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#048日本はEV車の競争でイニシアティブをとれるのか。

デルタ株の鎮静化から一転して、オミクロン株が第6波にならないように水際対策が緊急課題のようだ。新型コロナウイルス感染は「パンデミック(世界的大流行)」から「エンデミック(一定地域で普段から継続的に発生する状態)」に移行して行くのではないかと言われている。

2020年4月7日の非常事態宣言から、コロナに明け暮れて、コロナボケを感じさえする。リアル飲み会をやりたいと思った時に、オミクロン株の登場である。暫く様子を見ることになるのか。今回の年金シニアの好奇心は、高齢者の交通事故の多発による免許返上の時期を、ゴルフをやれる間は、自分で運転したい欲求からうまれたEV戦争の話である。

1)ツーリング狂のline仲間、k氏から免許返上するのは何時かと問いがあり、ゴルフを出来る間は運転すると答えた。
「2年前の確か5月、池袋で母子など多くの人を殺傷した悲惨な事故がありましたよね。「ブレーキを踏んだのに暴走した」と主張し続け、この夏裁判で実刑判決が出た後被害者家族に”嫌々”謝罪の言葉を述べたあの「かつての高級技術官僚」です。その前後にも年寄りの事故が多発し、「明日は我が身か!」との思いもあったのでその直後に自動ブレーキなどのサポートカーに替えました。サポカー(安全運転サポート車)のWEBサイト (safety-support-car.go.jp)このサイトのサポカーS(ワイド)のタイプで、車種はホンダのステップワゴンスパーダ。

チャリを丸ごと詰むためこの車種にして8年ほど。翌年は車検でもあるし私自身後期高齢者の仲間入りをするので、と、即発注しました。
余談ですが注文してから納車まで2か月、私と同じ理由での注文が突然増えたためのことでした。」

2)飲み仲間のU氏から久しぶりにメールがあり、飲み会もそろそと・・・。二年前の飲み会の時に、彼はテスラ車を購入したと言っていた。当時私はテスラの名前さえ知らなかった。テスラ車の調子は如何ですかの問いに、即彼からの実体験の話が返ってきた。彼は先を読む才能のあるコンピューター屋さんでもある。
テスラには満足しています。第一にガソリンを入れなくても良い、メンテがほとんど無い、ということですね。450馬力相当の加速の良さなどもありますが、何しろ静かで快適です。室内スピーカーは14個あり、音質も抜群です。ネットと繋がっていますから、時間つぶしのときはYou tubeとか、ネットサーフィンも出来て便利。ただ、テスラは自動車の会社ではないと思います。彼らはエネルギーの会社であると表明しており、たしかにオーストラリア政府との何兆円規模のソーラーパネル+蓄電池、というシステムを請け負っていますし、カナダ、ドイツなどともやっているようです。彼らの電池、及びそのハンドリングの技術は多分現時点で軍を抜いており、それが電池の耐久性、電費など他社を圧倒しています。更にはリチウムイオン電池に必須のコバルトは鉱山を買い込んでおり、地球上のコバルトの30%程度はすでに所有しているという話もあります。アメリカでは家の壁に電池を埋め込み、屋根にソーラパネルをつけるというシステムを売っており、日本製の3分の1程度の価格だそうです。
電池と並んで力を入れているものはあと2つ。AIと生産機械です。

