落する
 →主に地方銀行や信金は国債を多く保有しているので、銀行の経営状態が悪くなる
 →企業への融資が滞り、倒産件数が増える。また失業者も増える。
 →国債を494兆円保有する日銀も倒産する!?
円が安くなり、また日本の経済状況も悪くなるため、日本企業の株価や土地の価格も暴落する
 →優良な日本企業の株や一等地の不動産が外資に買われる
支援を行うIMF(国際通貨基金)や外国政府から、急激な財政再建(収支の均衡)が求められる
 →年金の大幅な減額と支給年齢の引き上げ
 →増税
 →公務員の削減(教員、警察官等も)
  →治安の悪化、教育レベルの低下

 「財政破綻を回避するための対策」を日本人自らの手で行った場合と比較して、ある日突然市場の力で円安・ハイパーインフレが起きた場合には、突然で計画性もなく投機家の有利なように行われるため、日本の優良な企業や不動産が安値で買われ、失業者が大量発生し、今まで貯めた預貯金の価値が大幅に減り、また治安が悪化することが予想されます。

 1999年から私達は、国の財政赤字に真剣に取り組むことなく、みて見ぬふりをして借金を積み増ししてきました。
 最後のページでは、実際にどうやって日本人自らの手で「財政破綻を回避するための対策」を実行するかについて述べたいと思います。

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