思い込みと油断でアホなことをした話

　「とりあえずテレビをつけろ！」渋々従うと、画面には大津波のシーンが流れていたーー。

　2011年3月11日、私は東武動物公園にいた。14時46分、経験したことのない揺れが発生。震度６強。動物は、パニックになっていた。

　怖かったが、甚大な被害は起きないと信じていた。

　数年前に東京で震度５が頻発したが、大きな被害は出なかった。阪神淡路大震災の記憶は鮮明。それでも、謎の解釈をしていた。近畿地方は地震が少なく、耐震設備が弱かったためではないか？　ここは関東。大丈夫、大丈夫。

　動物園は、定刻より早く閉園となった。大げさだなぁ。駅への道中、周辺の建物に被害は見えなかった。大丈夫、大丈夫。

　電車は止まっていた。まじかよ。まぁ、すぐ動くでしょ。暇つぶしを兼ねて、居酒屋に入った。
　携帯電話はつながらない。SNSを通じて、所属していた大学のサークルから安否確認が来た。大げさだなぁ、大丈夫だよー。

　翌日の昼、電車は動き出した。復旧遅いよー。帰宅すると、自室の本棚が倒れ、逆側の壁に刺さっていた。何てこった。。「被害状況」を、写真付きでサークルに連絡する。

「お前の部屋なんか、どうでもいいんだよ」という返信。冷たいなぁ、昨日のサークル活動をサボったから？　やるせない気持ちを、SＮSに書く。

　同級生から連絡が届いた。「とりあえずテレビをつけろ！SＮSでの発言は、見てからにしろ！」。大げさだなぁとテレビをつける。
　「あっ」

　あれから９年、相変わらずSＮSの確認は雑。ただ、緊急時に定期的に情報を集めるようにはなった。

　【写真説明】
某駅付近。被害の出ない程度の大雨でも、この状態に。また、駅付近であって、駅舎ではない。テレビ中継によく出てくる