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こばなしたち

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2019年4月の記事一覧

ラフ

ラフ

「ラブ」発売記念こばなし。明渡と苑。本編読了後にどうぞ。

二月中に引っ越す予定がずれ込み、結局、新居に入れたのは四月になってからだった。明渡が今住んでいるマンションの三フロア上に2LDKの部屋があり、現在の店子が一月末で退居するというのでそのタイミングで移るはずだったが、成人の日に大家さんから電話がかかってきた。「九階のお部屋のことなんだけどね」と申し訳なさそうに切り出す。

––––今住んでる

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花泥棒

花泥棒

※「おとぎばなしのゆくえ」、隼人と湊

ただでさえ来訪者の多い街で、とりわけ春はうっとおしい。人間の空気というかテンションがやたらそぞろに浮わついて目に耳に障る。しかしそんな自分だってよそ者には違いなく、文句を言う先もないので黙ってやり過ごすしかない。唯一、個人的な感情を洩らす相手は大いにのんきなバカなので「にぎやかでいいと思うな」なんて平気でぬかしやがるし。

––––始まるんだなって感じが。お

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桜のころ

桜のころ

※「ナイトガーデン」和章と柊

最初の春だった。近所の公園に桜並木があって、柊はそこを通りかかるのを毎日楽しみにしていた。植物園でそれなりに多様な草花や樹木に触れてきたが、やはり桜という木は特別な感じがある。日本に生まれ育った刷り込みのおかげだろうか。今年の桜、去年の桜、と年と一緒に花を数えるのはこれだけだ。今年のチューリップ、でも今年のひまわり、でも悪くないけどしっくりこない。だから、和章と迎え

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