MIU404 視聴想査隊~闇も煌めきも食べ尽くそうぜ、最終話初動報告

(バックナンバーはマガジン欄からどうぞ)(今回も観た人向けです)

ついについにの最終話「  」→「ゼロ」。
恐らく皆さん大盛り上がりだったと思いますし、僕も感情のジェットコースターでした……

しかし同時に、ツッコミ所も少なからず浮かんだ回でした。ので、まずは見所をポジティブに振り返り、その後にグダグダとモヤりを吐き出すという構成ですので、撤退のタイミングは託します。

404の積み重ねの崩壊

前回、久住とその配下のフェイクに乗せられて手痛い敗北を喫した警視庁。
容態が危ぶまれた陣馬は、即死は免れたものの意識不明。息子の結婚に際し幸福な空気に包まれていた一家の沈痛な表情が痛い……
そして久住フェイクの答え合わせも。まずは通報が久住の根回しで良かったです(前回から心配だったので)

そしてメロンパン号のデマの収束が、市民からの発信、それもこれまでに関わった人々による呼びかけによってなされたというのも思わぬ名シーンでした。一般ネットユーザーが一面的に描かれるのを避けただけでなく、彼らの後日談にもなっていましたし……特に2話で登場した加々見夫妻のIDや、7話のコスプレイヤー弁護士ジュリの文面にはグッと来ました。
一方で、緊急車両の大混乱の結果は非情でした。特に妊婦さんの胎児死亡の件、信じたくなくて巻き戻して観たくらいですし。3話と合わせて、虚偽や悪意による通報の危険性を重く訴えるシーンでした。

加えて、オリンピックが開催予定の段階である、2019年の秋であることが改めて強調されます。後々で効いてきますね。
そして404のバディはというと。密行には従事しつつも、久住に対する復讐心が燃えたぎっているのがヒリヒリと伝わってきます。その途中で、復讐に堕ちた蒲郡のその後が描かれるのも痛い……

ここからしばらく、バディそれぞれの単独行動、というよりも分裂が続きます。まずは志摩、RECに接触しました。REC・ザ・パニック、強烈なしっぺ返しでしたね……誰であろうと晒しはダメなのも確かですが。
久住に迫る手がかりとして志摩が提示したのは、撮影避けの特殊スマホケースでした。事前提示もあり特異性もバッチリ、伏線としては十分です。対立していたキャラ同士の共闘であるのも熱い。一方で、志摩が警察官としての流儀を逸脱し、個人的な闘志に駆られていくのを描くシーンでもありました。「警察として正しく」を掲げてきた志摩が、です。しかも、捜査で得た情報を流用するという……ただ(恐らくは)違法ではないラインに留めているのが、悲しい意味で志摩らしいです。
そして、あれほど信頼を向けられていた桔梗を相手にシラを切り通すのも辛い。桔梗が引責辞任することを知っていたのか、機捜からどんどん遠ざかる方向に舵を切っています。さらに、1話以来の「伊吹を帰す」話が今になって蒸し返されました。後になって、それが伊吹を案じての言動だったと分かりますが、バディの分裂が進んでいくことに変わりはなく。

一方の伊吹。志摩の危険な「ふいんき」を察して詰め寄り、相棒パンチです。また伊吹の危ない野性が……と思いきや、それをカムフラージュしての盗聴設置でした。ここも1話の反転です。ギスギスした邂逅から徐々に信頼し合っていく序盤を巻き戻すようでした。

そして九重。あれほど先輩たちを心配していたのに関わらず、コンプレックスでもあった親子関係を志摩に利用されるという。結果として手がかりになったとはいえ、本人にとってはさぞ不本意な形だったでしょう。しかも、捜査の厳格さに敏感だった志摩のグレーな行動に巻き込まれる形で、という。
そこからの、志摩による伊吹への言及。前回の「生きていれば、チャンスがある」「了解、相棒」という名シーン、バディで築いてきた信頼が、本人の口で否定されます。その後に伊吹本人の善性を認めるも、その部分は伊吹に届いていない……という。久住の情報も含め、伝わったものと伝わらないものの分岐が非常に痛い。

