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#句具ネプリ -2023秋分- の好きな10句
9月から俳句を学びはじめ、1週間経ったところで「所属・経験不問、誰でも参加できる」との募集を知り、「句具ネプリ」に初めて参加しました。
同時代を生きているひとたちの、様々な句を鑑賞する楽しさを味わえて、そのなかに未熟ながら自分の句も載っているの、すごくワクワクしました(TALK ROOMの「俳句をはじめた理由」も掲載いただけてhappy)。
以下、読んでいて、素敵だな、好きだな、すごいな、と思った10句です。
一脚は紅き椅子なり秋灯し うっかり
簡素な椅子のならぶ中ひとつだけ、紅い天鵞絨張りの椅子が、ランプでぼんやりと照らされている洋館の光景を勝手に思い浮かべました。「紅き」ということばに重厚さを感じられて素敵。
秋高し子キリン首を重さうに 伊藤映雪
澄んだ秋の空を見上げ、視線を落としていくと背の高い木々と親キリン、そのさらに下の方、まだ長い首を持て余している子キリン……と視線が自然と動いてゆく感覚が心地好い。全体の情景も可愛らしくてほのぼのする。
ぎんなんの色は宇宙にないみどり 江口小春
食卓のぎんなんの小さな粒から、カメラが高速でズームアウトして、宇宙へ放り出される感覚。ぎんなんと聞くと自分はまず、熟した状態を思い浮かべてしまうので、熟す前を題材にする着眼点も、あの翡翠色を「宇宙にはない」と表現するのも素敵。
菊人形去年義経だつた首 紺乃ひつじ
「犬神家の一族』の影響で菊人形に(失礼ながら)不気味なイメージを持っているうえ、その「首」に注目させられ、もとが義経だったことは教えてもらえるけど、すげ替えられた今どんなことになっているのかは想像するしかないところでまたゾワゾワくる。
煎餅の二次元の海老天の川 国代鶏侍
海老がプレスされぺったんこになっている状態を「二次元」と表現するところ、「海」老から天の「川」への流れ、煎餅と天の川の取り合わせなどが面白くて好き。
秋うらら丸く膨るるパンの種 うはのそら
秋晴れのまぶしいほどの太陽に照らされ、膨らんだパン種がつやつやと輝いている情景、すごく多幸感がある。「秋うらら」と「膨るる」の音の響きも好き。
人の耳ちぎり埋むればダリア咲く 伽羅
何故その発想が生まれたかはわからないのに、言い切られてしまうと妙な納得感もあり、月のない夜、妖しく咲き誇るダリアが思い浮かぶ。残虐性とうつくしさのバランスが好き。
割くたびにしめじに音未満の音 友定洸太
今まで生きてきて幾度となくしめじを割いてきたけど、そこに注目したことがなかったし、「音未満の音」という表現は出てこないなあ!と非常に心を揺さぶられた。私は味覚や嗅覚ばかりでしめじをとらえていて、触覚や聴覚をつかっていなかったのだな。
秋高し解体を待つ観覧車 倉下碧女
爽やかな秋晴れの空の青を想起したあと、夕暮れの中たたずむ寂れた観覧車の物悲しさへ一気にイメージが塗り替えられる。中途半端に残された状態を、「解体を待つ」と表現するのも素敵。
強そうなかたちに握る栗おこわ 後藤麻衣子
ふわっと空気を含ませて握るのではなく、ギュッギュッと力をこめて握られる光景が思い浮かぶ。「強そうなかたち」ということばえらびも好き。