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#039日本は信じられないくらい 「貧しい国」なのか。

出口 治明さん(ライフネット生命保険の
創業者、現立命館アジア太平洋大学学長)
の人間の学びには
「人・本・旅」が大事と。
コロナ禍で
人に会えないし
旅もままならず、
本を読むしかない

遅ればせながら「ジェネラルアーツの力」
をつけようと。
丁度、総裁選びの頭の体操に、
年金シニアの退屈凌ぎに、
課題設定と解決事例として
スタートアップ事業を紹介したい。

<先ずは課題の設定>
「少子高齢化、非正規社員の拡大、
高齢者・母子家庭の貧困世帯、
年金の世代格差などにより日本の
経済格差は大きく進んでいる。
デジタル化の流れはこういった課題
解決の手段の一つになると思われる。

IT業界のような成長産業においては
人材ニーズは高く、
特にベンチャー企業は
深刻な課題になりやすいし、
デジタル化による生産性改善・働き方の
多様化が進む。

そこを効率的に
マッチングする仕組み構築、
未経験者の育成・スキル向上、
地方・女性採用にデジタルの力

活かしていくべきである」と。

岩田 規久男 (著)
「日本型格差社会」からの脱却 
1990年代以降、
日本では格差が広がり続けている。
例えば、非正規社員の増加は賃金格差を
招き、ひいてはその子供世代の格差も
助長している。
さらに、世代ごとに受給額が下がる
年金制度は、最大6000万円超の
世代間格差のみならず、
相続する子供・孫世代の世代内格差の
原因に。所得再分配政策は、高齢者への
社会保障に偏っており、
現役世代の格差縮小にはほとんど
寄与していない。
そして、こうした格差はすべて、
戦後、世界で日本しか経験していない
長期デフレが根本にあり、
そういった意味で他国とは異なる
「日本型格差」といえる特徴的な
格差である。

では「日本型格差」を縮小し、
成長を取り戻すにはどうすればよいのか。
本書では、日銀副総裁を務めた著者が
具体的な政策とともに提言。
より生きやすい日本の未来を模索する。

<課題解決のスタートアップ企業の実例>
クールビズは定着したが
「ビズリーチ」は知らなかった。
最近、TVのCMで、やたらに耳にする
転職サービス「ビズリーチ」。

創業者の南壮一郎の「ビジョナル」
コンセプトは素晴らしい。
つまり
「日本の生産性向上」のために
ITによるアイデアに富んだ
プラットフォームを事業化している。
1)人事(転職マッチングサービス)
2)物流(荷物配送マッチングサービス)
3)中小企業のM&A(事業継続サービス)
「ビズリーチ」の収益を
次のスタートアップ事業に投資を続ける。
好奇心によるビジネスモデルのオタクだ。

別の事をやりながら、音声で聞いて欲しい。

「日本の働き方といえば
終身雇用・年功序列が代名詞のように
なっていますが、
実はこれは、
アメリカで始まったものなんです。
アメリカは1920~30年代に
世界の経済大国となりましたが、
その一番のドライバーとなったのが
製造業でした。製造業の核は技術なので、
技術を持った従業員の入れ替わりが
多いと、企業の生産性は落ちてしまう。

そこで、技術者を会社につなぎとめる
ために生まれたのが、
終身雇用・年功序列の仕組み
だったんです。
この働き方はアメリカでも1980年代まで
続きましたが、この頃、
アメリカの製造業が世界で通用しなく
なってきました。
グローバル社会になれば、
製造業は労働コストが安い国が
台頭しますが、
その筆頭格が日本だったというわけです。
日本は製造業を基幹産業として、
戦後復興を果たしました。

これは僕の臆測ですが、もしかしたら
アメリカを参考に、
終身雇用・年功序列を取り入れたのかも
しれません。
さっき、GAFAの平均就業年数は2年程度
だという話をしましたが、
戦前の日本の平均就業年数は、
もっと短くて1年くらいだったようです。
一方で、80年代に製造業が落ち目になり
経済が停滞したアメリカは、基幹産業を
2次産業から3次産業である
サービス業やITにシフトしていった。

それに合わせて、現在のような柔軟な
働き方になっていったというわけです。
終身雇用・年功序列という働き方が、
日本の高度経済成長を支えたのは間違い
ありません。しかし
この30年は経済が停滞し、
日本は生産性の低い国だといわれています。

