鏡張りの部屋

そこは鏡張りの部屋
しかも四角い部屋じゃない
面だらけの部屋

きれいな多面体でもなければ
球に近いものでもない
大小様々な「面」が繋がり合って

鏡に映るのはあらゆる角度の「自分」
過去 現在 未来
トラウマ 思い出 望み 罪

己の正当性と、認知の歪みと
同時に見せつけられて
酔ってしまいそう

私はその鏡張りの部屋で
こけつまろびつ踊ってみるけれど
どのくらい踊れるか自分でもまだ…

わかってやしないのに
誰かに相談するほど
言葉になってもいないのに

いつか誰かが言ったとさ
「狂ってしまえ!狂うべきだ!自分の正しいと思うことを真実成し遂げたいのなら!」

そうなのでしょうね
私はきっと狂いかけているのでしょう
この脆弱で矮小な身体に見合わぬほど

それを見て他人は言うのです
「無理をしてるに違いない」
無理などしていません、私はただ

怠惰な己と戦って、負けが続いているだけ
鏡張りの部屋を出て自分だけの座敷牢へ戻ると
躁と鬱とが居座って、私の邪魔をし私を癒やす

勤勉で丈夫なあなたがた
鏡張りの部屋に慣れた強者たち
敵いそうにないや

私は私の方法で
少年の私を、大人に変えねばならない
あなた方のようにはできないけれど

あなた方もまた私ではなく
私は私なりにこの状況の突破口を
探っているところ

僕は正義をする積り
ままならぬのはこの身体とて
身を以て之を験さんと


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?