Vol.9 引退の美学(1)上岡龍太郎&原節子編

引退。

芸能人が引退する場合、結婚するとか、不祥事を起こしたとか、人気がなくなってひっそり辞めるとか、いろんなケースの引退がある。
でも、大概は何やかんやで復帰する(できる)のが芸能人だったりする。引退しても別ジャンルで頑張る人もいる。
個人的にモヤモヤするのは、あの人は今的な番組に出る人と、別ジャンルで再デビューしている人。あと、週刊誌等で過去の豪快エピソードなどを話す人。内容によっては聞きたくなかった〜なエピソードが披露されるとがっかりする。

そんな中、私の中で潔い引退をしたと思うのが、芸人の上岡龍太郎と女優の原節子である。

上岡龍太郎は、1996年の年末、『パペポTV』において笑福亭鶴瓶が上岡の芸能界引退をほのめかし、本人もそれを認める。1997年のパペポTV新春スペシャルのオープニングにおいて正式に芸能界引退を表明。「2000年に芸能界デビュー40周年を迎える。ボクの芸は20世紀で終わり。21世紀には新しい人生を歩みたい」と述べ、3年後の2000年4月に58歳で芸能界を引退(一部Wikipedia参照)。芸が衰えているとは思えなかったが、目標(というか契約関係が終わる)までにスパッと辞めたのが素晴らしい。辞めた後も何やかんやでTVや雑誌に出る元芸能人がいる中、一切出ないのが潔い。そんな状態だったからこそ、2007年の横山ノックを天国に送る会での献杯挨拶は素晴らしかった(今でもYouTubeで見られる)。自分はできないからこそ、こういう引退の仕方に憧れる。

原節子は、1963年に映画監督の小津安二郎監督が亡くなり通夜に出席したのを最後に女優業を43歳で事実上引退。以降表舞台には一切姿を見せなくなった(一部Wikipedia参照)。2015年に95歳で亡くなるまで52年間一切表舞台に出なかった。というか、引退してもそれなりに隠居できるほどの貯金があったのかもしれない。

正直言えば私も早く引退したい。隠居したい。でもできない。何故ならローンがあるから。引退できない人が多いのが今の日本の現状なのかもしれない。

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