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のんびりボトル

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まどろみや日常の些末な喜びの詩です。花の詩もここ。
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記事一覧

この街の夜

すずらんの街灯の下で 湧水がとめどなく 夜に生まれる旋律を 涼やかに染色している 街灯から…

一湖
2年前
17

スクリーンの帰り道

世界の果て 異国の鈴の音 温かい泥 銀河を転写した布 ティンパニーの震える膜 世界の果て 行…

一湖
3年前
21

『雨』
灯りを消すと
会いたい気持ちが
まぶたに灯るから
今日も私は眠れません

灯りを消そうと
恋しさ滲ませた
まぶたの水が
ついに集まって
そぼ落ちる夜は
あたたかい布団に潜って
また会う日のあたたかさを
夢に灯すといたしましょう

一湖
4年前
38

清明

清明のベランダに出る 地上4階の高さに浮く 一畳にも満たない箱庭  怖がって片づけられなか…

一湖
4年前
47

『2020桜始開 四首』

商店街 店先暗く 時読めず
歩道の余白 埋める寒雨

書店にて 迷う視線を 掴まえる
地味な表紙の アリストテレス

死んですぐ グッズ売るワニ 笑い顔
昨日のように 可愛がれない

魔女宅で 流れるユーミン こんなにも
優しい声と 今になり知る

一湖
4年前
38

『先生 二首』
教壇の 老いた教師が 選り抜いた
優しさ着せた 辛苦の記憶

春の空 仰ぎ痛めし 胸持たば
あなたが教えた 咏(ウタ)は良薬

一湖
4年前
26

『 春天・四句』  春霖を 飲んで微睡む 土曜の樹  竜天に 登るは見えず 靴濡れる  道道に 春のカミナリ 轟きて  淡雪の 白さ明日には 何処へと ─── 季語 春霖、春雷…三春 竜天に登る、淡雪…仲春 ─── 元気かい? 雨に雷、名残雪。 慌しい一日ですね。

ひとり暮らしになったなら

ひとり暮らしになったなら 今日一日は手帳の中だけ ひとり暮らしになったなら デザート買って…

一湖
4年前
41

『無題』
花屋一面の春を浴びて
ショーケース並ぶ苺のタルトの赤さを浴びて
今も君を思い出す

雨に濡れる梅の幹の美しさに
今日選んだイヤリングの孤独に
少し離れて君を思い出す

少しずつ離れていく距離で

赤い君のリンゴの酸っぱさ
カラメルの瞳で思い出す

一湖
4年前
24

『涼』
こうしてふいにわたくしは
雨に
雨の冷気に
その小さな霧の粒に
なりたくなるのでした

──────
おやすみなさい
今日は眠れそう
良い夢を🥀✨

一湖
4年前
26

『あそべよこども』
あそびって世の中を触るためにあるんだね
自分の体がどこまであって
君の心がどこから始まるのか
触るためにあるんだね

─────
こんばんは、元気かい?
ヨガに行ったら息を吐けないことに気づきました。よろしくない。

春らしいお花で気分を上げます👐💐💖

一湖
4年前
34

書く

字ってなんだったのだろう 宿る神性 宿らせる力 墨の運びの 覚悟の固さ 墨の運びの 命のゆ…

一湖
4年前
36

重(かさね)の中に  #手書きnoteを書こう

幾重にも 幾重にも 光受け 影照らし 何を隠しているの いじらしい永遠の謎 秘めたるまま芳(…

一湖
4年前
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冬のオーブン

運命の果実は野生なので 美味しいことなんて滅多にない エグかったり 酸っぱかったり 渋かったり そうでない事なんて途轍もなく稀だ だから人は アップルパイを作る 傷んだ箇所だけ削いで 砂糖とバターで炒める ラム酒とシナモン香和せて ちょっと煮るのね 重ねて潰して、重ねて潰して そうやってつくったパイ生地に包み フォークで模様をつけて 溶き卵でトリートメント施せば さあ いよいよオーブンで 運命を変容させるのだ  さっき話したような  甘い果実を得た稀な人は  丸かじ