ここでの志摩、「伊吹には正しくいてほしい」と語っていることは、自分が正しくない道に進んでいることを自覚しているんですよね。九重に自身が語った「スイッチ論」で諭されても靡かないのが、静かな狂気の強調になります。自分たちの追いかけてきた正義を全否定するのではなく、それを伊吹に勝手に託すという。一方の伊吹は、志摩から入手した情報を元に単身で久住を追います。久住と対峙する中で蒲郡の姿が浮かぶあたり、暴力的な復讐に近づいているのでしょう。
6話(香坂死亡の真相究明)や8話(蒲郡の逮捕)といったターニングポイントで、二人はお互いに「一緒に走る」ことを求めてきました。その上で、「危険に飛び込むのは自分だけで良い」と言うように、お互いに出し抜くように久住に接近。結果、二人とも久住の罠に嵌まり昏睡です。

警察のルール内で動くこと、信じ合って二人で動くこと、積み上げてきたそれらを裏切っての行動が全て裏目に出る……という。徹底的なバディの崩壊が描かれたのがここまででした。

最悪の夢=ifルートの意味

夜のシーン。画面の色合いや進まない時計から、「現実ではない、かも……?」と感じさせる作りでした。夢演出、6話で一度やっているために、唐突になりすぎていないように思います。

この志摩&久住死亡ルート、世界線の分岐とも取れそうなんですけど、志摩の夢と取った方が僕にはしっくり来ました。より正確に言うと、今の状況から考えられる最悪の事態のシミュレーションが夢になって出てきた。
その先でオリンピックが描写されるのも、「それから日本はこうなるんだろうな」という意図に思えました。パラレルというより、その時点での志摩の予想の延長。

志摩が目覚めたとき、久住は伊吹を殺そうとしていた。伊吹が目覚めたとき、志摩は久住(の仲間)に殺されていた。そして久住は二人の行動をあげつらい、「撃てない理由」を突きつけるも、二人とも久住を殺そうとした……という構図。
久住VSバディというより、二人の中での「刑事としての自分」「復讐心に駆られる自分」どうしの葛藤を描いているように思います。そして、相棒が死んでいた/殺されようとしているときは、刑事としての自分は敗北していた。志摩のデッドエンドであるのと同時に、刑事としての伊吹が死ぬ展開でもあります。

バッドエンドであることは確かなんですけど、ブロマンス的には非常に熱いんですよ。相棒を刑事でいさせるために自分が刑事を捨てた挙げ句、相棒への愛情ゆえに忌避すべき殺人に手を染めた、という。闇ロマンスであれば満点です。

しかしそれは二人が、機捜が追いかけてきた理想ではなく。彼らが止めようとしてきた「最悪の瞬間」そのものであって。彼らを刑事としての道に戻すべく、スイッチが働きます。

404の再生、「機捜」全開のクライマックス

キーになったのは、九重からの着信でした……まあ、スマホが落ちたのは船揺れのせいだと考えた方が妥当そうですが! 九重LINEのおかげということにしましょう。
このシーンが印象的なの、スマホのバイブレーションという現代的なギミックであるだけでなく、「落ちる」が再生の象徴になっているからなんですよ。これまでの「落ちる」は手遅れを示していた(3話でのビー玉、4話でのウサギちゃん等)
目を覚ました二人の、荒っぽい言い草とどつき合いがまた泣けます。手を取ったり抱きしめたりもありましたが、頭突きでお互いのスイッチを入れていくような、マンガみたいな喧嘩っぷりこそ404らしいですし。分裂していたバディの再生が(まずは)台詞回しではなく頭突きで描かれる、カラッと具合が彼ららしい。喧嘩しようぜ、ですものね。

そこからは一気に反撃です。九重を通じて本部にも情報が渡り、去りかけていた桔梗が再び隊長の座に。何かにつけ桔梗の信念を潰していたマメジ(我孫子刑事部長)が、とうとう彼女の具申を受け容れました。こうした変化の積み重ねが良い。そして所轄の刑事だけでなく海上保安庁も参戦し、かつてないスケールでの捜索が展開。刑事視点による雑踏のショットが非常に良かったです、「悪を追う目はすぐそこにある」と感じさせるようで。最終的に頼りになるのは現場の人間である、というMIUの原点に立ち戻るシーンでもありましたし。

