一流の男の色気に触れた話
本日から『一日一恥』に新規参入します、野口一郎と申します。『一日一恥』のみんなとは、宣伝会議 第38回編集・ライター養成講座の同期生。スポーツライター志望の39歳です。
ジャンルを選ばず、心が動いた話を書いていこうと思っております。よろしくお願いします。今週は、一流のエンターテイナーの話。
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「ありがとうございます!」
握手され、キラキラした瞳に見つめられた39歳男性の私は、71歳の男の色気にノックアウトされた――。
俳優・市村正親のトークショー&サイン会に行った。
新刊『役者ほど素敵な商売はない』の発行関連イベントで、本を買えば参加できるというもの。たまたま八重洲ブックセンターのホームページで知って申し込めたが、即日で満員になっていたらしい。
トークショーは30分。「69歳と70歳じゃ響きが違うから、忘れて60歳だと思うことにした」「私のダンスが70歳に見えない?あたりまえ!60歳なんだから」「胃がんになった時?『ガーン』って感じでした」「やる気の維持の秘訣は、好奇心を持つこと」。さすが一流俳優、ジョークとまじめな話を織り混ぜて、客を喜ばせていく。舞台知識が皆無で下調べ無しという、ライター失格な姿勢で参加した私でも、大いに楽しめた。
サイン会に移る。参加120人、一番後ろの席に座っていた私はサインをもらうまでに1時間以上待つことになった。
市村正親のファンは、サインをもらう際に興奮した様子で話しかける。市村正親は、1人1人に丁寧に対応する。時間がかかる。
せっかちで、市村正親ファンではない私は、ジリジリし出した。早く帰りたい。ジリジリジリ、イライライラ。「素敵な人だけど、1時間待つほどの価値はないかな」などと思い始めた。
迎えた、サインをもらう瞬間。知識皆無の私は、話しかけるネタを持たない。渡した本に一角一角、丁寧にサインを書き込む市村正親。並んでいたファンの様子から、握手をしてもらえることが分かっていた。せっかくだから、握手してもらおう。両手を差し出した。
「ありがとうございます」。握手し、市村正親を見ると。何とつぶらな!キラキラした!美しい瞳!!溢れるオーラ!!か、かっこいい!!!!
私はいわゆる「ノンケ」で、男にキュンとしたことは一度もなかった。そんなアラフォー男が、会場を出てもしばらく経ってもドキドキしていた。
一流エンターテイナーと生で接することができた貴重な機会。参加して良かった。
会の後に、『役者ほど素敵な商売はない』を読んでみた。舞台知識がないから、わからない。本に登場する三谷幸喜、藤原竜也、堂本光一、篠原涼子、あたりは知っている、程度のありさまだった。
ただ、市村正親は「先入観を持たずに劇場に来た方がいいということ。自分の見方、選び方をまずは信じてみてください」という。この言葉を頼りに、舞台を見てみようと思った。
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