AIは自動運転のために必須で、彼らの自動運転はGPSも高精度Naviの地図も使用せず、8つのカメラだけで行います。すでに私の車のバージョンでも、周りの車、自転車、人などは完全に認識していますし、信号、速度表示なども認識しています。道路の上のマーク(左折矢印、停止線など)ももちろん認識しています。すごいのはこれを8つのカメラ入力からリアルタイムで認識して、それを鳥瞰的な表示に変換して画面に出すところです。これを可能にしているのは自社製のGPU(Graphic Processor)で、有名なNVIDIA性の最高グレードのGPUの4倍の能力があると言われています。来年からは更に機能アップしたGPUが投入されるようです。
AIは、モデルを作って、そこに大量のトレーニングデータを流し込んでそのモデルを訓練するのですが、そのためには桁違いのコンピュータが必要です。私も、ここ1年ぐらいAIをかじって見ましたが、私の作るモデルですら、10時間ぐらいコンピュータを動かし続けることが必要なぐらいです。そのためテスラは「DOJO](道場)というスーパーコンピュータを自作し、それは日本の富嶽の10倍程度の能力があると言われています。そのDOJOに世界中で動いているテスラ車からの運転データを収集して、トレーニングをしているわけです。多分、他社で同等のことができるところは無いでしょう。あと車の製造機械の設計製造もなかなかすごくて、車一台の利益率がトヨタの3倍という原因にもなっていますがすでに、随分長くなりましたので次回にでも。
AIについては中国がすごいです。最新の論文を探すと、8割は中国です。あとの2割にも殆ど中国人の名前があります。結構開発環境も良さそうで、とても真似ができそうにもないモデルなどたくさんあります。(真似ができないのはコンピュータ時間、私個人のPCでは何年も掛かりそうなトレーニングをやっています。私のPCも一応NVIDIAのGPUを搭載したハイエンドですが…)論文には出ないところでアメリカも頑張っているかもしれませんが…論文で見る限り日本はかなりお寒い状況ですね、いずれ付けが回ってきすねこれは。

3)法政大学大学院教授 真壁昭夫の提言の記事に遭遇した。
「わが国経済は、「自動車一本足打法」を続けるか否かの分水嶺を迎えた。このまま自動車依存が続けば、わが国の地盤沈下は避けられず、国民の生活水準をも引き下げなければならない恐れが出てくる。それほど脱炭素やデジタル化への遅れは深刻だ。
 「自動車一本足打法」と揶揄されるほどに、わが国経済はハイブリッド車(HV)を中心とする自動車産業への依存度が高い。その一方で、脱炭素を背景に、世界的な電気自動車(EV)シフトが鮮明である。その変化に、わが国経済全体の対応が遅れ、今後の成長が懸念されている。国内の雇用の8%程度が自動関連産業に従事している。まさに、自動車は日本経済の大黒柱だ。日本株と対照的に、米国の株価は最高値を更新し続けている。カネ余りの影響に加えて、先端分野を中心に企業の成長期待が高い。米国ではGAFAM(Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft)等のIT先端企業が経済運営の効率性向上を支えた。脱炭素の加速などを背景に、テスラの成長期待は非常に強い。それを追いかけるようにして、ゼネラルモーターズとフォードは韓国企業と合弁を組んでバッテリー生産を強化し、EV生産を増やそうとしている。自己変革を進めて新陳代謝を高める米国企業に比べ、バブル崩壊後、在来分野での雇用維持を重視したわが国の経済運営のツケは深刻だ。さらに、わが国自動車メーカーの牙城といわれていた東南アジア地域では、インドネシアやタイ政府がEVや車載バッテリー生産のための「直接投資」を韓国や中国、ドイツ企業などに求めている。わが国経済の自動車依存が続けば、中長期的にわが国経済の地盤沈下は避けられないだろう。自動車産業の稼ぐ力が低下すれば、わが国経済全体で生活水準をも引き下げなければならない恐れが出てくる。それほど脱炭素やデジタル化への遅れは深刻だ。今後、成長期待の高い海外市場への進出を、これまで以上に重視する日本企業は増えるだろう。そうした展開を防ぐ手だてはある。自動車が支えた経済の総力を挙げて、新しい産業を育成できれば、わが国経済の縮小均衡に歯止めをかけることはできる。そのためには、政府が経済の安全保障の根幹であるエネルギー政策を大転換しなければならない。とにもかくにも、再生可能エネルギーの利用増加を急ぐことだ。それと同時に、労働市場などの規制改革を進め、企業が必要な人材を柔軟に登用できる環境を整え、職業訓練やリカレント教育を徹底するべきだ。1990年代以降、30年以上もわが国経済全体で新しい発想の実現を目指すことは難しかった。新産業育成の重要性は繰り返し議論されたが、本格的な取り組みは進まなかった。それだけに、日本経済の先行きには慎重、あるいは悲観的にならざるを得ない。岸田政権は強い危機感を持って迅速にエネルギー政策の転換や規制改革に取り組み、新しい産業を盛り上げていくべきだ。」


