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【霞ヶ関の人の生態⑪】めざせ空飛ぶ広報室!な霞が関の広報

相変わらず航空自衛隊広報室を舞台としたドラマ「空飛ぶ広報室」に夢中です。

ついに原作小説まで読破してしまったんですが、なんでこんなにハマっているのかなと改めて考えてみると、霞が関の人になったからこそ、自衛隊と同じような、なかなか実態が世の中に知られていない、やや偏見を持たれがちな境遇がシンクロして「そやそや!頑張れ!」って応援したくなっているんだと思います。もちろんガッキーかわいすぎ!綾野剛母性本能くすぐられる!柴田恭兵カッコいい上司すぎる!水野真紀めっちゃ共感!の嵐ですが。

ひるがえって、現実の霞が関広報
巷のイメージは堅苦しすぎたり、地味で印象がないっていう感じではないでしょうか?
まあ、たまに炎上してネットニュースになったりしますけど、いわゆる「バズる広報」ってのは中々見当たらない気がします。

でも、いまのこの世の中、広報&SNS発信が重要なツールになっているし、一番は霞が関の人をもっと身近に感じてもらい、信頼してもらい、そして発信する情報を広く知ってもらうためにも、霞が関の広報も無難な広報だけでなく、もっと攻めの広報をしていくほうがいいんじゃないかと思うんです。

数年前に、ちょっとだけ霞が関の求人のための広報の仕事に関わったことがあって、その時に、「バズる霞ヶ関広報」ってどんなのがあるんだろう?と調べたり、霞が関に広告会社から出向してきていた人に話を聞いたり、プチ炎上してしまった広報を当時担当していた人にも話を聞いたりしました。

その時のことを思い出し、さらに今の霞が関各省庁の広報をサーチして、これは面白い!と思ったものをまとめてみました!

まずは、各主要省庁のHPからどんな情報発信や広報活動をしているか調べてみました。(※個人的に面白いな~と思ったのは赤字にしています)

結構、どの省庁も広報誌を持っていたり、SNS発信をしていますね。
まとめてみると各省庁によって特徴がある気がします。


割とSNSが乱立して見にくくなっている省庁の中、空飛ぶ広報室の防衛省は整然としてますね~。各自衛隊の基地までとてもたくさんのSNSアカウントがあります。
そして広報誌の「MAMOR」は割と有名ではないでしょうか?

まず表紙からして、カワ(・∀・)イイ!!自衛官!内容もキャッチ―です。下のインタビュー記事を読んでも、覚悟を感じます。
【インタビュー記事】
「炎上も覚悟、の気持ちで」 防衛省の広報誌『MAMOR』が攻めまくっている理由

逆に、ほとんど情報発信アカウントがないのは、ドドン!財務省!
各SNSに1つしかアカウントがないので、シンプルでわかりやすいとも言えます。Youtubeも渋い。。。シンプルで渋い(視聴回数も少ない…)。さすが財務省。SNSや広報にもお金をかけない節約ぶりです。

内閣府は政府広告オンラインという独自のサイトがあるにも関わらず、you tubeにもリンクしていなくて、ちょっと残念な感じですね…

一番企業に近い柔らかアタマ(のはず)の経済産業省は、色んなSNSが乱立しています。You Tubeチャンネルの一番再生回数が多いのは、バナナマンのキャッシュレスポイント(1124万回)。かなり検討しています。
その中で、個人的にグッときた動画をご紹介します。
クール・ジャパン法 ~日本の魅力をビジネスへ~
(再生回数約17万回)

これはエヴァンゲリオン風なんですけど、何とも手作り感満載で微笑ましい…という反響だったようです。まあ著作権がグレーかな?とも思いますが、若手職員の微笑ましい手作り動画にグッときました。
【インタビュー記事】
「まぎれもなくパワポです」――経産省が「クール・ジャパン」のために“全然クールじゃない”動画を公開した理由

エヴァ風の「クール・ジャパン法」啓発動画は若手官僚の手作りだった

厚生労働省文部科学省は似たような感じですね。SNSが乱立していて、生活に近い省庁の割には、カタメであまりインパクトのある情報発信がない…

ただ、数年前の厚生労働省の啓発ポスターは気合が入りまくってました。
進撃の巨人からの咳エチケット、シティハンターからの風疹検診、マジンガーZからの麻疹、アムロレイからのAMR、はたらく細胞などなど、ダジャレ??もありつつの攻めの広報でした。
これは、当時の熱心な広報担当者から、この啓発の意義やコラボしたい理由などを書いた企画書を企業やクリエイターに持っていって実現したと聞きました。

