「葬送のフリーレン」の主人公は誰か
ティティ
「葬送のフリーレン」読みました?
会田
読んだよ。11巻までね(11月10日時点の最新刊)
ティティ
なんか変な話ですよね。
会田
そうね。空気感は「キノの旅」を思い出すね。
ティティ
ああ、色々な国に行く感じですよね。確かに。
会田
ただ、「フリーレン」が面白いのは「目的」があることと、そしてなにより「勇者ヒンメルたちとの一回目の冒険」という「過去」があることだよね。
ティティ
確かに。
会田
そしてさ、フリーレンはその過去の"意味"を全然理解していないんだよね。
ティティ
まあ「私にとってはほんの10年」みたいなこと言ってましたし。なんだかんだでヒンメルには50年間会いに行かなかったですからね。
会田
本当に最初はただのなんでもない一瞬の10年だったんだよ。長い長い人生の中のほんのひととき楽しかったなっていう。人間のおれたちからしたら二泊三日の旅行みたいなさ。
ティティ
はいはい。
会田
読者はさ、フリーレンの回想の中でヒンメルがどういう人間だったか知っていくじゃん。いろんなエピソードや言葉を聞いて。ヒンメル良い奴じゃんとか、良いこと言うじゃんみたいな。徐々にヒンメルを知っていくんだけどさ。でも実はフリーレンも同じなんだと思うんだよね
ティティ
同じというと?
会田
フリーレンは「一回目の冒険」のときは、絶対ヒンメルにそんな感情湧いてないんだよ。それはフリーレンが幼かったからなのか、「変わる」前だったのか分からないけどさ。ただただ勇者一行のひとりとしてそこにいただけだった。でも2回目の旅をしていって、初めて気づくのよ。あの「想い出」の持っていた"意味"にさ。それに気づく瞬間が読者と同じタイミングなんだと思うんだよね。おれたちが「ヒンメルってこういうやつなんだ」って思うのと、同じタイミングでフリーレンも「こういうやつだったんだ」って理解しているんだと思うんだよ。
ティティ
確かに、なにかに気づいたり、学んだりする描写はたくさんありますよね。
会田
その意味でさ、この物語の主人公は勇者ヒンメルなんじゃないかと思うんだよね。
ティティ
ほう。
会田
結局フリーレンはエルフでさ。実は読者のおれたちはフリーレンのことを理解することはできないように思うのよ。フリーレンが魔族とはわかり会えないと言うように。そんな中で、そのフリーレンに「思い出してもらう」存在として、勇者ヒンメルの物語なんじゃないかなと思ったんだよね。
ティティ
フリーレンが「思い出す物語」じゃなくて、ヒンメルが「思い出してもらう物語」ってことですか。
会田
そうそう。
ティティ
そして11巻のラストは胸熱な展開でしたね
会田
そうだね。ついにその「過去」と相対することになりそうだね。
ティティ
2回目の旅をとおして「変化」したフリーレンが、ヒンメルと会うわけですね。
会田
「想い出」の”意味”を知っていったフリーレンが「想い出」そのものと再会するってことだね。これはアツいね。
ティティ
目が離せないですね。
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