切れない糸 坂木司

大学生の新井和也には小さい頃から困った生き物が和也の前に現れるという不思議な能力がありました。しかし、現在和也の家の犬となっているコロを除き、いずれは和也のもとを去っていきます。大学4年生、就職の決まらない和也にとってショックな出来事が起こります。父が突然亡くなってしまうのです。就職先も決まってないことから周りの説得もあり急遽家業のクリーニング屋を継ぐことになります。仕事は主にクリーニングの集配業務だが、慣れない仕事にミスが続く…。


ここから、ネタバレ含む感想

日常の謎系のミステリー作品。探偵は、和也の大学の同級生で沢田直之。直之は就職もせず何故か和也の住む商店街の喫茶店でマスター代理をしながら過ごしています。
クリーニングの集配業務は慣れるまで大変でしたが、慣れてくると預かった衣類から次々と謎が生まれます。沢田に相談すると沢田は相手に告げる謎の言葉を授けてくれるのですが、和也は訳も分からず、その謎の言葉を相手に言うと相手は不思議と沢田の言ったとおりの言動をします。
「切れない糸」というタイトルが物語のテーマになっていて、物語に出てくる登場人物、離婚調停中の会社員、同じ商店街の同級生、売れないマジシャン、和也のクリーニング店の職人…と自分の居場所を探している人々が謎を通して自分自身を見つめていくところがホッコリします。
最後は、マスター代理の沢田で、沢田もまた自分の居場所を探してこの商店街に居ついていました。そして、和也と一緒に謎を解くことによって自分の居場所も見つけたのかなと思いました。
まだまだ、話も続編が書けそうな感じですが…、坂木さん他の仕事が忙しいのかまだ出ていないようです…。

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