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~第9回~ 「蛍放生祭」

武蔵一宮氷川神社では6月6日に螢放生祭を執り行いました。
例年この時期には、市民有志の会による「氷川ほたる観賞会」も開催されてまいりましたが、本年は新型コロナウィルス感染症の影響を鑑みて中止の運びとなりました。

この「放生祭」。地域によっては「放生会」ともいいますが、殺生を戒め、捕らえた生き物を池や野に放す行事です。
本来は仏教の戒律「殺生戒」でしたが、神社でも行うようになりました。
文献上は『日本書紀』天武天皇5(676)年8月17日の条に「諸国に詔(みことのり)して放生せしむ」とあるのが初出です。

また、蛍に限らず様々な生物が放たれておりました。
例えば江戸時代の浮世絵画家・歌川広重によって1857年に描かれた『名所江戸百景 深川万年橋』には、富岡八幡宮の放生会で放たれる亀の姿が描かれております。

かつて、当社周辺は明治から昭和初期にかけ、ホタルの名所として知られ、毎年、境内で捕まえたホタルを皇室に献上してまいりました。
これからも私たちは、生命の大切さを大宮の地を舞う蛍たちに託して祈ります。

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〔 Word : Keiko Yamasaki Photo : Hiroyuki Kudoh 〕

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