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忘れられない「おめでとう」

一度だけ、家族以外に囲まれ、誕生日をお祝いしてもらったことがある。
病院の大部屋で。

忘れもしない、30歳の誕生日。
わたしは切迫早産で1ヶ月以上総合病院に入院していた。
まだ保育園児の上の子を残しての入院だったので、家族みんな、なかなかに大変な状況であった。

なので、わたしも自分の誕生日当日は誰も病院に来ないことを知っていたし、特に気にしてなかった。

そして迎えた誕生日当日。

大部屋仲間のみんなが、色紙とプレゼントをくれた。

全く予想していなかった。


わたしが入院していたのはベッドが6床ある大部屋で、みんなが妊婦。
食事時間は仕切りのカーテンを開けて話が盛り上がっていた。

仕事のこと、家族のこと、生まれてくる子どものこと。
あとは、退院したら食べたいものの話。
(一番人気はマックだった。)
話題は尽きず、すごく楽しかった。

みんなの症状はすこしずつ違う。
点滴していたり、車椅子でしか移動できなかったり、シャワー禁止だったり。

そんな中、わざわざ看護師さんにお願いして車椅子で売店まで行ってくれ、お菓子を買ってきてくれた。
こっそり色紙を回して書いてくれた。
ハンドメイドが得意な方は、自作のスタイをくれた。

すごく、すごく嬉しかった。

そのときお腹にいた子はもうとっくに小学生。
入院していた仲間もみんな無事出産し、一度集まったけど、その後は会えず。


でも、あのとき食べたプレゼントのプリッツの味は忘れられない。
みんな、ほんとうにありがとう。
忘れられない誕生日だったよ。


この話は絶対テキストで残しておきたかったので、今日ここに書けてよかったと思う。


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