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業務システムの開発・構築・運用管理の標準化 (Ⅰ.業務システムの全体概要)

業務システムの開発・構築・運用管理の標準化
(Ⅰ.業務システムの全体概要)
Standardization of the software development management、 infrastructure construction management、and operation management of business application systems (Ⅰ.The outline of business system)
鈴木一明  Suzuki Kazuaki

1.はじめに
 業務システムのアプリケーション開発、システム導入、運用管理等を行っているIT関連の人材が基本的な知識、手法を理解するための解説である。
 汎用機時代のシステム開発やシステム運用管理は専門的な部署において行われていた。近年、サーバー機器の普及に伴い、システム開発・導入やシステム運用管理が業務担当部署に分散化され、IT教育がなされないまま、IT未経験者がそれらを担当し、システムの品質管理まで行う状況となっている。平常時に何を行い、緊急時に何を行うのかが理解されず、品質管理が疎かになっているのが現状である。
 開発・運用を行っているITベンダーにおいても、ツール等の普及に伴い、簡単にプログラム製造や運用が出来る様になった。更に、発注者からも的確な要求が示されないことから、「プログラムを作り、動けばよい。」と勘違いし、設計、テストなどが疎かになり、品質管理の重要性が失われている。一方、各法人等においては、入札制度の見直しに伴い、安値で受注してしまう中小規模のITベンダー等が台頭してきている。それら一部のITベンダーにおいては、品質管理の経験・スキルがないことから、「動けば良い」、「設計書は作らない」、「品質チェックは簡略」などの考えから、品質面を軽んじた作業工数見積りによる不適切な落札が横行している。結果、「安かろう、悪かろう」の事例が見受けられる。
 この原因は、発注者からの適切な要求が無くITベンダーが独自の判断で行っていることと思われる。
 汎用機時代から業務システムの開発・構築を手掛けてきたITベンダーは、業界標準に準じた開発標準等を保有し、品質管理体制下でシステム開発や運用管理を実施している。また業界標準に準じた開発・運用を行っているITベンダーは、設計書の作成やテストを十分に行い、品質重視の管理を行っている。これらのITベンダーは、経費面では高額になり、今の入札制度の中では、受注の機会が少なくなっている。
 上記のような環境変化において、「品質管理をどの様に行えばよいのか」の課題を解決する方法として、アプリケーション開発・システム基盤構築・運用保守管理の関する標準化について解説する。

2 .業界標準
 入札制度では、公平性、透明性を確保してアプリケーション開発や運用・保守を委託するITベンダーを選定する必要がある。
 業界標準に準拠した開発標準や運用・保守標準に沿った作業を要求することで、公平性、透明性を確保することが課題解決に繋がる。大手ITベンダーの保有する開発標準については、ほとんどが業界標準に準じているため、特に問題ないが、開発標準をどの様に適用するかは実状に合わせて検討する必要がある。
 そこで、アプリケーション開発や運用・保守管理に関するマネジメントや作業規定について解説する。開発に係る業界標準としては、ソフトウェア開発プロセスについて規定した 「SLCP®、運用準備および運用・保守に係る業界標準としてITサービスマネジメントに係る「ITIL®」、プロジェクト運営に係る業界標準として「PMBOK®」が主流となっている。業界標準を「表I-1」に示す。

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