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【書評ふたつ】林芙美子 浮雲

※現代の作家は敬称をつけていますが、それ以外の作家に関しては敬称をつけていません。
以後の書評も同様とします。

すっと読みたいと思っていた林芙美子作品。
群ようこ氏の書評エッセイに必ず登場し、興味はあったのだが、自分に読めるか不安だった。

ただ、不惑を過ぎ、戦前の作家の作品や純文学作品を読むようになった。
そこで、ついに読んでみた。

林芙美子 「浮雲」

※感想は二パターンに分けて書きました。

ひとつは、自分なりに考察をしてみた、いわゆる書評。
そしてもうひとつは読中、読後の自分の感情をストレートに書いた短文の感想。
SNSや、ネットの掲示板に書くような感じでさらっと書きました。

【書評】
放浪記でも感じたが、人間の持つ厭らしいマイナスの感情の表現が卓逸している。
ストーリーに、戦後の仄暗い雰囲気を醸し出しており、松本清張の作品とも通ずるものがある。
登場人物の中には戦争がなければ、人生が変わった人がたくさんいたのだろう。
しかし、仏印での一瞬の情熱、恋愛の盛り上がりは戦争があったから存在したものであり、ゆき子と富岡がそれを味わうことはなかったのである。
この時代の女性の地位の低さ、稼ぐ力のない無力さも読んでてしんどかった。
ゆき子はどうやったら幸せに生きられたのだろうか。考えてもポジティブな答えが見えない。

【ライトな感想】
生きるために身体を張ったゆき子と比べ、富岡のクズっぷりが度をこえている。やばい。
いやでも、ゆき子もナチュラルに泥棒してるな、、
富岡妻がひたすら不憫だったが、あんたも不倫しとったんかい。
加野はなにをやらかしたんだ、、
もしいまの時代なら、ゆき子はここまで富岡に執着しないのでは。
てか、そもそも伊庭がやったことを訴えるだろうな、、
現代なら倫理観がアップデートされ、富岡のクズっぷりももう少し控えめになったではないか(そんなことはないかな…)

書評おわり。

この二パターン書評、書いてて結構面白かったので、次もまた書きたい。




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