配達あかずきん 大崎梢

成風堂シリーズの第1弾。
駅ビルの6Fにある普通の本屋さんで起こるちょっとした謎を解いていく「日常の謎」系のミステリーです。
書店の社員の杏子は、ある男性客から知り合いの寝たきりの老人から頼まれた本について探してほしいと頼まれた。しかし、頼まれたメモが暗号のような意味不明の言葉が並んでいた。謎の解けない杏子は他の店員にも思い当たらることがないか聞いてみることにした。


ここからネタバレ含む感想

ワトソン役が杏子で探偵役がアルバイト店員多恵のコンビのお話です。
日常の謎系ですが、老人軟禁事件、亡くなった息子の秘密、ある美容室で起きた不思議事件などバラエティに富んでいて読みごたえがあります。
個人的には、第2話の「標野にて 君が袖ふる」がよかった。亡くなった息子が生前読んでいた「あさきゆめみし」を知ったお客さんが謎の失踪を遂げその娘から謎解きを頼まれるのですが、亡くなった息子さんの遺品の中から見つかった和歌をヒントに謎解きをします。亡くなった息子さんの切ない恋心が本人がいなくてもすごく伝わってくるお話でした。ラストはびっくりでしたが…。
それほど大きな事件でもないけれど、それぞれの人間模様が事件とともに浮き上がってきて、それなりに考えされられるお話が多かったです。続編もあるとのことなのでそちらも楽しみに読みたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?