教えると言うことに悩んだときは
〈教えるのではなく、学習のサポートを〉
一般的に教育というと、分かっている人が分からない人に、知識や技術を与えるというイメージがあります。しかし本来、誰が知識を与えたかということは、あまり意味のないことです。誰から与えられようと、その知識に差はないからです。学校の先生に聞いた知識でも、インターネットで見た知識でも、同じ内容であれば違いはありません。知識を得ることに関して、分かっている人が主体になる必要は無いのです。
そうすると主体は、分からない人ということになります。大人はどうしても、どうやって教えるかを考えがちですが、それは違います。必要なのは、どうやって学習してもらうかです。つまり考えるべきは、教育の方法ではなく、学習の方法なのです。大人がするべきことは、学習のサポートなのです。
その子に合った学習の方法を伝えることが必要です。最初から自学自習をできる人は少ないからです。その子の学習レベルを把握し、そのレベルに合ったテキストを用意し、集中して取り組める時間や場所を確保してあげる。そして、根気強く向き合ってあげることが重要です。
学習には、上下関係は発生しません。学校の中では、先生と生徒または学年間で、上下関係が発生することがあります。義務教育の名の下に半強制的に拘束している上に上下関係まで発生したら、それは教育でも学習でもなく、軍隊や牢獄と一緒です。部活動も同様です。あまり好きでもないことや嫌なことを、理由も説明されず、報酬も貰えずに毎日強制されたら、大人だったら確実に人権問題や労働問題になります。
しかし、子どもは皆まじめなので、ある程度過酷な状況でも受け入れてしまいます。疑問に思っても、受け入れないと生きていけないから、適応してしまうのです。とても残酷なことです。
学習のサポートは、あくまでもサポートです。なんで毎日注意しているのに宿題をちゃんとやらないんだと思ったり、なんでこんなに丁寧に説明しているのに分からないんだと思ったり…。そんな風にイライラしてきたら、要注意です。それは、上からものを教えようとしてしまっているサインです。毎日勉強できる方法を一緒に考えたり、少しレベルを下げた問題を用意するといった、具体的なサポートをできるようになっていきましょう。
〈大人が自ら学ぶ必要性〉
学校や家庭では、ついつい子どもの勉強の話ばかりになってしまいますが、では、大人はどうすればいいのでしょうか?それは、とても簡単なことです。大人も学習すればいいのです。難しいことをする必要はありません。気になった本を読めばいいし、分からない言葉があったらスマホで調べればいいだけです。
ただし、お金のために働いたことは、カウントしてはいけません。大人はお金のために生きているのだと、子どもたちに誤解を与えるからです。そして、いずれ自分たちもそうなるのだと勘違いされてしまいます。最悪な誤解です。大人も趣味を楽しみましょう。その姿勢は必ず伝わります。大人になると、こんなに充実した日常を送れるようになるのだと、子どもたちに伝えていきましょう。
〈子どもから学ぶ〉
では、本を読んだり調べ物をしたりするだけでいいのでしょうか?もう一つ大事なことがあります。それは、子どもから学ぶことです。
なぜ大人が子どもに教えるものだと思い込んでいるのでしょうか。年齢や立場など関係なく、分からない人や知りたい人は、その知識や技術を持っている人から学べばいいのです。子どもは、大人より多くのことを知っています。その子が今何を考えているのか。どんな感情なのか。好きな遊びやゲーム、アニメ、アイドル、その子の全てに興味を持ってください。そして、一緒に遊んでください。それが、学びです。何かを知りたいと思い、それを知り、そして行動に移す。これが学びでなくて、なんでしょうか。子どもの学習のサポートをし、自らも学び、そして子どもから学ぶこと。それが大人の役割です。
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