そして4機捜も再集結です。九重がメロンパン号と共に駆けつけ、当初とは打って変わった近い間合いを見せつつ先輩に武器を渡します。改めて志摩からも謝罪を口にし、追跡開始。音楽と演出でグイグイとテンションを上げてきます。
まずは伊吹の見せ場、持ち前の視力で久住を発見して全力疾走。振り切られてからは自転車の志摩とメロンパン号の九重により挟撃、このシーンに九重がいるのは改めて胸熱。

そして追い詰められた久住、わざと負傷し警官による暴行を装う……という、前回のフェイクを想起させるような手口で保身を図りました。終盤と分かっていつつも、嫌な予感が猛烈で。だからこそ、この場で利用しようとしていた人間の善意が、自らが引きずりこんだドラッグ漬けにより破壊されていた……というトドメは非常に印象的でした。格闘ではなくしっぺ返しで決着がつく、この納得感です。熱さと説得力を合わせ持つ、いいクライマックスでした。

不世出のヴィラン、逸脱した犯罪者

今回、404以上に久住が主役らしかったと感じます。「インフィニティ・ウォー」でアベンジャーズを打ち砕いたサノスや、「ダークナイト」でバットマンというヒーロー像を揺るがし続けたジョーカーのような。ヒーローの活躍というよりも、主人公たちをダークサイドに追い込むことでより鮮明に彼らを描き出す構図。

刑事を捨てて暴力による決着を選びかけた404の、刑事としての再生。積み重ねたものを崩しきった後に、刑事として「ゼロ」から再スタートする話であったと思います。だからこそ、404をマイナスまで追い詰めた久住の存在感が際立ちます。

言動も非常に濃かった。まずは伊吹と初めて対面したシーン、警察に追いつかれたと察知しつつも飄々とした構えを崩さない。伊吹の胸を揉むというまさかすぎる奇行(アドリブだそう)を挟みつつも、トラップへと誘導……噴霧装置が組んであったということは、追いつかれる可能性を考えていたんですよね。前回のフェイク映像といい、逃げるための根回しを徹底する久住クオリティ。

ここでの会話や冒頭の五輪報道への視線を踏まえると、久住が東北の震災を経験している可能性が浮かび上がってきます。元から詐欺師を続けていた彼なのでこれも信用できないのですが、他のシーンとは温度が明らかに違っていたように思うんですよね。久住(の前身)は震災で死んだことになっている、あるいは知己が全て亡くなっている、故に「正体」を誰も知らない……という真相がちらっと浮かびましたが、こんな推測も無意味な気もしますし。

ただ、彼の行動原理は垣間見えた気もしました。人間の愚かさに対する復讐、とでもいいましょうか。人間の愚かさに絶望した、愚かさを恨んだ上で、他人のそれを徹底的に利用し人生を狂わせることを目的とするという志向。人を操ること自体が目的、あるいはより大きな撹乱のための手段であるように感じられました。

犯罪の根回しをして他人を操る知能犯という意味で、「PSYCHO-PASS」の槙島を思い出したりもしましたね……その根っこは全く違う気もしますが。

生きる希望はなさそうな割に、自己防衛欲求も異常に強いのがさらに分からなくなるんですよね……撃たれそうになるとさすがに焦っていましたし、必死に逃げるし(夢シーンを久住本人の言動と捉えていいかは微妙ですが)
明言はされていませんでしたが、壮大なプロジェクトを動かそうとしていたように思えます。それが生きがいになっていた。

スマホの連絡先の表記が「金持ち 【居住地】【使い道】」だったの最高でしたね。道具としか見ていない感がバリバリ、そのくせ相手の名前がすぐに出てくるのつくづく賢すぎる。どういう頭の構造してるんだ。

掴み所のないまま周囲を惑わし続けた久住がとうとう逮捕され。ペルソナが剥がれ落ちた瞬間の落差、感情の抜け落ちた表情……菅田くんによる静かな狂気、引き算の演技がただただお見事でした。

ここまで来たら、さしもの久住も真面目に罪に向き合うのでは……という期待を粉砕する、今作屈指の名台詞「俺はお前たちの物語にはならない」。
これは警察物の定番を外す展開でもあり、それ以上に機捜が掲げてきた「道を間違える前に」というビジョンを裏切る宣言でもありました。
人の生きる道にはいくつものスイッチがある。そのスイッチを良い方に動かすために、警察をはじめとした無数の人たちが働いている。しかしそれまでの人生が分からなければ、スイッチがどこにあったかを考えようがない。犯罪の事前予防ではなく、事後の逮捕による治安維持しかできない。