4)EV戦争のテスラの脅威

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「時価総額が急上昇したのは10月下旬から。約1カ月前の10月25日に一時1兆ドルを突破し、現在は1.1兆ドル(11月26日時点)となっている。テスラが評価されているのは、カーボンニュートラルの追い風に加えて、数字面でも実力が証明されつつあるからだ。10月20日に公表した2021年度第3四半期決算は、四半期ベースで過去最高。売上高は137億5700万ドル(約1兆5000億円、前年同期比57%増)、営業利益は20億400万ドル(約2200億円、同148%増)となった。好調な要因は、普及価格帯の「モデル3」の販売増で、英調査会社のJATOダイナミクスによると9月には欧州の新車販売で全ての車種の中でトップに立ったという。1〜9月の生産台数は62万台で年間目標の75万台も達成しそうな勢いだ。イーロン・マスクCEOは、2030年には年間2000万台の生産を計画していると表明している。これは現在のトヨタの全生産台数の2倍以上をEVで実現することを意味しており、目標も桁違いだ。ただし、もちろん課題もある。最大の懸念は、安全性だ。バッテリーの発火が世界中で相次いでおり、車が燃えてしまうケースが報じられている。EVの発火事故はテスラに限ったことではないが、販売台数が多いだけにテスラの事故件数は多く、それだけ話題にもなりやすい。発火は人命に直結するため、台数の増加に伴って事故が増えるとブランドイメージの毀損につながりかねない。
また、直近では購入者への通知なしに本来装備されているはずのワイヤレス充電機能やUSB端子を省略したEVを出荷していると報じられている。
良くも悪くも、常識をくつがえし続けるテスラ。販売台数の増加に伴い、こうしたテスラの考え方が業界のスタンダードになっていくのだろうか。」

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「第二のテスラの呼び声高い、EV界の注目株。11月10日に株式上場を果たし、一時は時価総額が10兆円を超えた。
本田技研工業やゼネラル・モーターズ(GM)などの老舗メーカーよりも高い評価を受けているが、実力は未知数。納車はまだ月数十台とされており、量産を実現できるのかはわからない。」

5)大川内直子の人類学から生まれた「アイデア資本主義」の見本か、アマゾン流プラットフォームも流石だ。

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6)アップルのこれからの動きも注目したい。
「同社の自動車開発チームは過去数年、2つのアプローチを同時に模索していた。ハンドル操作と加速に照準を定めた限定的な自動運転機能を持つモデルの開発と、人間の介在を一切必要としない完全自律運転モデルの開発だ。非公開情報であることを理由に匿名で話した関係者によれば、「アップルウオッチ」のソフトウエア担当幹部で、自動運転車プロジェクトの統括役に新たに起用されたケビン・リンチ氏の下、エンジニアらは現在、後者のアプローチに重点を置いている。」

7)日産も本気か
「日産自動車は、2030年までに電気自動車(EV)など、電動車の関連技術に1兆円を超える投資を行う方針を固めた。自動車業界は、「脱炭素」につながる電動車で各社がしのぎを削っている。次世代電池の開発を加速させるとともに車種を増やし、競争をリードしたい考えだ。」

年金シニアの私は、今はトヨタのプリウス(HV)で満足しているが、買い替えはEV車と決めている。日本でもテスラ車を頻繁に見かけるようになるのは時間の問題か。これからのEV戦争に日本メーカーの「アイデアと地力」を期待したい。

参考まで、その後の記事。

「豊田章男社長
ことし、COP26(気候変動枠組条約締約国会議)があり、各国のエネルギー政策が見えてきた段階で、この目線ぐらいまでであれば実現可能かというところで、上方修正をさせていただきました。」

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