今まで電車に乗っていて一番衝撃を受けたこと

今まで電車に乗っていて一番衝撃を受けたこと。それは10年位前の秋だったか春だったか。その時自分は知人の結婚式に向かっていた。

普段あまり着ないスーツを着て電車に乗り、座席に座り総武線に揺られていた。隣にはおじさんが座っている。少し酔っぱらっているようだけど、それ以外これといって変なところはなく、数駅するとよろよろしながら降りていった。

そしてそのおっさんが降りてすぐ異変はやって来た。何やらおっさんが立ち去った隣の座席から、尋常ではない異臭が漂っているではないか。

「あのクソオヤジ、酔ってると思ったらゲロでも吐きやがったか」

そう思って隣の座席を見たけどゲロはない。臭い自体もゲロの臭いではない。

更に座席をよく見ると・・・

なんと座席に茶色い染みが付いているではないか!

どうやらそのオヤジは脱糞したらしく、洒落にならない強烈な臭いが車内に漂い始めた。

「あのクソオヤジ、こっちはこれからスーツで結婚式なんだぞ!」

すぐにスーツが汚れてないかチェックし、大丈夫なのを確認して少し離れた座席に座るも、まだまだ臭いがきつく、結局僕は隣の車両へ移ることにした。近くの人にウンコ注意報が発令したことを伝え、隣の車両に移るもどうにもその後の様子が気になり隣の車両から窓越しに見ていた。

すると次の駅で綺麗なお姉さんが乗ってきて、空いている席に座ろうとしている。

僕の胸の鼓動がスパーを10本やった後かと錯覚するくらいに高鳴る。

「NO!!その席は、その席だけは座っちゃダメなんだよ!!」

席に近づくお姉さん。

僕の魂の叫びが聞こえたのか、幸いなことに直前で臭いに気付き慌てて違う席に移っていきほっと胸を撫で下ろしたのも束の間、今度は高校生が3人連れだって車内に入ってきた。
おあつらえ向きに座席は真ん中の特等席と両隣の3人分空いている。再び僕の胸の鼓動が、サーキットトレーニングを3セットやりきった後かのようにドクドク言い始める。

「少年達よ、その席だけは止めておけ-!真ん中の席に座ったが最後、明日からのお前のあだ名はウンコマンだぞ!」

男性の方が女性より臭いに対して鈍感。この時こそそのことを実感したことはなかった。全く臭いに気付かず座席に深く腰を下ろす少年達。

もしあの時、自分が車両を移らなければ少年達にも注意を促すことが出来たのではないか・・もしかしてこの少年、明日付き合っている彼女に「○○君昨日制服にウンコ付いたんだって?私ウンコマンの彼女なんて呼ばれたくないから別れようか」とか言われてしまうんじゃないか・・

身近な人が不慮の死を遂げた後に襲ってくるような自責の念に近い感情が芽生えてくる。幸い自分はちょうど次の駅で降りたため、その男子高校生が自分の制服にウンコが付いたことを知り、次の日からのあだ名はウンコマンになるのかと絶望にうちひしがれる様は見ずに済んだが、多分彼はその後の人生において座席を見るたびにウンコが付いていないか確認する生涯を送ることであろう。

ということで皆さん、電車の席に座る際は今一度シートのご確認を!

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