「私のいない世界」製作ノート3
20年前(!)ひとり芝居の舞台を演出したのですが、そのとき気づいたことがあります。
当初考えていたより「間」が必要だということです。
そのときのひとり芝居は、見えない相手役を想定して演技するシーンが多いものでした。
そういう芝居では、相手の動作やセリフを受ける「間」をとらないと、観客はすぐに置き去りにされます。
ひとり芝居が「ひとり相撲」になるワケです。
わかってはいたのですが、いざやってみると、「もっと間がいるね」「思い切って、もっと間を取りましょう」となりました。
基本的に、役者にとっても演出家にとっても「間」は不安なものです。とり過ぎると緊張感が切れて退屈になりますから。
でも、ひとり芝居には思い切った「間」が要る。
「INTERVIEW」撮影のとき、それを思い出して、出演者の黒川さんに「インタビュアーの質問を想像して、用意、スタートのあと、それを受ける十分な間をとってからセリフを言ってください」とお願いしました。
ところが、編集してみると、どうもよくない。
撮影現場では機能していた「間」が、編集した映像では無駄な時間に見える。見ている側の想像力を刺激しない。
逆に「間」をすべてカットして、ポンポンセリフをつないでいくと、いないはずの「相手」が見えてくる。
「切り取ること」が時間や意味を生むという「編集」のマジックに、改めてびっくりしました。
「間」の話、もう少し続きます。
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