図1

図2

図3

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次に見るのは外務省。日英両方のページがあるのが外務省ならではな気がします。その中でも話題になったのが、「ゴルゴ13」をモチーフにした外務省・海外安全マニュアル。これもまた、当時の担当職員が原作者のOKをもらって、ゴルゴ13の漫画を読み込み、新しいストーリーになるようにはさみとのりを使って絵を切り貼りして作ったという執念の作品。スゴイよ…プロフェッショナルだよ。
【インタビュー記事】
なぜ「ゴルゴ13」? 外務省・海外安全マニュアル

そして、普段からライトな広報を目指す環境省。そして、国立公園を持っているという強みで美しいインスタとYou Tubeがあります。インスタグラムは国立公園職員が撮影しているらしいです。
National Parks of Japan

そして環境省には萌えキャラがいます。
その理由は…環境省=Ministry of Environment (MOE)→モエ→萌え…(驚愕!)
しかも動画はCGを使うという最先端オタクっっぷりです。(Vtuberなのかなあ)
COOL CHOICEコンセプトムービー

最後に私の一押し!の広報サイトをご紹介します。
それは…

農林水産省 You Tube BUZZ MAFF(ばずまふ)!!!

登録者数3.83万人の異例の省庁SNSだと思います。
この情報発信の特徴は、「農林水産省職員が、その人ならではのスキルや個性を活かして、我が国の農林水産物の良さや農山漁村の魅力を発信する動画チャンネルです。」と書かれているように、生身の職員が体を張ってYou Tuberになっているところです!
この動画の中で一番好きなのが、「タガヤセキュウシュウ」シリーズですね。

若手職員の白石くん(明るめのノリがよさそうな人)と、野田さん(ザ事務官といった風情のまじめそうな人)が2人で九州の農業を紹介しているのですが、この二人の先輩後輩関係にほっこりするのと、どんどんYou Tuberとして成長していくのも、母目線?で微笑ましいです。特に野田さんのぎこちなさはある意味萌えです。その中で、公務員ならではの人事異動や、大臣レクなども描かれていて、親しみやすさと好感度がスゴイです。最近では大臣からのメッセージを九州の方言に置き換えたりと無双になってきています。(やっぱり農水の人は方言が強いという仮説があってるような…)
大臣にアフレコしてみた。~母の月編~

これはやられた!と思いますね。これは農林水産省への親しみ爆上がりです。
霞ヶ関公務員という実態の見えにくい匿名性の高いイメージが、一気にこういう人たちが毎日影で働いているんだなあというリアルな一人の普通の人として見るきっかけになると思いました。

改めて、こうして見てみると「バズる広報の影には、炎上も恐れない熱意ある職員あり」ですねえ。

ちなみに、プチ炎上を経験した人からの教訓を忘れないように書いておこうともいます。
① 広報に大事なのは「何を、誰に、どのように」伝えるか。こちらの意図とそのポスターが張られる場所が違うと伝わるメッセージも違う。
② 色々な人が見るので、必ず色んな立場の人から見てもらって意見をもらうこと。
③ 攻めの広報ができるかどうかは、管理職の肝が据わっているかどうかにかかってくる。広報の意図を理解してくれて、「よし!ちゃんと私が責任をとるからやってみろ!」と言ってくれる肝の据わった上司に当たった時がチャンス!

攻めの広報やりたいなあ。
私の妄想のやりたい広報は、NHK_PRさんやSHARPさんの企業twitterみたいに、現実の血の通った人が話しているような省庁twitterの中の人になりたいですね。そしてユルく政策について呟くの…。そして、各省庁にも中の人がいて、たまにtwitterで交流したい…。
「厚労 おつかれ。今日も不夜城じゃん。寝れてるの?」
「あら、お隣の農水さん。今日もコロナ対応でね…農水イチオシの桃の差し入れお願いしたいなあ」
「仕事は効率よくslack使ってテレワークしなよ(by経産省)」
みたいな…(妄想が過ぎる…)

結局のところ、色々サーチした末に作った私の担当した広報動画は残念ながら全くバズらず終わりました…
広報って難しい(泣)!
(完全手作り、編集も四苦八苦、手前味噌ですがお暇な方はご覧くださいw。隣の席だった若手職員のTさん、違う省庁なのに色々アドバイスありがとね)