米軍幹部が学ぶ最強の地政学

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 日本は海洋国家だと思っていたのだが・・・この本を読むと、どうやらそうではないらしい。
 著者北村淳によると、海洋国家たるものは、ただ海に囲まれていればいいものではなく、国防システムが海洋軍事力に重点を置いて構築されていなければならず、敵の襲撃を受けて国内に入られたら敗戦だとのこと。

 言われてみれば、過去にも元寇など、朝鮮半島を経由して侵略の危機に何度かあったものの、日本はいつも対馬、壱岐などの国民を犠牲にして、九州に迫ってから撃退するという手を使ってきた。
 沿岸で待ち受け、それでだめなら国内に導いて地の利を活かして対応する・・・あとは、神風に頼る・・・なんか、情けない。

 それが変わったのは、ペリー来航でパニックになり、慌ててイギリスに倣って海軍を作った。それが功を奏したのが、清やロシアの海軍を破って、勢い一流国に成りあがったとき。
 しかしながら、たとえば日露戦争時、海洋国家で言うところの前方制海域を得るために旅順攻撃を仕掛け、その勝利に酔い痴れて満州まで侵攻し、結局陸軍が、海洋国家文化を潰した。その挙句が、第二次大戦での敗戦。
 陸軍は、かつてのように、国内に敵を導き入れて撃退するつもりでいた。しかも竹やりで。まじ?
 そういえば、第二次大戦の戦犯で刑死になったのは陸軍だけで、海軍はほとんどおとがめなし。アメリカも実は海洋国家でした。
 アメリカにしてみれば、太平洋側の前方制海域は韓国、台湾、日本がそれにあたる。

 一方、今や海とほとんど接していない中国がどんどん海軍を増強し、九段線とか、前方制海域あるいは基幹制海域を設定して海洋国家らしくなっている。そしていまだに日本はアメリカにおんぶにだっこ状態で、きっと、かつてのように、国内に引き入れて・・・と考えている。

 そういうところでイギリスが日本と同盟を結ぼうと空母クイーン・エリザベスを派遣しつつあり、もしかしたら、日本も改めて海軍国家のあり方に目覚めるのかもしれない。

 はて、日本はどこに向かっているのやら。
 平和ボケ、アメリカ頼りの日本、かつてソ連があった時代、知識人たちは、ソ連軍が来たらすぐに白旗を挙げて、それから赤旗を振ればいいとのたまっていたそうな。今ならさしずめ、白旗を挙げて、それから五芒星旗を挙げればいいと言うのかも。

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