見出し画像

日常生活に使えるデザインセンスを磨く

わかりやすいレイアウトのポイント

レイアウトは主に「文字」「画像」「配色」の3要素で構成されています。言い換えるならば、この3要素を読みやすく、きれいに配置することがレイアウトのコツです。

それでは、良いレイアウトと悪いレイアウトの違いはどこにあるのでしょうか。本書は次のように定義します。

良いレイアウト…人に伝えたいことを伝えることができる
悪いレイアウト…伝えるべき人に伝わらない

例えば、イベントの案内のチラシや広告をデザインする際に、写真の見栄えを重視するあまり、イベントの開催日や商品の値段といった重要な情報を、隅のほうに小さくレイアウトすると、伝わりづらくなります。逆に、イベントの開催日時であれば、タイトルの近くに配置すると、わかりやすくなります。

また、わかりやすいレイアウトか、わかりづらいレイアウトになるかどうかは、ターゲットによっても変わります。例えば、女性をメインターゲットにした店やイベントを案内するポスターを作る場合に、文字を大きくすると、男性的な印象になり、女性にはあまり響かないかもしれません。そんなときは、文字を小さめに設定し、文字と文字との間の余白を十分取るなど、工夫してみましょう。

POINT

わかりやすいレイアウトとは、見る人にうまく情報が伝わるもの。ターゲットを意識することも大切。

要素を「整列」するにもコツがある

レイアウトの基本ルールには、「整列」「近接」「反復」「対比」などがあります。ここでは「整列」を取り上げてみましょう。

整列とは、複数の要素を端で揃えることをいいます。こうすることで、デザイン全体が引き締まった印象になります。整列を行うには、その準備段階として、配置する要素を内容にあわせてグループにします。例えば、商品一覧を掲載したチラシをデザインするならば、商品の写真、商品の名称、価格、カラーといった要素があります。商品に「カメラ」と「時計」があるなら、これら関連する要素でグループをつくり、グループのなかの要素を整列すると、まとまり感が生まれます。

実際に整列するときには、配置する要素の形やサイズを理解して、整列のポイントを意識していかなければなりません。なかでも、上下の端や、縦横の中央を整列のポイントにするとよいでしょう。また、それぞれの要素には特有の「向き」があります。例えば、ハサミやペンなど、手に持って使う文房具であれば、「頭」と「尻尾」といった方向があるので、同じ方向に揃えるとよいでしょう。そのほか、机に置いて使う、カメラやノート、パソコンであれば、下端を揃えるときれいに見えます。


POINT

何を基準にして整列するとまとまりがよく見えるのか、考えてみよう

ターゲットからブレないようデザインするポイント

レイアウトを考えるときに陥りがちな罠が、クライアント、ディレクター、お客様などから意見を聞いているうちに、ターゲットがブレてしまうことです。多くの人の意見を反映して、全員が喜ぶものを作ろうとすると、無理が生じてきます。こんなときには、ポスターのターゲットとなるお客様になりきったつもりで、デザインを行うことが重要です。そのお客様がどんな人物像なのか、どんなシチュエーションで目にするのか等、考えてみましょう。

大前提として、すべてにおいて100点を取れるようなデザインのポスターを作ることはとても難しいものです。例えば、文字を大きくしながら、写真も目立たせるというのは相反する条件です。どの世代にも伝わるものを作ろうとしても、インパクトもかっこ良さも減る上、結果的にはなにも伝わらないようなわかりづらいレイアウトになってしまうのです。

だからこそ、ターゲットとなる年代を決めてレイアウトの配置を行うことが重要です。シニアの方をターゲットにしているポスターなら文字を大きくし、若くて感度の高い方をターゲットにしたポスターであれば文字を小さくして写真を目立たせるなど、ターゲットが決まればレイアウトの方針も決まりやすくなります。


POINT

すべてにおいて100点を取るようなデザインは難しい。ターゲットを明確にすることでわかりやすいレイアウトが生まれる

  • ※参考文献:『レイアウト・デザインの教科書』(米倉明男・生田信一・青柳千郷〈ベーコン)著/SBクリエイティブ)2019年2月出版

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?