増え続ける国の借金 迫る財政破綻
1 日本の財政が破綻する3つの理由
③ 増え続ける国の借金
国債と借入金、政府短期証券の残高を合計したいわゆる「国の借金」が2020年12月末時点で1212兆4680億円となり、初めて1200兆円を突破した。財務省が10日、発表した。(時事通信2021年02月10日)
〇 国の毎年の借金の推移
(財務省 「日本の財政を考える」)
1991年のバブル崩壊、2008年のリーマンショック。経済危機が訪れる度に税収が落ち込み、反対に財政出動によって支出が増えるので、単年の国債発行額がグンと上がっています。
その後アベノミクスで税収は増えてきましたが、新たな借金額は高止まりでコロナ禍前の2017~2019年は平均で年35.0兆円の新規国債が発行されました。
これは国民一人当たり27.9万円(4人家族では111.6万円)の借金が毎年増え続けていることになります。
〇 各国との比較
債務残高の国際比較(対GDP比)
(財務省 「日本の財政関係資料」)
では、日本の借金は他の国と比べてどうなのかを見たのがこのグラフです。
借金の返済能力は家庭と同じで収入によって違うだろうということで、対GDPで比較されていると思われます。(実際には持っている資産や今後の潜在成長力も関係しますが、それは別途書きます)
主要先進国や世界の国々と比較しても断トツで多いですし、2008年のリーマンショックで各国が同時に借金を増やした後も、日本だけが借金の増加を抑えがきいていないことがわかります。
〇 国債は誰が持っているのか?
国債及び国庫短期証券(T-Bill)の保有者別内訳の推移
(財務省 「債務管理リポート2020」)
「債務管理リポート2020」によると、平成22年末から令和元年末にかけて、国債等の保有額は、日本銀行(78.4兆円→494.5兆円)、銀行等(403.2兆円→171.6兆円)、国債等の総額(883.8兆円→1132.2兆円)となっています。
国債残高の増加分と銀行等の保有の減少分を日銀がほぼ引き受けているようです。
ここまでに見てきたように、日本の抱える借金は世界の中でも飛び抜けて大きく、さらに毎年増え続けています。
その借金を返していくには、収入を上げて支出を減らしていかなければなりませんが、産業競争力(GDP)が下がり、また少子化も進んでいるので収入を大幅に増やすのは難しいでしょう。反対に世界で一番高齢化が進んでいくので、医療や介護・年金にかかる支出は益々増えていきます。
このような状況をポジショントーク無しで客観的に考えれば、私には日本の財政はこのまま行けば、もう破綻して詰んでいるようにしかみえません。
次の章では、財政破綻が迫っているかどうか、肯定派・否定派の両方の有識者の見解を見て行きたいと思います。
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