しかも更生すら拒んでいますからね、どこまでも社会正義を逸脱し続ける。その意味で、機捜のアンチテーゼとして最高の存在でしたし、逮捕を経ても機捜は彼に勝ててはいないように感じました。404の再生と共に、久住というヴィランの終焉を描くクライマックス。終始、彼に圧倒されっぱなしでしたし、真のNot Foundとは久住の正体なのではとも思ったり。

……さてここからは、グダグダとした突っ込みターンになります。盛り下がりたくない方はバックを。


「警察の正しさ」に対するスタンス

警察は正しくあらねばならない故に苦しい……というのは、序盤から幾度となく示されてきたテーマですが。この言葉にが二つの側面があるように思います。

まずは1話でも示された、捜査の適法性。警察は権力を持ち、市民の人権を制限することが認められているからこそ、暴走しないよう厳格に制御されなければいけない……という概念は、僕にとっては「マジでそう」です。超法規的な架空チームではなく(これで好きな作品もいっぱい)、あくまでリアルな職業者として描いていることには非常に好感を持っていました。
※既存のやり方を通すのが吉という話ではなく。常にシステムの改善を図るのは必須で、しかし縛りがユルユルだと暴走や悪用が起こるよねという話です。

もう一つは、志摩が「清廉潔白でいなくちゃいけない」と嘆いたような、印象としてのクリーンさ。源さんのANNへのお便りでもあったという、「仕事に関係なく個人としてもキレイでいて欲しい」という市民からの願望。
こっちは不要、というか邪魔だよねというのが僕の感覚です。正しくならねばならないのは組織の一員としてであり、従わねばならないのは印象ではなくルールであり……まあ、人当たりが良いのに越したことはないのですが、プライベートでまで求めることではないはず。

この二つが、「正しく」という言葉の下に混同されてきた……というよりも、志摩たちが混同して悩んでいたように感じてしまったのが若干のモヤモヤでした。強調されてきたのは前者ですが、10話で直面していたのは後者だったと思いますし。(RECとの会話で)志摩が疎んでいたのは両方だったようにも思えます。

そして、久住との戦いにおいて。相手がルールを裏切り続けるからこそ、機捜には遵法にこだわったままでたどり着いてほしかった……というよりも、「途中でイレギュラーに手を出しても」「それを反省した上で、ルールに則ったアプローチで決着をつける」という流れを期待していました。

それに対して実際の展開はというと、イレギュラーな行動によって久住にたどり着き、そこで窮地を迎えるも、復活して警察流でトドメ、という流れでした。最後が警察の範疇だったとはいえ、逮捕に至るステップの中に「警察から逸脱した行動」がしっかり入ってしまっているように思えるのです。穿った見方をすれば、イレギュラーの必要性を認めてしまっている。

そもそも伊吹も志摩も、単独でどう久住を捕らえようとしていたのかが明示されていないように思うのです。説得で何とかするつもりだったのか、いざとなれば力尽くで捕まえたかったのか、仲間を呼ぶつもりだったのか。二人がルールにどう向き合うのかという軸が、最後になって曖昧になってしまった……というのが、最大の違和感でした。

あるいは、落ち着いたタイミングでしっかり反省を描いても良かったと思います。この違和感はアンナチュラル終盤での中堂を巡る描写にも覚えていたんですよね、全て警察に話して然るべき処置を受けた後で職場復帰してほしかった。

展開へのツッコミは他にもいくつかありまして。

・クルーザーで復活してからの行動経路

昏睡から目覚めて、九重を通じて他部隊を動かす、そこまでは納得です。
その後、クルーザーから離脱して他船まで泳いでから陸地へ戻るのが最善手だろうか、という。

最も妥当と思えるのは、ギリギリまで眠ったフリを続けてから、隙をついて拘束するという流れです。それか、眠っていると思い込んで油断している久住にこっちから仕掛けてもいい……久住が未知の反撃を用意している可能性があるため、二人だけでの直接戦闘が躊躇われるというのも分かりますが(伊吹いるしできそうじゃない?)
かといって、それだけ凶悪な相手から(海上を泳ぐという)無防備な逃げ方をするのはどうなんだろう……目撃者(他の船)がいるなら、背中から殺されることはないだろうという判断でしょうか。

