振り返り記事:市川米っ人くらぶに参加した理由と母の振り返り
田植えをしたい。
稲刈りをしたい。
子どもたちと。
そう思い始めたのは息子がまだよちよち歩きの頃。
九州の田舎で育った私は田んぼや畑がすぐ近くにある場所で18年育った。
梅雨の束の間の晴れ間、小学校の帰り道に田んぼがあまりにも楽しそうで長靴を履いたまま飛び込み、長靴が抜けなくなり、通りかかった上級生のスニーカーを借りて帰って母に叱られたことも(叱られた理由は私が田んぼに入ってないっていう謎の嘘をついたからなんだけど)。
家を出ればたくさんの虫がいて(虫嫌いの私には拷問だったが)、犬や猫もたくさん道で出会って、帰り道に道端の花を摘んで帰って冠を作ったりもした。
一方、子供たちは、なかなかそういう機会はない。
近所のお友達の家の庭でバッタやダンゴムシには出会うけれども、畑や田んぼは電車や車で行く場所、または祖父母の家の近くにあるから帰省したときに遊ぶ場所、という認識。
スーパーに買い物に行ったときに、この食材を選んできて!おいしそうなやつ!というのはよくお願いしてやっているけれど、じゃぁ実際ピーマンがどんなふうに実るのかとか、かぼちゃの花って何色だっけ?というのは教科書や本で知るか、検索して調べる、文字+画像の情報としての接触しかなさそう。
それはとってももったいないことだし、田舎育ちの私は都会の同級生たちのことを羨ましく思い続けて生きてきたけれど、きっと地方にしかない「体験」だってあるはずで、それをぜひ子どもたちにもやってほしいと思った。
そして息子が年中さんの年度末に色々探した。
田植え体験、畑のオーナー権・・・・色々あったけれど、田植え+稲刈り+餅つき、みたいなスポットの体験も魅力的だと思う一方で、できればある期間どっぷり、植え付けから草取り、虫が来る、鳥に食べられる、そんなことも経て収穫するまでを体験したかった。
というところで見つけたのが私が住んでいる市川市の農業体験事業、市川米っ人くらぶ。
しかし!!!この米っ人くらぶは小学生以上に応募権がある・・・ということで年長の間はおあずけ。1年待って応募した結果、抽選に通って参加できることになった。
オリエンテーション、昨年度に植えた玉ねぎの収穫、ネギ植えに始まり、ジャガイモ、かぼちゃ、落花生(うわー千葉っぽーい)、もちろん田植えの前には代掻きも。玉ねぎ、大根、小ねぎ、白ネギ、バジル、、、、たくさんの作物の種、苗、草、土、ポンプでくみ上げる水、用水路の冷たい水、田んぼのどろどろ、、、、様々な「自然」に触れる体験をさせてもらった。
土曜日は習い事も多く、振替やおやすみ連絡などのやりくりは大変だったし、学校行事や保育園行事で「あーこの回行きたかったのに・・・」という残念な思い、台風や大雨の影響での活動延期など、自然を相手にするからこそ体験する諸々も味わいながら・・・半年間親子ともに大満喫した。
そこまで好きなら畑のオーナーになればいいじゃないか、という話もあるかもしれないが、そこは虫がたいそう苦手な私には普段からのメンテナンスは無理なのでご了承いただきたい。ミミズをみて悲鳴、エンマコオロギが突然飛んできてGだと誤認識して悲鳴、バッタは大丈夫、、、そんなレベルなのだ。
心に残っているのは代掻き。
子どもたちが思う存分泥だらけになれる体験はこのときくらいしかないから、親御さんはなるべく泥だらけになることに対してネガティブな発言をしないでください、という事前のお話もあったし、私自身どろどろが大好きだった小学生時代を過ごしていたので、息子がどろんどろんになっても笑顔で見守っていた。一方、娘はというと、背丈が小さいので兄よりも深く体がずぶずぶに浸かってしまうこともあり、また、汚れてもいいとあえて直前に購入した安価な服がガーリーだったため気に入ってしまい「それを汚したくない」とテンションが下がってしまい、4月のまだ肌寒い時期だったことも相まって「もうわたし帰る・・・」と夫と先に帰ってしまった。でも時はたち、夏になり、、泥だらけになった体ごと用水路にじゃぼーんと飛び込んでみよう!というときや、水鉄砲を背負って苗に水をやっておいでーという頃にはどろどろになるのも気にせず、虫好きなこともあってたくましく活動をしていた。
それから、草取り。
子どもたちはたいてい「収穫」や「植え付け」にはテンションが上がる。そして植え付けの後の「水やり」にいたっては、我も我もとジョウロを奪い合い水をかける。しかし草取りはまぁしゃーないな、というテンションでやっている子どもたちを散見する。
一方で息子は、何が楽しいのか私も聞いてみたいところだが草取りに非常に燃えるタイプだった(収穫も植え付けも水やりも好きだけど)。そういう、一見華やかじゃない作業にもきちんと取り組む息子の姿勢が見られたのは親としてもいい発見だった。
そんなわけで市川米っ人くらぶの活動はこの秋で今年度は終わってしまったのだけれど、参加者文集の編纂作業があるそうで、今、家に原稿用紙がある。
アイデアを形にしていくのが大好きな息子の、作文執筆作業が次なる楽しみだ。