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かんたんじゃないよ~火サスどうでしょう続き~

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済8のヒカリ

「ヒカリちゃん?ヒカリちゃんじゃないの?」声を掛けられて振り向くと、キレイにお化粧したBar シェリルのママが目を丸くして立っていた。「どうしたの?誰か刺したの?」「やだ、ママったらそんなに酷い顔してる?」「酷いってもんじゃないわ、時間あるでしょ?ちょっとお寄りなさい」返事を聞く前にどこかに電話を掛けたママに連れられシェリルのカウンターにいた。

ここに初めて来たのはこの街に引っ越した4年前、Barという場所もママと呼ばれたひとが男性だったのも色々衝撃的な店だった。そして、コウジと出会ったのもここ

まぁ初めてなのね。何歳いくつなの?    25歳?そう。なんだかセーラー服がそのまま大人になったみたいね。

へー可愛い子がひとりで来てるじゃん、名前何て言うの?さりげなく隣に座りながら会話を始めるコージに、ダメよ!コーちゃん!せっかくのご新規に手を出しちゃ!…出会いの会話を思い出していると

「で、どこのオトコなの?アンタをこんなにしたのは」たくちゃんママと話すとなぜか鎧を脱ぎ捨てたくなり気が付くとこれまでのことを全部話していた。そしてヨリコのことも

ヨリコはハンターだからね、でもハンターの流儀は守るコよ、わかってあげなさい。でもお仕置きは必要ね。ママに任せなさい。そう言われて店を出たわたしの見送りをしながら「本日閉店」の札を掛けてママは店に戻った。

ヨリちゃん、聞いてたわね?やるわよ!カウンターの奥にいたヨリコに向けてママが声を掛ける。

わかったわ。アカリの為に監視してたけどそろそろ潮時ね、OKよママ明日ね!

翌日

シェリルに呼び出されたオレは、したたかに酔いつぶれた。来月には異動で家に戻る、自由に遊べるのは数日だ。ここに戻る事もないだろう…。済8まで溜まったアドレスはすっかり消した。これで良し、家に戻れば良き夫、良き父を演じるのだ。そう…人生はかんたんだ…。

…眠った?
ぐっすりね。フフじゃあやるわよ

トラックが店の前に停まり酔いつぶれたコージがくるまれて乗せられる。
運転手に向けて「後はよろしくね」とママが声をかけ、運転手は頷き去っていった。

店に戻った二人は笑顔で乾杯しながら「ヨリコはこれからどうするの?」とママが尋ねると

「そうね、アカリには報告したから写真だけ撮る。あとはアカリが決めることよ。ママは?」

「アタシはヒカリちゃんの誤解解いておくわね。まさかアナタがコーちゃんの奥さんのお友達と思ってなかったでしょうから」「そうね、まさかヒカリに見られてるなんて思わなかったから大誤算よ。ま、あれがきっかけで熱も醒めたみたいだから怪我の功名ね」
「しかしソファーに隠すって誰が考えたの?」問いかけるヨリコにママはニヤリとしながら
アレはね、済3のコよ。まさかインテリアショップに自分がディスプレイされるなんて思いもよらないでしょうね。

翌朝

外の騒がしさに目を開けたオレは驚いた。ここはどこだ!着ていた服は?目の前には人がガラス越しにオレを指差しながら歩いてる。ナンでオレはショーウインドウの中に居るんだ!
『おしゃれな家具に囲まれた新生活』と目の前に貼られたポスターを見ながら叫んでいた

アンタどこから入ってきたの?こっち来て、不法侵入で警察呼んだよ。服は外に畳んで置いてたから早く着て!警備の男性に向け必死に話そうとするが誰も信じてくれやしない。もうダメだ!なぜだなぜこんなことに…。

船上にて

ヒカリちゃん、どう?船からみる夕陽は?      ステキ!こんな景色があるなんて!太陽って大きいのね!でもたくちゃんママはなんでわたしを船旅に誘ってくれたの?
    そうね、アタシもオトコだったって気づいたの。ヒカリを大事にしたいってそう思ったのよ、もうママは止めるわ。どう?アタシじゃダメかしら?化粧も女装もしていないたくちゃんは至って普通に男だった。ううん、わたしもね、たくちゃんといつまでも一緒に居たいって思ってた。心地よい風を受けながら静かに夕陽を眺めてヒカリは呟いた。

その後

ヨリコは故郷に帰り、アカリの決断を聞いた。コウジは空っぽの家の中にある離婚届に判を押したらしい。そしてヨリコ、アカリ、その娘の3人で新しい生活を始めている。

お仕置き…夢の中で聞いた言葉に、この事だったのかと思ってももう戻れない。瞼に浮かんだ女の姿が見える、あの女…ヨリコ…。


★続きをどうしようか、さわきさんのプランを元に考えているうちに、新しい登場人物が浮かんで来ました。長くなりましたが読んでいただけると嬉しいです。よろしければ感想やアドバイスもいただけると泣いて喜びます。

ありがとうございました😊

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