共通接線の2パターン ②
はじめに
noteというアプリ・サイトは3000字を超えた辺りから文字を打つと重くなり、スマホが熱くなります。ちなみに前回の記事は6000字程度でした。
TeXという表記を用いてる以上、文字数が増えがちなのですが、文字を打つたび遅延が入りイライラするので、こうして分割して記事を書く必要があります。読者の皆様にはご不便をおかけします。
では早速問題を見ていきましょう。
問題3
接線の存在条件を求める問題です。
この問題は、接点共有型でしょうか?それとも非接点共有型でしょうか?
わかりませんね。
このようにどちらのパターンかわからない問題が出た時は、接点非共有型の$${ s ≠ t }$$という条件をなくせばいいです。
ただし、今回は片方の曲線が$${ 2 }$$次関数です。このような曲線の場合は次のような変形がおすすめです。
解答
$${ C_1: y = x^3 + 2ax^2 }$$ を $${ f(x) }$$
$${ C_2: y = 3ax^2 - \dfrac{3}{a} }$$ を $${ g(x) }$$
とする。
$${ f’(x) = 3x^2 + 4ax }$$
より、 $${ f(x) }$$ 上の点 $${ (t , t^3 + 2at^2) }$$ における接線の方程式を $${ l }$$ とすると、
$${ l: y = (3t^2 + 4at)(x - t) + t^3 + 2at^2 }$$
$${ \Leftrightarrow y = (3t^2 + 4at) x - 2t^3 - 2at^2 }$$
これを、$${ g(x) = 3ax^2 - \dfrac{3}{a} }$$ に連立して、
$${ 3ax^2 - (3t^2 + 4at)x + 2t^3 + 2at^2 = 3ax^2 - \dfrac{3}{a} }$$
$${ \Leftrightarrow 3ax^2 - (3t^2 + 4at)x + 2t^3 + 2at^2 - \dfrac{3}{a} = 0 }$$
$${ a > 0 }$$ に注意して、$${ l }$$ と $${ g(x) }$$ が接する条件は、上式の判別式を $${ D }$$ とおくと、$${ D = 0 }$$ より、
$${ (3t^2 + 4at)^2 - 4 \cdot 3a \left( 2t^3 + 2at^2 - \dfrac{3}{a} \right) = 0 }$$
$${ \Leftrightarrow 9t^4 - 8a t^2 + 36 = 0 }$$ (これが共通する接線の方程式です.)
求める条件は、この接線の方程式の存在条件になります。
$${ t^2 = u }$$ とおくと、$${ u \geqq 0 }$$ であり、
$${ 9u^2 - 8a^2 u + 36 = 0 }$$
求める条件は、
「$${ u }$$ の方程式$${ 9u^2 - 8a^2 u + 36 = 0 }$$ が $${ 0 }$$ 以上の解を1つ以上もつ」
$${ f(u) = 9u^2 - 8a^2 u + 36 }$$とおく。
放物線 $${ y = f(u) }$$ の軸 $${ = }$$ $${ \dfrac{4}{9} a^2 > 0 }$$
$${ f(0) = 36 > 0 }$$
$${ 9u^2 - 8a^2 u + 36}$$ の判別式を $${ D' }$$ とおく。
$${ \dfrac{D’}{4} \geqq 0 }$$ より、
$${ (-4a^2)^2 - 9 \cdot 36 \geqq 0 }$$
$${ \Leftrightarrow a^4 \geqq \dfrac{81}{4} }$$
$${ a > 0 }$$ より、$${ a \geqq \dfrac{3}{\sqrt{2}} }$$
補足
この$${ u }$$が重解を持つとき、実は接点共有型の接線になっているんです。
$${ u }$$が2個解を持っても、接点非共有型の接線になり、共通する接線が増えるわけじゃないんです。
問題4
同じ質問になりますが、この問題は、接点共有型でしょうか?それとも非接点共有型でしょうか?
同じく分かりません!
まあ(2)を見れば接点非共有型なんだろうなぁとは想像つきますが、もちろん$${ p = q }$$を否定することはできません。
ということで、先ほどの別解と同様、接点非共有型の $${ s ≠ t }$$ という条件(今回は $${ p ≠ q }$$ という条件)をなくせばいいです。
解答
(1)
$${ f(x) = x^3 + 3x^2 }$$
$${ g(x) = x^3 + 3x^2 + c }$$
$${ f'(x) = 3x(x + 2)}$$
$${ f(x) }$$の、$${ x = p }$$での接線の方程式は、
$${ y = 3p(p + 2)(x - p) + p^3 + 3p^2 }$$
$${ = 3p(p + 2)x - 2p^3 - 3p^2 }$$
$${ g'(x) = 3x(x + 2)}$$
$${ g(x) }$$の、$${ x = q }$$での接線の方程式は、
$${ y = 3q(q + 2)x - 2q^3 - 3q^2 + c }$$
この2つの接線が共通するので、係数比較すると、
$${ 3p(p + 2)=3q(q + 2) --- ①}$$
$${ - 2p^3 - 3p^2 = - 2q^3 - 3q^2 + c --- ②}$$
$${ ② \Leftrightarrow c = 2(q^3 -p^3) + 3(q^2 -p^2) }$$
$${ c > 0 }$$ より、$${ p ≠ q }$$
$${ ① \Leftrightarrow p^2 - q^2 + 2p - 2q = 0 }$$
$${ \Leftrightarrow (p - q)(p + q + 2) = 0 }$$
$${ p ≠ q }$$ より、$${ p - q ≠ 0 }$$
$${ \therefore p + q + 2 = 0 }$$
$${ q = - 2 - p }$$
これを $${ ② }$$ に代入すると、
$${ c = -4(p + 1)^3 }$$
(2) 直線 $${ l }$$ と曲線 $${ y = f(x) }$$ の $${ P }$$ 以外の交点を $${ R }$$ の $${ x }$$ 座標を求める。
$${ x^3 + 3x^2 = 3p(p + 2)x - 2p^3 - 3p^2 }$$
$${ \Leftrightarrow (x - p)(x + [2p + 3]) = 0 }$$
$${ r = - 2p - 3 }$$
$${P,Q,R}$$ は$${ l }$$ 上にあることから、
$${ PQ : QR = | p - q | : | q - r |}$$ より、
$${ \Leftrightarrow PQ : QR = |2p + 2| : |p + 1| }$$
$${ \Leftrightarrow PQ : QR = 2|p + 1| : |p + 1| }$$
$${ \Leftrightarrow PQ : QR = 2 : 1 }$$
補足
最後の線分比は
「直線上の線分比は $${ x }$$ 座標の差の比だけで表すことができる」
というやつです。絶対値忘れちゃダメですよ。
相似を考えれば簡単に分かりますが、線分比が出た時は思い出してほしいです。
$${ PQ,QR }$$ は求めること出来るので、それを計算してもいいですが、明らかに手間がかかるので最終手段です。
中学数学でやるところなので、わざわざ証明を書く必要はありませんが、中学数学が盲点になっている人は割と多いと思います。こういうところで軽く復習しときましょう。
終わりに
一橋は2年連続で共通接線に関する出題がありましたね。流石に今年はないと思いますが、東大、京大、その他旧帝では全然出題が考えられますし、共通テストのネタにされがちなので、ここでちゃんと復習しときましょう。
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