ホテルジューシー 坂木司

大学2年生の柿生浩美は夏休みのアルバイトに沖縄の石垣島のプチリゾートホテルの住み込みアルバイトを選んだ。仲間にも恵まれて順調なスタートだったが、そこのオーナー夫人に頼まれて急遽、那覇の宿で働くことになってしまった。その宿は、ホテルジューシー、奇妙なオーナー代理、掃除のおばちゃん二人、料理人一人、受付一人の小さなホテルだったが、浩美の初日勤務の翌日受付の松谷さんが旅立っていった…。


ここから、ネタバレ含む感想

かなり個性的なホテル(と呼んでもいいのか…?)に残された浩美は持ち前のガッツで仕事をこなしていきます。しかし、変なホテルにはオーナーの影は見えず、いるのは変なオーナー代理、この人昼間はボーッとしてて、夜になるとしっかりした人格に代わるという二面性を持ち合わせている人でかなり個性的、夜なら(話し中で出てきますが台風中も)頼りになるのですがそれ以外は…というお人。ボーッとしていることが多いですが観察力が鋭くお客さんのこともよく見ています。登場しませんがオーナーどんな人なんだろうか…実はオーナー代理がオーナーだけどめんどくさいから代理を名乗っているのかなとかいろいろ想像させられました。きっと、すごく複雑な自分物背景がある人なんだろうな…と。
変なホテルには変なお客ということで、桜前線を追っかけている人、ギャル、骨董商、冒険好きの若者、一見だけ普通に見える夫婦など様々…。ほかの従業員やお客に振り回され、ときどき犯罪に巻き込まれそうになり、ときどき不満も爆発させながらそれでも信念が一本通っている男前キャラの浩美が読んでいてすがすがしいです。姉妹編となっているシンデレラ・ティースでは恋の芽生えもありましたが、こちらが相手キャラがおらず…最後にちょっとだけオーナー代理登場したけれど…やっぱり何か違うよね…。
読み終わって、気になったのがこのホテルは本当に存在するのか?調べてみたら確かにありました。浮島タウンズ旅館、しかし、残念ながら現在は閉館し別のホテルとして営業中です。(料金等いろいろ変更有で場所は同じですが全く別のホテルのようです。)
それから、沖縄料理もたくさん出てきました。つい、うっかりポークを買ってしまった…。

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