そもそもGDPの約8割は、
すでに3次産業によるものです。
にもかかわらず、いまだに2次産業に
最適化された働き方を続けようとすれば、
無理が生じるのは当然です。

日本の働き方にはいろいろな見方が
ありますが、制度疲労を起こしてる
いうのが、もっとも適切な表現では
ないでしょうか。
ここ数年、「人生100年時代」という
ワードをよく聞きますね。
僕が社会人になった20年前は、
60歳で定年したら年金で生きていけると
いう社会認識でした。ところが医学の
進歩もあって、どうやら多くの人が100歳
まで生きるとわかってきた。
長生きする人が増えて年金の拠出が多く
なれば、国民が80歳や85歳まで働き
続けないといけなくなるでしょう。

じゃあ企業は、1人の従業員を60年も雇用
し続けられるのか。
時代とともにビジネスモデルの賞味期限が
短くなってきて、最近では20年ちょっと
だといわれています。
つまり、
人生の寿命と会社の寿命が
反比例しているんですね。
少子高齢化が続き人口は減少します。
その中でGDPを維持するには、
一人当たりの生産性を上げないと
経済が縮小してしまう。

いろいろな考え方がありますが、
魅力的な会社に魅力的な人材が集まり、
そうでない会社が淘汰されていくのは、
致し方ないのではないかと思います。
つまり今まで以上に、自由競争、
市場経済の原理に近づくような
社会になるということです。
その結果として格差は開くでしょうから、
そこをフォローするための議論も
欠かせません。

ただ僕は基本的に、自由競争や市場経済を
信じています。雇用や資本が流動化する
ことによって、法律や規制によらずとも
自然に生産性が上がることを願って
いますし、ビジョナルはそうした社会を
つくるプラットフォームの一つでありたい。

明治維新のときも、
同じようなことが起きていたと思うんです。
江戸時代までの日本は、身分も情報も
クローズドな社会だった。
しかし開国後は海外から新しいものを
取り入れ、武士以外の人材も登用される
ようになります。
このように体制をオープンにしたことで、
その時代に順応した人たちがどんどん
日本の生産性を上げていったのです。
時代が変わるスピードが速くなって
いますから、順応するためには変わり
続けないといけないし、
そのために学び続けないといけない。

現在の教育は、学校や会社に任せっきりに
なっています。そうではなくて、個人が
定期的に自己投資をして学ぶものだという
意識を、国の根幹に注
入しなければいけません。
教育とは本来、社会に貢献する人を
育てるためのものです。
リベラルアーツも大切ですが、
学校教育にビジネスのプログラムを
入れたり、社会人になっても学びやすい
制度を整えたりというのが、

国の教育方針に入っても
いいんじゃないかと思います。
「ビズリーチのヒントはFA制度」
まずは転職プラットフォームとして、
年収700万~800万円以上の管理職、
専門職、グローバル人材などという
即戦力人材に特化した点です。
そして、登録に審査があることが
大きな特徴です。
もう一つは日本で初めて、
求職者のデータベースを企業が直接見て
声をかけられる
「ダイレクトリクルーティング」という
新しい採用のあり方を実現したことです。
即戦力人材の転職はこれまで、
採用したい企業が転職エージェントに
お願いし、エージェントが企業の代わりに
求職者を探しにいく形でした。
それを、即戦力人材に自ら登録してもらい、
企業が直接求職者の情報を閲覧し、
オファーをできるようにしたんです。
そこで、思いついたのが野球の
フリーエージェント(FA)でした。
「私はFAします」と言ったら、
日本の12球団とアメリカの30球団が
見てくれ、ほしいと思う球団が
オファーしてくれる。
実は求職者のデータベースは、
転職エージェントにも公開しています。

わかりやすく言うと、
消費者や問屋、メーカーにもオープンに
しているECサイトのようなものです。
創業した2009年は、

リーマンショック直後で雇用が苦しい時期
だったのもありますが、2010年前後の
人材紹介市場は1000億円規模でした。
それが今は、約3000億円になっています。
以前は、転職はコンプレックス産業
といわれることもあり、どこか後ろめたさ
があり、人に相談しにくいものという
認識でした。創業時もまだそういう空気が
ありましたが、10年経ち、だいぶ転職が
ポジティブにとらえられるように
なってきました。

大企業からスタートアップに転職するのも、
いまや珍しいことではありません。
少しずつですが、日本の雇用が流動化
しつつあると感じます。

この1年間で転職をした人は、
日本企業の正社員の何%いると思いますか?
正解は、2.5%です。
IT業界だと10~15%くらいは当たり前だと
思うんですが、日本全体で見ると
この数字になります。
アメリカやヨーロッパでは
20~25%程度でしょうし

