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2人の人生が動いた日①

2019年2月6日(水)

この日は、午後から、結婚式を挙げる予定になっている式場が主催する「引出物・引菓子・プチギフト」などの実物を確認できるイベントが予定されていた。

イベントは午後からだったため、午前中の内に、妻は内科と皮膚科、私も妻と一緒に皮膚科に行く予定をしていた。

妻は先に家を出て、駅前の内科に向かい、後ほど、私と皮膚科に合流する予定だった。

冬の寒空の中、雨がしっかりと降っている日だった。

妻は、数日前に自宅で一緒に夕食を食べている時に、「右下腹部が少し痛むんだよね。」と私に伝えた。

私は、妻が大の病院嫌い・薬嫌いであることを知っていたため、強めの口調で「早く病院に行って診てもらいなよ!」と伝えた。

妻は、渋そうにしながら、「近々行くね。」と言った。

実は、食事中に下腹部の痛みを訴えたのは、これで2度目だった。

1度目は、3ヶ月前の11月頃。

その時も同様にすぐに病院に行くことを強く勧め、妻もそれに従い駅前の内科クリニックに行った。

その時の診断は、「恐らく便秘だろうから便秘のお薬を処方するので様子を見てください。」ということだった。

結果として、その薬を飲むことで、それ以降、妻の下腹部の痛みは出て来なかったために、2人ともその後気にすることは一切なかった。

この日、妻が内科に向かって家を出発した後、少ししたら、私は先に皮膚科に向かっていた。

妻が皮膚科を予約していた時間に合わせて、私も気になるところを診てもらう予定だった。

しかし、妻は皮膚科の予定の時間の間近になっても一向に向かってくる気配はなかった。

LINEで様子を聞いてみると、念の為、「腹部エコー検査をしておきましょう。」ということになったらしく、皮膚科の予約時間に少し遅れそうとのことだった。

私は自分の診察を先に受け、その時に、皮膚科の先生にその旨を伝えた。

私の診察を終えてしばらくしても、妻は一向に向かってくる様子はなかった。

このまま皮膚科で待っていてもしょうがないと思い、皮膚科を出て、500m程先にある駅前の内科クリニックに向かった。

相変わらず、雨がしっかりと降っていた。

傘をさしながら早歩きで一直線に駅方向に向かっていると、妻からLINEが入った。

腹部エコー検査の結果が出て、「肝臓に影が見えるので、大きな病院を紹介するので、後日精密検査を受けに行ってください。」と言われたという。
また、その影は、恐らく「子宮」か「大腸」から来ているものだと思うとも言われたらしい。

私は何のことかよく分からなかったが、何かただならむ事が起きているという危機感だけは感じた。

不安に駆り立てられるように足取りを一層早めて、傘をさしながら、急いで内科クリニックに向かった。その時の光景は今でも脳裏に焼き付いている。

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クリニックに着いた時、ちょうど妻がクリニックから出てきたとこだった。

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妻はいつもと変わらない様子で落ち着いていた。

妻も私もこの時、何が起ころうとしているのか正しく想像すらできていなかったのだ。

正直、「いい機会だし、大きな病院で色々しっかり診てもらえばいいよね。」くらいに楽観的に考えていた。

妻は皮膚科の予約時間を大きく超えていたのと、午後のイベントの時間も迫ってきていたため、皮膚科には行くことができず、そのまま地下鉄に乗り、品川駅に向かった。




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