脈絡はない

祇園精舎の鐘の声
諸行無常の響きあり

 祇園精舎、手塚治虫の「ブッダ」に出てきたっけ。「ブッダ」の印象に残っているシーンはダイバダッタがブッダを殺そうとするシーン。結局彼は毒を塗った爪をブッダに突き立てることはできずに死んでしまう。「せめて、死なばもろとも」そのセリフが妙に印象に残っている。そもそも突然に祇園精舎の鐘の声、と書き出したのは今の大河ドラマが鎌倉幕府が出来ていく話で、ついこの間までアニメ「平家物語」も見ていたからで。さらにアニメ「平家物語」を観ようと思ったのは、かつて大河ドラマ「平清盛」を見たからで、そのなかでも平重盛の父を諌めるシーンが印象に残っていたからで。

忠ならんと欲すれば孝ならず
孝ならんと欲すれば忠ならず
進退これ極まれり
かくなる上はこの重盛が首召され候へ

 平重盛は清盛入道と後白河法皇の板挟みで苦しんだ末熊野大社に寿命を縮めてくれと祈り、病になっても治療もしなかったと言う。息子の維盛もまた自ら望んで那智の海に身を投じた。
 平家の悪行は数しれず、だとしても、平家が極悪人の集まりだったわけもなく、重盛などは平家の良心、などと書かれているのを目にするように。維盛の舞しかり、敦盛の笛しかり、芸能の神は政治のことなど関わりなく人を見出すのだが、戦は無慈悲にも維盛を総大将とし、敦盛を熊谷直実に巡り合わせる。戦の申し子といえば源義経であるが、彼もまた否応なく運命の波に飲まれていく。

沙羅双樹の花の色
盛者必滅の理をあらはす
驕れる者久しからず
また春の夜の夢のごとし
猛き人もつひには滅びぬ
ひとへに風の前の塵に同じ

 春の夜の夢は続かずに、亡霊たちはすすり泣き、耳なし芳一の耳を引きちぎるに至るわけだが。海の底に都はあっただろうか。
 

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