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5 妖怪になってきた話 ∼対話を終わらせないために∼

 8月のお盆真っただ中、エアコンが使えない・パーツボロボロでいつ止まってもおかしくない・乗らないほうがいいって言われた車で東京まで行ってきた。

旅の目的は、都会に住み着く妖怪になるために



このよのはる Pre. 
百鬼夜行東京アタック大作戦!やおよろずのかみさまたちきた
の参加レポートだよ!

このよのはる とは

このよのはる
2015年結成うたっておどれる似顔絵ユニット。
おもに渋谷の路上にて似顔絵を描き、歌を歌い生活をしている。
その場に住み着く妖怪になるのが多分得意。
見えないものは信じないタイプ。空間がだいすき!
車で旅をしながら全国各地にハッピーな歌と似顔絵を届ける!

主な作品に、渋谷の街を集まった人たちと練り歩きながら、参加者それぞれのゲリラパフォーマンス、アタックを行う『百鬼夜行渋谷アタック大作戦』(2017年~2023年)、桜前線を追いかけながら日本一周ライブをして旅する『桜前線ツアー』(2021年)がある。

このよのはる プロフィールより

ざっくりいうと、渋谷の路上を中心に歌や似顔絵をやっているクリエイター。
「その場に住み着く妖怪」というのがとても好きで、不思議なキラキラを解き放つ2人だけど、歌と絵をツールにして人間の世界にグッと入り込んでくる。非日常を現実レベルで展開してみんなの懐に入ってくる天才なのかなと。今回参加した百鬼夜行もまさにそんな感じ。

彼らとの出会いは偶然かつカオス。
大阪をうろついていた2年前のある日。一緒にいた知り合いのさらにその知り合いから連絡が来て西成の怪しすぎる店へもぐりこんだ。(この知り合いの知り合いが、後に旅の仲間になる田村久留美さん)
謎の店で行われている謎の古本オークション。
怪しい雰囲気に怯えているとき、突然現れて歌いだしたのがこのよのはるだった。
当時は張り詰めた空気感から始まった陽気な音楽にただただ笑うことしかできなかった。あと帰りに電車を寝過ごしてタクシー代5000円消えた。

けどそんな出会い方をした彼らのことが忘れられず、動向はずっとチェックしていた。そして今年の春、イベント出店のために大阪にやってきたタイミングで会いに行った。
似顔絵を描いてもらいながら、2年前の出会いの話や夏にやっている百鬼夜行が気になる話をした。

今年の春に描いてもらった似顔絵

この時に「百鬼夜行行きます!」という口約束をし、それを果たすために瀕死の車で渋谷に乗り込んだ。

百鬼夜行で何をしたのか

みんなそれぞれが妖怪になり、東京の各地でパフォーマンスをしながら練り歩く。渋谷駅を出発して最後は東京タワーを目指す旅。

うたう妖怪
絵を描く妖怪
踊る妖怪
写真を撮る妖怪
5Gの危険性を訴える妖怪
逆立ちする妖怪
油を売る妖怪
壁をなぞる妖怪
本を貸す妖怪
音を取る妖怪
パンダ

それぞれのできることを持ち寄りながら東京を揺さぶっていく。

原宿
渋谷
渋谷▶︎原宿
原宿の交差点
青山の路地?
東京タワーの下
東京タワーの下
東京タワーの下
麻布十番の公園
東京タワーの下
東京タワーの下と逆立ち
東京タワーのパンチラ
東京タワーの下
最後に集合写真

百鬼夜行を終えて

「うわーなんで今まで気づかんかったんやろ。めちゃくちゃ自分に対してパスは回ってきてたやん。」
これがすべての感想。
いろんな場所、人、作品から受け取ったものを思い出す瞬間が何度もあって、今までにあらゆる方向から蓄積してきたものが1つのレールの上で連結した感覚だった。

水平移動ばかりで体が揺れないから、僕も含め、みんなクラブとか行くんじゃないかな。地面をアスファルトで固めれば固めるほど、車や電車やリニアモーターカーで水平移動すればするほど、体を縦に揺らせるクラブが必要とされる。ダンスカルチャーはアスファルトへのカウンターカルチャーだったんじゃないか

家をせおって歩いた/村上慧

「何故、幽霊の側から世界を見るのか」と問うてみると、私にとっては、幽霊や大きな声を出す人がいることより、「あの人は幽霊。こっち側じゃなく、向こう側の人。何か叫んでるみたいだけど・・・」と自分の声を抹殺される方がよほど恐ろしいからなのだということが浮かび上がってきます。(中略)誰だってひょんなことから向こう側に立つ可能性はある。絶対にこちら側、人間の側に立ち続けられる自身なんてさらさらありません。だから、いつだって幽霊の側に思いを巡らすのかもしれません。それに、幽霊から見たら当方が「向こう側」なんですから

不完全な司書/青木海青子

進めビートはゆっくり刻む
足早にならず確かめながら
涙を流すことだけ不安になるよ
この気持ちが止まらないように

ロックンロール/くるり

自分にとっては、ロックに蔓延る切実な反骨心も、場をつくることでローカルに根差して生きて行くことも、芸術家が生き様を表現していくことも共通の文脈の中だと思っている。
それを具現化する何かを持たなきゃいけないと強く感じた。もう楽しむだけでは足りない。
「表現者になりたい」ではなく「表現者にならなきゃいけない」。

幽霊・妖怪の存在に敏感になりたいし、それはつまりカウンターカルチャーでありロックだろ。

そうそう。
最後にみんなで東京タワーに上ってん。
でも上ってからみんな思った。
「まぁこんなもんか」
東京タワーができた時は圧倒的な展望だったはずやけど、今じゃ周りのビルも随分高くて相対的にビミョかった。
高みに上りつめる感動も言うてこんなもんやし、続くのも時間の問題なんやって。

そんなこんなで東京タワーを下りてから、東京タワーの下を陣取ってみんなで歌った。
その時がみんな舞い上がってて、(さっきより物理的に低い位置にいるのに舞い上がるって変だね)いい顔してて。
上に上にって感じより、地に足付けて横に横にって感じがどうしても好きなんだろう。

壮大なパス回しの途中にいるなかで、自分がどうやって次に繋ぐか考えなきゃいけない。
ちなみにこの日は移動図書館をやって、2冊東京に置いてきた。これがなにかの原石になれば。

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