この辺りの吟味が描かれないまま、せっかく近くにいる犯人から逃げる→後で捜し回る、という展開になっているのが違和感でした。4機捜の再集結やマメジの変化、刑事たちの捜索が熱い見せ場になっているのは確かですが、そのために彼らの行動原理がブレるのはマイナスですし。
加えて、距離感や時間経過が曖昧だったのも引っかかりました。各所で複数の動きが起こっている中で、それぞれのタイミングが分かりにくい……というか、これまでのエピソード(4話とか9話とか10話とか)での分かりやすさに比べて駆け足すぎた気がします。

・ドラッグの依存性問題

成川のドーナツEPもそうなのですが、作用の強い(らしい)ドラッグを吸わされた二人が何事もなく復帰しているんですよね。「一度でも手を出したら、容易には戻れない」が啓発の鉄則であるように感じていたので、治療の様子が挟まれないのはバランスを欠いているようで。
とはいえ、依存性がそこまで強くはないのが実態だという可能性もありますし。そもそも薬物問題において不可逆性ばかりを強調するのも良くないという話も聞いているんですよね。それこそ、定番フレーズであった「クスリやめますか、人間やめますか」は依存経験者の社会復帰にはマイナスだという意見も聞いていますし……けどクスリネタを扱う以上、その後のフォローは必要なような……

・東京オリンピック2020が意味するもの

東京オリンピックが「起こらない未来」の象徴として効果的なのは分かるんですよ。しかし、404VS久住とオリンピックの間に因果関係はありません。それでもオリンピックが「バッドエンドの先の未来」になるなら、最初から世界線が違ったことになるんですけど、それであれば「志摩が殺され伊吹が殺す」世界線が実在することになる。その上で「今」を正史とするって解釈もできますが、その場合は「スイッチ」の意味がなくなる……

ということを考えると、やはり五輪は「志摩が想像した未来」にしかならないように思えて。であれば、彼らとのリンクが薄い五輪を持ってくる必然性が薄くなると思えるのです……ラストカット(新国立競技場とゼロ)の伏線と捉えれば納得なんですが。


とはいえ、こうしたモヤモヤを作り手(特に野木さん)が分かっていないとも思えないんですよ。分かった上で、他の要素(視聴者の感情のコントロール、より重視したい場面、尺など)を選択してこの構成になった。実際、心臓を揺らしまくる演出・演技のクオリティは物凄かったので。ただ、「面白さ」と「倫理的な隙のなさ」をハイレベルで両立してくるのがこのチームだという期待があったのも確かでした。

普通の作品であれば、ここまで深く考えないです……というのが、作り手にとっての重荷になっているのかもしれませんが。

ただまあ、100点満点のうち20点マイナスでも1000点プラスみたいな作品なんですよね。これだけ違和感があっても「つまらなかった、期待外れ」だとは全く思わない。ただ、それまでの完成度が高いほど減点候補も増えてくるというオタク感情の裏表を思い知る経験でもありました。

後は、どれだけ好きなクリエイターであっても、信頼や期待はしても盲従や信奉まではしたくないと思うのです。1000点プラスがあったとしても20点マイナスを無視しない、そんなフェアさを忘れないでいたい(20点マイナスだけを強調しないのと同じく)

指摘したポイントがディレクターズ・カット版ではフォローされている可能性もあるので、そこもまたチェックします。

毎週投稿の終わりに

放送開始から11回、何とか毎週投稿を成し遂げました。誰に頼まれてもいないですが、僕としてはかなりの手応えです。感想執筆の場としても、作劇の上手さの吸収としてもいい経験値になりましたし、何よりMIUのことを考え続けるのが楽しかった。ときにネガティブにぶち当たって解釈に悩むのも込みで、非常に面白い体験。

読んでくださっている気配(PVとかスキとか)はありましたし、稀に言及もいただきましたし(マジで励みになりました感謝)、無駄にこだわった甲斐はありました。

いずれは全体の総括や公式ガイド込みでの振り返りもやろうかと思いますが、しばらくはお休みです。もし気に入ってくださっていたら、フォローだけしてお待ちください。

読んでくださりありがとうございました、皆さまに幸運と、祈りを。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?