GAFAであれば、社員の平均就業年数は
約2年といわれています。」


「まず、
ビズリーチから派生したHRテックです。
サービスはいくつかありますが、
もっとも大きいのが
人材活用プラットフォーム
「HRMOS(ハーモス)」
です。
お客さまの採用を支援する
ビズリーチでは、
皆さん「いい人材が採れた」と喜んで
くださるんですが、本当にその採用が
良かったかどうかは、
何年か経たないとわかりません。
でもこれまでは、採用した人材の
「その後」が、意外にデータ化されて
こなかった。そこで採用管理はもちろん、
入社後の評価や目標もデータベースにして、
管理できるクラウドサービスを
立ち上げたんです。
どういう人が活躍したのか、
もっと言えば、あまり活躍していない人は
入社時にどのような評価だったのか。
これを比べるだけでも、採用のマッチング
精度はぐんと上がるはずです。
M&Aプラットフォーム
「ビズリーチ・サクシード」にも力を
入れています。

前回、国の生産性を上げる話をしましたが、
それには資本を流動化させることが大切だ
と思うんです。
日本の中小企業は、事業に価値があるのに
後継者がいないために黒字廃業をする
ケースが相次いでいます。

その際にはM&Aが有力な手段になりますが、
まだまだ相場や取引のプロセスが
ブラックボックスです。
「身売り」という言葉もある通り、
イメージも良くない。
でもM&Aは買われる側にも
メリットがありますし、
適切な投資がなされ、価値あるものが
世の中により広がるのは自然なこと
ですから、もっとオープンになっても
いいのではないか。
そこで、売り手と買い手をダイレクトに
つなぐプラットフォームとして、
ビズリーチ・サクシードを始めました。
はい。その根っこには、
日本の生産性向上に貢献したい
思いがあります。

同じ思いから、HRとは全然関係ないん
ですけど、物流産業のDX
(デジタルトランスフォーメーション)
支援をしています。

物流業界では「トラボックス」という、
日本最大の求荷求車サイトがあります。
20年以上続く、荷物を運んでほしい会社と
荷物を運びたい運送会社をマッチングする
サービスです。

物流は日本を支える大切な産業ですが、
まだまだデジタル化が進んでいないのが
現状です。トラボックスには2020年に
ビジョナルグループに入ってもらい、
一緒にDXを進めています。
現場ではまだまだホワイトボード、FAX、
鉛筆、切手が商売道具として
活躍していますから、ここをデジタル化
して生産性を上げることで、
ドライバー不足や多重請負構造など
といった、物流業界の課題解決にも
貢献できればと思っています。

世界で何が起こっているかを調べた
うえで、日本で何をすべきかを
考えることが、僕自身が持っている
成功パターンなんだと思います。
たしかに僕は海外で育って
英語ができるけれど、
ITでグローバルに戦うのは
簡単ではありません。
これまで僕たちはあえて、
海外のプレーヤーが入りにくい領域
の事業をしています。

営業やマーケティングのような
「フロントオフィス」の業種なら、
セールスフォースのように、
グローバルプレーヤーが入りやすい。
一方で人事やM&Aのような
バックオフィス業務は、
国ごとに法律や規制が異なるので
グローバル化しにくいんです。
トラック業界もそうですよね。
グループ名を新しくビジョナルしたのも、
その思いがあったからです。
知名度の面から
「ビズリーチホールディングスにすれば
いいのに」「もったいない」という声も
たくさんありました。
でも「ビズリーチグループ」だと、
どうしても転職やHRのイメージが
ついてしまいます。
それをある意味捨てて、
現在の1400人のメンバーで
もう一度創業する。新しいブランドを
つくるんだという意志を込めて、
ビジョナルにしました。

最近思うのは、また10年後、
グループ名を
変えてもいいんじゃないかと。」


リーマンショック(2008年)後、
GAFAに負けない小粒でも、ピリッとした
ITのいろいろな「プラットフォーム」、
スタートアップ事業の成功事例が
増えている。

コロナ禍で、いろいろな面の制度疲労が
露わになった。産官学連携&国策投資で
周回遅れのデジタル敗戦国から
デジタル勝戦国に、デジ道をまっしぐら。
100代目の新総裁に期待したい。
継続は力なり。

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