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その日、全世界で

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一羽のすずめの小説『その日、全世界で』をまとめて読めます。
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#教会

その日、全世界で(第9章)

第9章 奈々子からの電話    主人の様子がいつもと違う。私の話がまったく耳に入ってないように思える。上の空という感じで、ただただ口にご飯を入れているという感じだ。  急に実母がいなくなったショックは、はかり知れないのかもしれない。でも、なんか様子が変だ。  「お母さん家に行っていたの?何かあった?」  「いや、何かあったというか、あれだな。どう言えばいいのかが難しくてさ」  「誰に?何を言うのが難しいの?」  「近所の人に。お母さんがなぜいなくなったかを聞かれたときの・・・

その日、全世界で(第3章)

第3章 謎のイライラ  それから、1か月が過ぎ、また由香から連絡があった。今度はココと三人で会わないかという連絡だった。特に用事も予定もないくせに、仕事が立て込んでいるから無理だと連絡してしまった。私は完全に、彼女たちから逃げている。自分でもそれが良く分かった。  それから数日後、義母の田村慶子が骨折していると分かって、大急ぎで入院、手術となった。いつの時点で骨折したのか、もともと骨折していたのかはわからないが、なんとか無事に手術も成功した。祖母と同じ圧迫骨折だった。圧迫骨

その日、全世界で(第2章)

第2章 ココとの思い出    家に着くまでの電車やバスの中で、高校時代の出来事を思い出していた。私と由香とココは同じクラスで英語好きという共通点があった。よく洋楽や洋画の話をして、将来は英語を使った職に就きたいなどと夢を語っていた。そんなときにココが英会話学校の講師から教会に誘われ、通い始めた。  ココはその教会に通い始めてから、人が変わってしまって、あまりみんなと話さなくなり、私たちの輪の中にも入ってこなくなった。  日曜日に遊びに行く約束を持ち掛けても、ココは、決まって日