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1984年夏の記憶

 幼稚園のイベントで、しまむらには行かないわな。

 ライター講座の講師・米光一成氏が開催する短文バトルに参加している。10日に一度お題が出され、222文字以内の文を作るというもの。3月10日出題・12日締め切りの第3回のお題は「一番古い記憶」。
 以下の文で挑戦した。書く過程で母に事実確認をすると、記憶と食い違っていた。


 “暑い。疲れた。もう歩きたくない。お母さんに抱っこしてもらいたい。でも、周りの子は歩いている。「年中さんはお兄さん」って、幼稚園の先生に言われていた。年少の子も、歩いている。 一体、いつになったら着くんだろう?
 最近、記憶をたどってその道を歩くと、拍子抜けするほどすぐに着いた。スマホの地図で確認してみた。420㍍-。
 母に確認した。近所の友だちとお母さん達の、洋服選びという名の暇つぶしだったらしい。幼稚園の行事ではなかった。一番古い記憶違いと判明した。”


 確認をしていると、父も加わり話が盛り上がった。1984年のさいたま市がクーラー要らずだったことには驚いた。両親にとっても、4歳のころの息子の視点は興味深かったようだ。「改めて日常のある時点について話し合う機会って、なかなか無いよね」

 目的地だったファッションセンターしまむらについても調べた。
 埼玉県東松山市で創業。1982年に本社を現在のさいたま市に移転。84年開店の大和田店は、36年間同じ場所で生き残っていることになる。

 記憶の矛盾を受け入れていることが謎だった。幼稚園のイベントで洋服屋に行くわけがない。ほんの少し考えればわかることを、スルーしていた。

 脳には時間の感覚がないと言われている。本人にとって印象が強ければ、古くても残る。
 自分の中で当然になっている記憶も、いい加減なのかもしれない。いろいろな記憶を掘ってみたい。


 ※画像はしまむらグループHPよりhttps://www.shimamura.gr.jp/company/business/detail.php?id=03

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