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とまの話。精神神経科

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16才とま 鬱病で入院したんだ。2020年3月
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16才とまの話2。精神神経科

二日目  今日は、はたから見れば、なんでもない一日だったかもね。でも僕は、新しい慣れぬ場…

苺大福
4年前
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16才とまの話3。精神神経科

三日目  エントランスに入って左に中庭があんだけど、そのど真ん中にシマトネリコがそびえて…

苺大福
4年前
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16才とまの話4。精神神経科

四日目  僕が精神病棟の十一階に上がろうとしたら、母子がエレベーターの前に立ってたんだ。…

苺大福
4年前
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16才とまの話5。精神神経科

五日目  人生初めて、東京大学に足を踏み入れちゃった。壮大で小綺麗なとこだよ。小さな森の…

苺大福
4年前
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16才とまの話6。精神神経科

六日目  今朝は、目が覚めてすぐに恒例の動悸が始まった。それに胸が激しく焼けるのを感じた…

苺大福
4年前
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16才とまの話7。精神神経科

七日目  とまはいつも遊んでばかりの、しょうもない奴だろ?今日もカラオケで喉を潰し、服に…

苺大福
4年前
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16才とまの話8。精神神経科

九日目  「生きている意味はある」  お祖母さんは帰り際、そう言いきった。確信に満ちた目つきで、子供の僕を優しく見下ろしながら。 僕は、まだお祖母さんの境地へ至らぬまま命を終わらせようとしていたことに、一種の戦慄を感じた。一日の疲れはそれを上回っていた。だけど、闇夜の町の家々のひとつに明かりの灯っているのを発見した時のように、荒涼とした胸の中に小さな火が居座っているのがわかったんだ。火はいつ胸いっぱいに広がるだろう。明日か、一年後か、十年後か……あるいは広がらぬままか。火が

16才とまの話9。精神神経科

  十二日目  昨夜面長先生がやってきて、「ちょっとお話しませんか」と言った。いつもは風…

苺大福
4年前
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16才とまの話10。精神神経科

  十三日目    病院の中庭は、地と空を隔てる物もなく、鳩の住居である木々が生い茂る、唯…

苺大福
4年前
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16才とまの話12最終。精神神経科

  十九日目 面長先生とこないだ陶芸をやったが、ついに小皿が完成したんだ。僕のと、先生の…

苺大福
4年前
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